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【小説もどき】徘徊の楽しみ

知らない街を歩くのが好きだ。

誰かが普通に暮らす空間に紛れ込んた異邦人のような感覚。
意外な発見の連続。
そして何よりゲームがはかどる。

以前から気になっていた駅で降りる。
今日の目的は商店街の散策。
ここの商店街のBGMは昭和の歌謡曲がひたすら続くらしい。
歩きながらついうっかり口ずさんでしまう。

スマホを見ながら徘徊。
ゲームと現実を行ったりきたり。
それもまた楽しい。

「あ、パン屋さんだ」
品揃えが豊富なようだし、老舗っぽい感じがいい。
帰りに買って帰ろう。忘れてなかったら。

ちょっと離れたポータルに向かうため商店街からそれて進んでいく。
「ん、これってカフェ?」

普通の民家を改造したと思われるお店を発見。
小さな看板に書かれた「カレー」という文字が胃袋を刺激する。
「ちょっと早いけどお昼にしちゃおう」

カランカラン

勇気を出して扉を開ける。
「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」
落ち着いた感じの女性の声が出迎えてくれた。

たくさんの観葉植物と謎の美術品があちこちに置かれている不思議な空間。
店内を眺めているとカレーライスが運ばれてくる。
スパイスが効いていて予想以上に辛め。でも美味しい。

カフェを出て商店街に戻る。
「こんにちは~」
銀行前のオブジェを撮っていたら、通りかかった2人組のおまわりさんに挨拶される。
「あ、こんにちは~」
人畜無害に見えるのか、普段から人によく道を聞かれる私は不審者とは思われなかったようだ。よかったよかった。

午前中に見つけたパン屋さんで明日の朝食用のパンを購入。
「おまけ、入れときますね~」
レジで小ぶりなパンが1つ追加された。

駅まで戻り、電車に乗って日常生活へ帰っていく。

さて、次はどこへ行こうか。


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