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「肖像コラージュ」ブックレット制作秘話(後編)デザインは楽しいな編

さあ、ブックレット制作、いよいよ最後の後編。

撮影が終わり、あとはデザインを組んでいきます。
ここからは一人の作業、黙々と進めていきます。

当初32ページ前後の冊子を予定していたのですが、写真が素晴らしすぎて外せずに、結局倍の60ページに。
構成から練り直しです。揃った写真を一枚一枚見ていきながら悶々と考えます。
書き殴った構成ラフの一部。何回も書き直し、2日ほど悩みました。

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ある程度ページ構成が固まってきたら、実際のデータ上で作業を進めていきます。
ソフトはAdobeのインデザイン、お手の物です。

写真を配置して大体の流れができたら、次はタイポグラフィや全体のデザインを決めていきます。
ここはものすごく集中する所。
0.1ミリ単位でデザインの雰囲気は大きく変わります。
線の太さを0.05ミリ太くしただけでも全然違う。
色味もCMYKで5パーセント単位の濃淡で全然違くなります。

スクリーンショット 2021-02-09 0.32.16

全神経を集中、パソコンとにらめっこ。
この神が降りてくるような感覚的な作業は、もはや経験値。
長く一つの事をやり続けている人にしか分かりません。
今回のようなシンプルなデザインでしたら尚更、ごまかしが効きません。余計に緊張が走ります。

スクリーンショット 2021-02-09 0.32.51

文章の文字詰めや行間も大事です。全体の雰囲気が大きく変わっていきます。
私は文字の詰めを見ただけで、作業した方が素人か玄人か分かります。
「細部にはその人が宿る」のは本当で、誌面から放っている雰囲気が全然異なってくるのです。

それが仕事人であり、職人です。

だからこそ、エディトリアルの楽しさに20年没頭し続けていられたのかなと。
やはり楽しいですね。

スクリーンショット 2021-02-09 0.33.13

さらに今回は文章も全て自分で考えました。
思いがとても強いものなので、ライターさんに代筆をお願いするのではなく、自分の言葉で紹介するべきだなと。
デザインのバランスに合わせて文字量の増減もしていきます。

ようやくデザインが完成!!!!!

そこから家のプリンターでカンプを全て出していきます。
全60ページ、A3用紙を見開きで出していき、B5サイズの見開きに切っていきます。
切った用紙は数知れず。

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そこから実際の完成サイズの冊子を作り、何回も見返します。
さらに修正を重ねていきます
納得のいくまで、何ページも修正を重ねては印刷、カットという作業を繰り返します。

ようやく束見本が完成!!!!!

数百枚単位を印刷。

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最後のフィナーレは紙選びです。

紙は本当に本当に大事です!!!!
紙によって、どんなにデザインが良くても、安っぽいものが上がってきてしまいます。

個人的に好きなのは、ヴァンヌーボやMr.B、アラベールといった高級紙なのですが、そうするとかなりの予算オーバー。
紙は高い分だけ素晴らしい、というのは事実です。

予算とかなりにらめっこをして決めたのが

表紙:最高級上質紙 220kg
中面:上質紙 110kg

と、上質紙縛りにしました。

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表紙はアラベールと迷ったのですが、今回のブックレットの表紙はウェディングだけあって、アラベールのザラッとした質感は、少々野生的すぎるのかなとも。また、ヴァンヌーボのシメっぽさもちょっと違う?

その点表紙の最高級上質紙は、滑らかで繊細で上品な触り。
紙自体に白味が強い所も決めてでした。全体の雰囲気的に白が綺麗に映えるべきだなと。あとはやはり価格、アラベールとヴァンヌーボに比べて安い!

どこに終点を置くかは、毎回クオリティと価格とのにらめっこです。

また、できるだけ分厚く。
それもきちんとしたブックレットを制作する上で必須でした。

予算の兼ね合いも見て、箔押しもする事に。
やはりそれだけで高級感がわくなーーーと。こちらもやはり外せず。

そして、待つ事10日。
段ボール17箱分のブックレットが我が家にやってきました!!!(在庫確定!!!)
あとは最初に戻るです。

最後の作業は関係者の方達への発送。
子供達も発送をお手伝いしてくれました。
一緒に制作した三つ折りチラシの梱包。

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3回にわけてお伝えするほど、本当に思いがこもったブックレットです。

デザイナー人生と合わせた集大成、アートとデザインの融合。
心から作りたいものを作ることができました。

そのため今回の記事は、思いが強い上に、かなりマニアックな内容となってしまいました。。
最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

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やはり物作りは魂を込めてやるのが、何よりも楽しく、素晴らしいものができます。
それがしたくて、商業デザイナーからカモコラージュの制作へとシフトしていったわけで。

主体的に作れば作るほど、そこは本当に大事だなと感じます。

これからも魂を込めて、作り続けていきたいと思っています。


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