通学ミックスVol.1


一人でいること


 わたしは基本的に1人でいることが多い。大学は留年したから同期は先輩になって忙しそうにしているし、唯一人と喋るのは休み時間の喫煙所くらいだ。学食なんてもう2、3年は食べていない。とはいえ寂しいわけではない。元々1人が好きだし、どうもグループなんかができると波長を保つことにすごく疲れてしまう。すごく勝手なことを言えば、一緒にいたい時だけ一緒にいられる友達が欲しい。これは小さい頃から思っていることで、わたしは果てしなく自分勝手なのだ。一人っ子だから。絶対そう。

 
 彼女とは不思議と24時間一緒にいられる。1人になりたいと思うことは滅多にない。彼女とわたしはすでに1人なのかもしれない。

 わたしたちは今年の10月で付き合って6年になるが、遠距離と近距離を繰り返して、半分ずつくらいやってきた。最近は近距離なのだが、今は1週間くらい離れている。とても久しぶりに離れると、初めは少しだけ“1人の時間“にわくわくしたりもするのだが、2日ともたずに虚無になる。付き合いたての寂しい〜〜♡(泣)(泣)ではなく、何もすることがなくて空っぽになるのだ。耐えられないくらい寂しいかと聞かれたら、もう慣れてしまったし1週間後に会えるとわかっているから正直耐えられるが、どうもこの果てしない暇が苦手らしい。

 子供の頃から1人で遅くまで留守番をしていたからこんなのなんてことなかったのに、わたしはすっかり一人っ子ではなくなってしまったようだ。一生できる!と思っていた楽しくて仕方なかった“1人あそび“が、今はそんなに楽しくない。自由すぎる。親が帰るまでの数時間で十分だったのだ。

 そんな1週間の遠距離も明日で終わる。やっと帰ってくる。普段わたしは、ずっと喋っているタイプではない(と、自分では思っている)。なのに、彼女と久しぶりに会うと、魚市場の競りくらい喋っている。伝わってほしい。何をそんなに話したかったのかわからないし、今も特段話したいことをストックしているわけではないが、会うと止まらなくなるのだ。1人だったことを八つ当たりするように。



 テレビも映画もドラマもゲームもYouTubeも流石に飽きた。それらは実はなにひとつわたしと繋がっていない。コンテンツを浴びて消費するだけ。それなら繋がっている錯覚を起こすような暇つぶしはやめて、とことん1人の世界に籠って、最近すっかり減ってしまった、イヤホンで音楽を聴く時間を設けよう。打楽器だけに集中したりして、高校のバスや地下鉄での通学路に戻ってみる。魂だけ。遠いもん。


7年くらい前のプレイリスト


 書いていて通学路に想いを馳せすぎてしまったから、急遽タイトルを「通学ミックス」としてわたしの通学ミュージックを紹介しようと思う。ずっとやってみたかった。前置きの長いプレイリスト紹介は読み飛ばされそうだ。では早速。


1.投げキッスをあげるよ

 話せば長くなるのだが、かつてのわたしはハロー!プロジェクト、中でもモーニング娘。のヲタクをやらせていただいていて、そこで仲良くしていたヲタク仲間に教えてもらったandymoriというバンドがある。これはそのバンドの曲の中でも大好きな曲である。
 「大丈夫ですよ、心配ないですよ」という歌い出しに何度救われたかわからない。


2.The Vision

 今でもこの曲を聴くだけで、池袋を思い出し、さらには当時モーニング娘。が演っていた舞台を思い出す。PVの画質がすごく良くて目で見ても良い。寝坊したい朝しかないわたしがこの曲を良いといってしまうと、正当化の道具にしているみたいだが、そうではないとだけ言わせてほしい。あと、ビートがめっちゃかっこいい。


3.青い空

 わたしがandymoriを教えてもらった時すでに彼らは解散をしていて、リアルタイムのandymoriをわたしは知らない。この曲を最初に教えてもらいどっぷり浸かり込んだわけだが、なんといってもこの深すぎる瞳を見てほしい。果てしなく深くて真っ暗なのに、何よりもギラギラしている。この曲を、高校生のガキンチョながらにいろんな解釈をして聴いていた。天気がいい日はこの曲を聴きながら、あたかも自分が映画かなんかの主人公になった気分で憂いを帯びた瞳で空を見上げて歩くのが好きだった。ちょっと何言ってるかわからない。


4.この愛を重ねて

 めっちゃ好きだったこれ。公式じゃなくて申し訳ないけどめっちゃいい。5期メンバーの新垣里沙が好きで、ヲタク人生はこの人から始まっているかもしれない。小さい頃からモーニング娘。が好きだったが、もちろんヲタクなんかじゃなかった。ちなみに一番最初に好きになったのは𠮷澤ひとみ。元気に生きていてほしい。
 話は逸れたが、これは本当に良く聴いた。



多感症


 キリがないのでこの辺にするが、お察しの通りわたしの通学はモーニング娘。とandymoriしかない。このお二方は、聴くだけで自分を鼓舞できて、肯定できる。なんというか、綺麗事じゃない言葉でちょっと雑に傷を真水で洗ってくれる感じ。でもそれが一番治りが早いんだよなぁ。

 また、この同時期に、中山可穂という作家の作品にどっぷり浸かった。この作家は女性同性愛、すなわちレズビアンの作品を多く書いているのだが、初めはカテゴリーで手に取ったものの、内容や文体にとんでもないほど惹かれて毎日読んでいた。これがなんと、andymoriの曲によく合う!いや、andymoriがこの作家によく合うと言った方が正しい。世界観の痛々しさや、しっかりとした芯が似ているのかもしれない。今日、文庫本全部引っ張り出そう。


 こんなふうにして、毎日毎日考えまくって、人一倍多感に過ごした高校生活を今では遠くの他人事のように思うが、この時期のおかげで今の自分がいるのは言うまでもないし、通学路は特別好きな時間だった。停学になったせいで寮を追い出され、親戚の家に居候していたために1時間以上かけて通っていたが、逆に良かった。受け入れてくれた叔父さん家族に感謝。


 わたしにとって、“普通“が一番難しくて憧れる対象みたい。

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