見出し画像

そろばんの音

パチパチと静かに弾けるような不思議な音。

最近では見かけることはなくなったが、子どもの頃に近所の駄菓子屋さんに行くと、そろばんを弾きながらお会計を計算する店番のおばあちゃんがいた。

レジがないお店だったから、自分の手で金額を計算していたのだ。

そろばんは『古来から伝わる計算機』なんて聞いたことがある。

英語では Japanese abacus。

小学生の頃、近所にそろばん教室があり、ぜひとも習いたかったのだが、残念ながら縁がなかった。

小学校の授業で少しだけ習ったが、それも1・2回だけのこと。

そろばんを習っていた子たちに教わりながらやってみたが、あまりに短時間だったので、よく理解しないまま終わってしまった。

近所の子が通っていたそろばん教室に何回か一緒に行き、実際の雰囲気を体験したこともある。

最初は与えられた課題を、みんな個別にそろばんを弾きながら黙々とこなしている。

やがて、皆の様子を見ながら教室を周っていた先生が前に立ち、皆に計算のお題を与える。

そのお題を計算し、出来た人から次々と挙手し、指名された人が答えるという形で、後半は教室が皆の元気な声で溢れていた。

『楽しそう。私もここに通いたい。』と思ったものだ。

因みにその教室は、特に予約などしなくても、そこに通っている子の同級生や知り合いであれば、誰でも自由に授業に参加できた。

そしてお代を払った記憶もない。

そこの教室以外の子が来た場合には、先生から計算ドリルが与えられ、そろばんを使わずに計算問題を解いていた。

そのドリルには氏名欄があり『あの子も来たことがあるんだ!』などと、誰かの名前を見つけては、内心はしゃいでいた。

計算機が発達してからそろばんを使わなくなったと聞いたことがあるが、先日も5歳からそろばんを始め『暗算世界一』になった女子高生の記事を目にしたばかり。

今も健在で、脳の活性化にも非常に良いというそろばん。

最近では、大人・社会人向けの教室もあるようで、もう一度、きちんと習い直したいという人たちが通ったりしているらしい。

そろばんの書籍も充実しているようなので、自学自習も可能なようだ。

大人になっての習い事。

それは、子どもの頃に果たせなかったことを、新たに始めたりやり直したりする場所。

人間、いくつになっても学ぶことは出来る。

そして何より、学ぶ場があることが素晴らしい。



関連記事です↓


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?