出来る医者

先週は、年始明けということで、病状的に待てない患者さん、新規でまずは1回急いで治療を行わなければならない患者さんを中心に6件カテを実施した。

かなり難しい症例ばかりだった。

たまたま、先週から、うちのグループ病院の7年目の外科医がカテを覚えたいと一緒にカテを実施しにくるようになったが、もっと標準的な治療を初回は経験して欲しかったが、超難しい、もしくは難解な症例が多く、ただただ驚いていた。

自分の実施しているがんカテは、
手術か抗癌剤治療かと言われれば、後者だと考えている。
病気に対して最高のダメージを与える抗がん剤の新しい入れ方として
カテーテルという道具、ビーズというドラックデリバリーシステムを使っている。

抗癌剤治療だから繰り返す。
繰り返しながら、じっくりとがんを弱らせる。
これは、全身薬物治療と考え方は一緒。
1回だけの投与でがんが弱まり続けるなんてありえない。
例え、動注に反応し、数日間がんが反応して縮小しても
その弱った期間が何週間も維持できるわけはない。
復活してくる。
そしてその復活の際に耐性化したりする。
だから、弱らせる行為、つまり薬剤の注入は繰り返す必要がある。
これが、どんな抗癌剤治療でも2~4週間で繰り返す理由だ。

当院は、さらに塞栓という行為を同時に行うことも多々あるが、
これも一度の腫瘍血管の塞栓でその血管が潰れて腫瘍が死に絶えるわけではない。ほとんどのがんは、虚血だけでは死に絶えない。
弱ることは十分にあるが、弱っても復活する。
抗がん剤治療と一緒だ。
ビーズは、従来の塞栓材料と違って、腫瘍の血管を温存しやすい。
従来のゼラチンの塞栓物質は、サイズが大きくて腫瘍まで十分に届かず
また腫瘍血管に強い炎症を起こして血管自体が潰れ
次に同じルートから治療しようとしてもそれが不可能になりえる。

がんカテは、血管を潰さず塞栓するという、一見矛盾する大切な加減が必要だ。

話は戻るが、カテを勉強に来てくれた外科の先生は、
さすが7年目、そして優秀で、気さくで、素直だ。
実際難しい症例ばかりだったが、症例や治療の理解が格段に速く
久しぶりに教えがいがあった。
うちらのIVRの業界も、活躍している先生方はみな優秀で
初対面でも1分話せば、ああ、出来る先生だなってわかるもんだ。
この外科の先生も、出来る。
外科の先生が、カテ覚えれば、そりゃ最強だろうな
などと、将来性を感じるイケメン長身先生がこれから毎週カテにくるのが
楽しくなった。

徳洲会では、こういうグループの中での人材交流がよくある。
病院によって得意不得意な疾患のバランスがあり、
不得意な疾患の治療のために、得意な先生が出張して手術、検査することは
高頻度にある。

がんカテは、始まったら週3で繰り返したりすることや、
カテの手技だけでなく、その前後の管理や、並行して
全身抗がん剤治療や緩和治療、その他の支持療法をしたりする。
そして何より、自分ひとりで全てしている。留守に出来ない。
他の徳洲会病院に出張に行けないので、
これは申し訳ないのですが吹田に治療を受けに通ってもらうしかない。

それと、自分はカテの技術は、がんカテに関してはマックス状態だと思っている。IVRにはいろんな手技があり、うちは、がんの患者さんに対する血管内治療が専門なので、他の施設で行っている、がん以外の患者さんの、例えば大動脈の治療や、針を刺して細胞をとったりがんを焼く治療は今はほぼしていない。特化した故に、今していることを、極めてた感がある。
(自分が出来ないIVR手技は、迷わず上手な先生を人脈で呼んでお願いしています。これが自分にとっても患者さんにとってもベターだから)

先日のカテも、一緒に見ていたその外科の先生をうならせるほど
ものすごい場所から出ているものすごい細い血管にカテを何度も入れた。
多分、普通では入らないほどの血管だが、もう何度も苦労を繰り返すと
これしかない入れ方を覚える。だから入れられる。

そして、技術を極めると、技術だけではがんは治せないことが良くわかる。
技術は満点近くを出し切るのが当然で、
問題は、どのような抗癌剤を、どのようにどの血管から入れるか
そしてその効果をみて、次の治療の際はどういう変更をするかのプランニング。こういう経験の豊富さ、さらにその成績をちゃんと学会等で発表しているところが大切だと思っている。


忙しくてブログ書けていなかったが、これからも余裕のある時に書きます。
ただ、今ではほぼ全ての初診患者さんが、
以前のアメブロの読者さんで
うちの外来にくる機会を虎視眈々と狙っていた(笑)そうなので、
ノートで初めてブログを知った方も
過去の膨大なアメブロの記事の方を見てください。


今日のまとめです。

長身、イケメン、仕事出来る
そんな若手医師はきっと結婚してるだろう(笑)
今度確認してみよう(女性陣から言われたので僕が代理で聞きます)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?