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「勝手」に愛してる。『君のいない世界~hideと過ごした2486日の軌跡~』を読んで



【まえがき】

NOTEを始めてhideのことやミュージアムのことを書いているうちに、この本のことも書きたくなったので感想文を書こうとしたら、思い出のアルバムが開いた話。

書いてみて、読書感想文というものは本当に自分勝手なものだなあと思っている次第であります。キーワードは「勝手」ということで。

【勝手】(かって)=他人のことはかまわないで、自分だけに都合がよいように振る舞うこと。

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INAちゃん。

hideがこの世を去って20年がたった、2018年。
hideの相棒でもあるINAさんが、hideとの蜜月を本にされたそうだ。

・・・・・・・・・・。
ていうかINAさんって呼んだことないわ。
本名の「稲田さん」呼びのほうがしっくりくる。
もしくは「INAちゃん」だな。

hideと稲田さんとの蜜月を、稲田さんが書いた。
稲田さんがhideと出会った日から1998年5月2日までの2486日の話が書かれている。

その感想文…のはずなんだけど。

この本を読み終えたとき、私の感情は【hide MUSEUM】へと流れだしてしまった。

稲田さんを思うとき、hideMUSEUMが存在した5年と66日間のことを書かずにはいられなかったのも必然なのだ…ということにしておく。

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hide MUSEUM。

私にとっては切っても切れない場所。仲間内では愛を込めてhideミューって呼んでいた。思い入れがあるとかいうレベルではなく鬼のように執着している場所なので、どれだけ切り刻んでも辿り着くようになっていると思う。

私がhideミューとともに人生を過ごしたのは19歳~24歳までの5年間。学生時代なんかよりもよっぽど青春していた。何よりも特別な「居場所」だと思っていた。

2005年9月25日にhideミューは閉館した。
私はあの場所がなくなってしまったことを、いつまで経ってもどこか受け止められずにいる。



MUSEUMへの偏愛記録はこちらからドウゾ
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好きすぎて、始まる妄想。

hideMUSEUMに足繁く通っていた5年間には、たくさんのイベントが開催されていた。稲田さんにはもちろん、他にもhideにまつわるミュージシャンの皆さんにすごくすごく近くで会うことができた。

そんな有り難い環境のおかげか、はたまた仇となったか・・

私はhideの周りの人の気持ちを【勝手に】想像して、勝手に感情移入してしまうやつになっていた。近すぎたあまり、まるでアーティストやスタッフが知り合いか何かにでもなったような、勝手な妄想をいくらでも生み出せたのだった。

自分のことじゃないのに自分のことと同じ、またはそれ以上に嬉しがったり怒ったり悲しんだりするような、自分勝手で変態的でイタい奴だったという黒歴史も、非常に恥ずかしいが記しておきたい。

とにかくな、自分に酔ってたのだ。

そういう妄想癖に囚われていたからか。
楽しいミュージアムでの日々にも、ある時期だけはすごくモヤモヤすることが続いていた。

未発表曲とのかかわり方

当時、hideの【未発表曲】が立て続けに発売されるという期間があったのだが、hideの死後に多くの未発表作品が出ることをわたしは心から喜べず、逆に戸惑っていた。
いったいどういう気持ちで稲田さんが未発表曲を世に出そうと思ったのか、よく分からなくなっていたからだ。そして、稲田さんとhideがどれだけ強い信頼関係で結びついていたか、全く知らなかったから。

松本秀人じゃない人が、松本秀人の未発表曲を世に出していいのか悪いのか、わからない、わからない、わからない。
誰が出すことを決めたのかも、分からない。

なぜhideが生きている間に出した曲だけじゃだめなんだろう?なぜ未発表作品を出す必要があるんだろう?どれだけ望んでも手に入らないものがあるってこと、hideファンも知った方がいいんじゃないかな?

だって、hideはもう、居ない。

居なくても、hideが生きていた時にリリースされた曲だけで私たちはじゅうぶんに楽しめるのに。hideという人は真新しいものを出し続けなければ飽きられる作品しか出せなかった、なんて世の中に思われたくない。
そして私たちも、新しいものを与えられなくても自分たちで楽しさを作り出せるファンで在りたい。ファンはファンでhideを守っていけるから、関係者にはファンのためなんかじゃなくhideのために行動してほしい。

いろんな気持ちが頭を駆けめぐってた。自分の中で納得できる理由をずっと探してた。
我ながらめちゃくちゃ面倒くさい。

発売ラッシュも滞りなく過ぎたあと、私は稲田さんにメールを送った。とても自分勝手なメールを。

【きっと稲田さんは hideとhideファンのことを考えて、考えて考えて考えて未発表曲を世に出したのに、当時素直に喜べず 批判めいた気持ちすらあったことを本当に恥ずかしく、申し訳なく思う】

今考えるとまるで一方通行で、送った側だけが自己満足するような内容で本当に恥ずかしい。。けど晒す。

そんな、いくらでもスルー出来るであろうメールに、返事が来た。

「それが俺の役目だから、気にしなくていいよ。」

役目。
それは稲田さんがかけられた、呪いなんじゃないかと思った。
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(ここから勝手な妄想です)
まあでも・・・そりゃ呪われたって仕方ないよね。
本に綴ったことが事実なら。

これほどまでに自分の存在を認めてくれていた人が、突然目の前からいなくなるなんて想像できる33歳がどれだけいるだろう。
いつも一緒に思考錯誤して、創作の苦労も喜びも一番近くで感じあってきた相手にもう二度と会えない。想像なんてしたこともないことがあの日、INAちゃんには起きたんだ。

稲田さんの仕事はhideのパートナーとして音楽をつくることだから、これからもhideの音楽をつくる仕事をしなければいけない。たとえhideが此処に居なくても。

あの1998年の
5万人がhideを見送った築地本願寺で
ファンの叫びを聞いてしまった稲田さんは何とかしてひでちゃんが生きた証をみんなに届けなければと思ったんだろう。
それを、稲田さんなりに『役目』と言ったんだろう。

私はそれを『呪い』と思ってしまった。
呪いだよ。呪いでしかないよ。

だって。だって。だって。

世の中とご自身が作り出した「役目」という呪いにかけられて、hideの作品を世に出そうとするたび何年たっても過去に引き戻される。

hideとの創作の日々の、達成感も失敗も喜びも、hideと過ごして楽しかったことも大変だったこともムカついたことも幸せだったことも全部、ずっとずっと昨日のことのよう。色鮮やかなままで風化されない。

毎回そんな感情に引き戻されながら、この人はどれだけ苦しんできたんだろう。

MUSEUMでイベントがあるたび、DJブースで浴びるほど酒を飲んで、我を忘れて はしゃいでる(フリをする)姿は、見ていてとても苦しかった。
全然楽しそうに見えなかったから。
やけくそにしか見えなかったから。

どうして他のお客さんは、そんな稲田さんの姿に気づかないんだろう。

私たちファンが、hideが今も生きているかのような輝きをわがままに求め続ける限り、稲田さんの呪いと地獄は終わらない。

私たちが好きなのは、ひでちゃんだけじゃない。ひでちゃんが愛したメンバーだって、同じくらい大好きで大切なんだよ。その人たちが地獄を味わう姿なんて見たいわけないじゃんか。
いい加減、稲田さんを楽にさせたげてよ…

(妄想タイム終わり)
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と、怒りを向ける相手も見つけられないまま、勝手に怒っていた。

そんな思いも手伝って、私はイベントへ行くことからしばらく離れようと思った。hideを好きだけど、INAちゃんを好きだけど。疲れていた。勝手な妄想をして、勝手に疲れてしまっていたのだ。
余計な想いを持たず、しばらく一人で静かにhideを想おうと思った。

離れようと思えば離れられる私は卑怯だしずるいな、とも思っていた。いなちゃんは離れたくても離れられないのに。

・・・とここまでは2008年くらい?までのこと。

時間なんてあっという間で、イベントに行かなくなってから8年が過ぎていた。2016年。友達の誘いもあって、とても久々にhide関連のイベントに行くことにした。

【Mix LEMONeD Jelly】


hideファンからはMLJと呼ばれてる、hideファンにとっては夏恒例のお祭りイベント。場所は舞浜。

稲田さんに会えることにドキドキしていた。
チケットを買って入場したんだから会えて当たり前なのに、持ち前の妄想癖が都合よく稼働して、勝手に運命的な再会を果たした気分になっていた。

イベントのDJタイムで、DJブースに立つINAちゃんを最前列で見た。


INAちゃんは
イヤでも離れられない呪縛の中に居ながら、それでも今を楽しんでいた。

私はhideと、hideを取り巻くすべての存在に依存していたんだなあと気づいた。悲しみを受け止めるのが怖くてこれ以上傷つきたくなくて、勝手な理想を押し付けていたのは他でもない私だったのだ。

目を背けていた問題にやっと目を向けられた。
これに向き合えるようになるまでに、10年以上もかかってしまった。

勝手だね。ほんとうに。
勝手なんだよ、みんな。
勝手だけど、自然に嬉しい気持ちになれていたことと、イベントが夢のように楽しかったことに、とても救われた。

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ねえこれ…

ねえ…

まじで全然読書感想文じゃないな…

本を読んであふれ出してきた思いを正直につづってしまった…
申し訳ねえ…

二人の未来

いきなり真面目に書くと、
どうして稲田さんはそこまでhideのために自分を犠牲にし続けられるのか?という長年理解しきれなかった疑問の答えが、本の中にはあった。


犠牲、ではなかった。
あのころのふたりはとても楽しかったのだ。


過去には戻らない。けれど「また戻れる未来」というものはあるかもしれない。

hideと稲田さんしか分からなかった色々を惜しみなく教えてくれて、感謝しかない。hideが死んだことで我々ファンは悲しみに覆われてしまったことがたくさんあるけれど、あの頃のふたりには楽しさとワクワクと叶えたい未来がたくさんあったんだってことを、稲田さんの言葉で知れたことは、本当に嬉しい。


そして、どうかいつかこの二人を再び出会えるようにしてくださいと、願わずにはいられない。


2020年はコ◯ナのせいで、こういう楽しいイベントも他に漏れず中止になってしまったけれど、すべてが収束した時にイベントが復活したらまた行きたいなと思っている。

私は歌舞伎が好きなんですけど、赤い髪も白い髪もやったことのあるhideちゃんなら連獅子キャラもいけるんじゃないだろうか!!
グッズ開発してほしー!

やっぱり勝手に、夢は広がっていく。

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