見出し画像

精神の病と闘った1年間③もがく

はじめに

 いつも泣き叫びながら死にたいと思っていた当時の私は、通院を通して精神状態を改善する方法は知った。そしてある程度の実践もし続けた。でも、楽にはならなかった。

 そこには、大学1回生の楽しい時期を無駄にし、そして、18(19)歳としての自立した生活ができないという強い自己否定感が常にあった。

目の前のことに全力に

 とにかく自分が辛かった。でも、何か自分からアクションを起こさないとこの状態は変わらないこともわかっていた。

 だから当時の私は、見聞きしたことをなんでも挑戦した。

 ありがたいことに、私には話を聞いてくれる友達がいた。1つのことを聞くと100返ってくるような友達で、自分が心行くまで話すことができない不満があった。とはいえ、自分の恥ずかしい精神状態や、それによる妄想などを笑わずに、嫌な顔1つせずに聞いてくれたことはとても嬉しかった。

 その後、彼らは私のこれからについて、細かなところまで具体的にアドバイスをしてくれた。

「毎朝鏡に向かって無理やりにでも笑顔を見せると少し心が軽くなるよ」
「シャンプーを変えるとかやってみたら」 などなど。

 上記はあくまでも実践例であり、それくらい生活を変えるきっかけは多いことを伝えたかったのだと思う。

 しかし、精神状態の回復に必死で何も見えていなかった当時の私は、馬鹿正直に、聞いたアドバイスを片っ端から実践していった。

 毎朝げっそりとした暗い顔で鏡の前で無理やり笑顔を作っていると家族からはさらに奇妙がられ、自分でも今「嬉しい」のか「悲しい」のかわからなかった。

 いつも使っているシャンプーをたまたまプレゼントでもらってとっておいてたシャンプーに変えると、いつも使っているものと比べると洗い落ちが悪く香りもあまり好みではなかった。毎日のお風呂があまりスッキリせず、髪も変な感じがしたが、それでも我慢して使い続けた。

 また、母親からは「新しい楽器をやってみたら?」と言われた。これは単なる母の思い付きで特に意味はなかった。それでも私はすぐに楽器屋に行き、ウクレレを購入した。この音色で精神を落ち着かせ、自分の気持ちをコントロールできるようになろうと思った。

 もちろん楽器の上達にはある程度の時間を要し、「うまく弾けない」自己否定感やそれに対するいら立ちが積もり、これはこれで別のしんどさがあった(今は、自分の趣味になるほどリラックスできる1つの術となっている)。

 他にもリフティングや散歩など、思いつく限りのことを実践した。今思うと恥ずかしいくらい小さなことで、これらのことをすべてこなしても、正直、大きな変化はなく、そして何の変化も見いだせなかった私を、私はさらに傷付けることになったのだった。

 でも、私はこれほど当時の精神状態が辛かった。そして、これほどまでにすぐに改善させようとしたかったのだった。

現実逃避

 あるときふと、「今の自分の気持ちはしんどくない」と思える日があった。というより、「あれ?今自分は何もふさぎ込んでいなかったんだな」と思える日が続いた。

 それは、自分を変えることに熱中していたからであった。リフティングやウクレレの練習も、無理やり笑顔を作ることやシャンプーを変えるなどの窯かな変化の実践も…。

 精神安定に直接作用することはなかったが、これらのことで自分の頭が働きすぎない時間を作ってくれた。

 こうして、今の自分について考えなくていい時間が少しずつ生まれるようになった。

おわりに

 これまでは毎月ある診療や薬の服用、日記などが唯一精神安定に関わっていた。だが、ある時から

 「えーまた病院行くのか…めんどくさい」
 「この薬って意味あるの?」

 などと思うことが続いた。

 今思えば、自分から病院や薬などが離れていも生きていける精神状態になりつつあったのだと思う。

 ここに至るまで、実に1年。

 次は、この経験をふり返って考えたことを書く(続く)。


今精神的につらい思いをしている人の心が少しでも軽くなりますように。


この記事が参加している募集

自己紹介

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?