マロンと駒

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マロンと駒

癒し求めて三千里。ラジオリスナー歴、約10年。思い出・記憶を引き出しながら、映画・読書・漫画の感想etc…エッセイ・日記・ときどき短編小説を書いています。『癒しの記事』を目標に、週1目安に更新中。毎日飲むのはカフェ・オレ。港町が好き。ネコ派。

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見逃された遅刻

お昼休みに書店で、阿川佐和子さんの著書『ないもの ねだるな』を手に取り、偶然開いたページを立ち読みしていたところ、ご自身の遅刻にまつわるエッセイが掲載されていた。 読んでいるうちに、中学時代のある同級生が遅刻した朝のことを思い出した。 彼女とは、中学3年間一緒のクラスだった。彼女は非常に優秀で、成績は常に上位3番以内にいた。中1での初めての定期試験で、彼女は国語と数学が100点だったのを、今でも憶えている。 難しい内容でも、せいぜい2回も聞けば理解する能力を持っていて、

    • 試される時

      人に裏切られた時は、きっと自分自身が試されている時ー 数年前、ミュージカルにもなった遠藤周作先生の名作『王妃 マリー・アントワネット』。 …………………………………………………… この作品に登場する娼婦マルグリットは、ある晩、石畳の上に倒れている。 まだ17才の若い娘だが、食べるために路に立っていて、酷い風邪をひいてしまったのだ。 近くの家に担ぎ込まれ、回復の後、司祭館に女中として雇われることになる。 そこで出会ったのが修道女のアニエス。 マルグリットと年も近く、

      • 神さまの使わしめ

        問題を抱えた人のもとに現れる琥珀色の目をしたトラ猫。 まるで『大丈夫だよ』とでも言っているようなその目に惹かれていると、いつの間にか家に上がり込み、しばらくの間、一緒に暮らす。 これは唯川恵先生の著作『みちづれの猫』に収録されている短編小説『運河沿いの使わしめ』に登場する不思議なネコの物語。 ある時は、認知症の義母を抱え、介護に苦労する主婦のもとへ。 この家での名は『ニャン助』。 またある時は、3回の流産を経てやっとできた新たな生命にも関わらず、気持ちが不安定で、家庭

        • 時間は薬

          失って初めて、その存在の大きさに気づかされるということは、誰しも経験することかも知れない。 先日、久しぶりに長めの残業をすることに…残っていた二人のうち一人が退社し、私は最後の一人になった。 割と一人の時間は好きなのだが、なぜかこの日は無性に寂しく感じた。 春だからか…それとも桜が少し散り始めたからか… 孤独には強いはずなのに…自分でも『変だな』と思いながら、仕事を少し早めに切り上げ、施錠をし終えて外に出る。 空気はだいぶ暖かくなったのに、この寂寥感は何だろう?

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          私のド真ん中

          雨に濡れた桜は、どこか憂いがあって好き。 ……… 以前勤めていた職場で、私はいつも受付に一番近い席にいた。 書類を提出に来る人がいると、何気なく目を向ける日々。 ある日のこと。 受付に人の気配がして、いつも通り顔を上げた瞬間、思わず一目惚れしてしまった。 正に私の理想像だったその人に、目を奪われる。 キチッとスーツを着て、眼鏡をかけ、髪型も決まっていたその人は、受付で必要事項の記入を終えると颯爽と去って行った。 すぐに私は受付の記入欄を覗き込み、その人の名前を

          私のド真ん中

          ある日別れは突然に…

          「〇〇さん、今朝急に退職したの。」 出勤早々、『ついに来たか…』と思った。 普段の会話や勤務中の電話を通して、退職を考えていることには薄々気づいていた。 心の準備があったから、その朝私が受けた衝撃は、他の人たちよりは軽かったかも知れない。 約1年7カ月ほど、その人にはお世話になった。 初めての分野で戸惑う私を導き、ほぼ同時に入社したもう1人の人と2人、何とか2人で乗り切れるまでに育て上げてくれた。 実際に、その人が長期休暇でいない時も、2人で乗り越えたことがあった

          ある日別れは突然に…

          スポットライトの先に

          寒い夜に 大きく響く ネコの声 真夜中に、外にいるネコの鳴き声で目が覚めた。 喧嘩でもしているように聞こえた声。 ちょうど夜だったこともあり、子どもの頃に軽く悪戯した時のことを思い出した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以前『太陽の帝国』(1987年 アメリカ映画)という映画を観たことがある。 作中に、主人公の少年が船の中から窓に懐中電灯を押し当て、チカチカと外に向かって点滅させるシーンがある。 ほんの軽い遊びのつもりが大惨事

          スポットライトの先に

          最短で取得した資格『フェムテックアンバサダー』

          3月8日は国際女性デーということで、新聞に掲載されていた日本フェムテック協会認定資格3級に挑戦! これは5分でできるWEB上の無料テストで、合格すると『フェムテックアンバサダー』に認定される。 早速受験し見事一発合格。 小さな試験だが、やはり合格は嬉しい。 履歴書に書けるかは不明だが、とりあえず資格が1つ増えた。今まで受けたあらゆる資格試験のなかで、最短取得した資格である。 合格すると、このような証書が貰える。 さて無事に資格も取得したことだし…と他の記事も読み進め

          最短で取得した資格『フェムテックアンバサダー』

          初めての道

          開通してからすでに30年近く経つ東京湾アクアライン。 先日、初めて自動車で横断する機会があった。 最近、自動車そのものに乗らない生活をしているので、仕事とはいえ久しぶりに自動車に乗るというだけで子どものように嬉しくなった。 後部座席に座り出発。 通り過ぎる街を眺めているうちに高速道路へ。 数ヶ月ぶりに乗った高速道路を一気に駆け抜ける。 以前は100キロ近いスピードで走り続けることが快適だった。 かつて自分で高速道路を運転したことはほんの数回。 ほとんどが乗せて貰

          初めての道

          ネームがなかった白い傘

          2月らしい寒さに震えながら、傘を持って出勤する憂鬱な朝。 ただでさえ荷物が多いのに、さらに荷物となる長い傘は正直持ちたくない。 そこに電車遅延まで加わる『弱り目に祟り目』な日。 こんな日は、小学生の時、新しい傘を持って登校した日のことを思い出す。 その傘は白くて、広げると全体的に内向きに広がる可愛らしい傘だった。 当時、小学校では『傘はたたんだ後に必ずネームで留めてから傘立てに入れること』という規則があった。 (因みに傘をたたんだ後にまとめる紐のことを『ネーム』という

          ネームがなかった白い傘

          魅せられる味

          特に外食が好きという訳ではないが、たまに行くスパゲッティ屋さんがある。 このお店、とても長く続いていて、土・日は表に行列が出来ていることもある。 よくこの前を通るのだが、平日の夜など、表に人が並んでいなくて店内に余裕がありそうな時、気が向くと私はフラりと立ち寄る。 何十種類ものスパゲッティのメニューが並んでいるが、私が注文するメニューはいつも決まっている。 いくつか試してみて、そのメニューが一番気に入ったのだ。 このお店で出会った私の贔屓の味。 試したことのないメニ

          魅せられる味

          お声がけ

          誰かに声をかけられた気がして何気なく振り向くと… 珍しい人から声をかけられたなと少し驚きながらも思わず微笑んでしまった。 これは、ある習い事の教室でのこと。 声をかけてきた彼女は、私より先に習い始めていた。 つまり『先輩』である。 通い始めて一年半あまりだが、彼女とは挨拶くらいしかしたことがなかった。 その教室には特に在籍クラスはなく、いつでも自分の都合の良い時に自由に行って良いことになっている。 これは社会人が多いせいもあるかも知れない。 さて彼女とは最近同じ時

          名作は形を変えて

          衝撃的だった最後の一文。 見事なまでの展開、殺人計画の動機、計画そして実行。 本格ミステリー『十角館の殺人』。 某新聞の週間ベストセラーに掲載されていた同作品。 40年近く前の作品なのに、今もベストセラーに輝く。 ミステリーの女王アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる物語。 携帯・スマホがない、使えない状況で起きた連続殺人事件。 今年3月、実写化されると話題らしい。 漫画にもなっているので、無料で読めるところまで読む。 視覚から入る

          名作は形を変えて

          充電スポットを求めて

          何事にも対応策はある。 先日、スマホの充電をしようとしてハッとなった。 充電器のプラグがない! 最後に充電したのは会社でだった。 充電後、ケーブルだけ抜き、プラグはコンセントにはめたままにしてきたことに今頃気づく。 困ったことに金曜日の夜だった。 土・日の2日間を何とか乗り切らなければならない。 真っ先に思い浮かんだのは、携帯キャリアショップに出向くことだった。 とりあえず、残り18%のスマホの電源を切る。 子どもの頃は、携帯・スマホなんてなかった。 2日間くらい

          充電スポットを求めて

          曇りガラスになる扉

          中に人が入り鍵をかけると、透明なガラス扉が自動で曇る。 先日『Perfect Days』という映画を鑑賞していたら、自然に曇る扉が出てきてビックリした。 実は3年くらい前からあったらしい。 調べてみたところ、新しい公衆トイレを作った際、防犯対策として開発されたのだとか。 よく利用する人には当たり前の光景かも知れないが、利用したことのない私にとっては衝撃的だったこの扉。 そして、誰も入っていない時は外から中が丸見えだ。 徹底した工夫と、編み出された安全対策。 作中

          曇りガラスになる扉

          羨ましい受験体験記

          大学の受験体験記などを目にすると、今になってもつい夢中になって最後まで読んでしまう。 勉強の仕方や時間の使い方が参考になるだけでなく、その時の苦しい精神状態や、いかにして誘惑を断ち切ったかなど、いつの間にか惹きつけられてしまうのだ。 受験生の数だけ体験談はある。 与えられた能力も、置かれた環境も人によって違うので、必ずしもすべての体験談が自分に当てはまるとは限らないが、読み物としては面白い。 10代に全力で頑張り切れなかった私にとっては、全力を出し切って第一志望の合格

          羨ましい受験体験記