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草野心平を読む

ここはバーチャル空間

フレンドさん発見

白い吹き出し💬を見てみると

そこに、面妖な文字列が……



“「ごびらっふの独白」ご存知ー?”


???ごびらっふ?!の独白!??


不勉強で全く存じ上げませんでした。
早速調べてみると「ごびらっふの独白」とは草野心平の詩で、絵本にもなっているということでした。

前に、ひとつの詩が話題になりました。

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む。

三好達治「雪」

私もフレンドさんもこの詩が好きだという点で共通していることがわかりました。
それを踏まえて、ごびらっふの詩を勧めてくださったのだと思うと、これは是非とも読みたいと思いました。

私は一応「詩」というものが好きと言えると思うのですが、その割に好きな詩人の一人もなく、座右の銘の詩の一編もなく、正直よくわからないのです。
そんな話は前にも書きました。

草野心平も、名前だけは知っているというレベルでした。あらためて調べてみると、蛙を題材にした詩が多く「ごびらっふの独白」に至っては蛙語で書かれ、日本語訳が付いているということでした。
ごびらっふだけでなく、草野心平の詩をちゃんと読みたいと思い、絵本「ごびらっふの独白」と詩集「日本語を味わう名詩入門12草野心平」の2冊を取り寄せることにしました。

ごびらっふの独白
草野心平 詩   いちかわなつこ 絵   齋藤孝 編
日本語を味わう名詩入門12草野心平


まずは詩集を手に取りました。
冒頭は初期の詩集『第百階級』から「秋の夜の会話」

さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ土の中だね
土の中はいやだね
痩せたね
君もずいぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだろうね
腹だろうかね
腹とったら死ぬだろうね
死にたくはないね
さむいね
ああ虫がないてるね

草野心平「秋の夜の会話」

誰が聴いてるわけでもないのに自然と音読していました。(しかも若えのとベテランを演じ分けて)
地上にあって地べたを這って生きる最底辺階層の生き物〈第百階級〉の蛙。
卑下しているようでありながら、人類より遥かに長く太古の昔からずっと生きてきた誇りを感じさせます。
今この詩に会えてよかった。若いころではきっと理解が足りなかったと思います。
蛙の詩を何遍か読み、どれも力強く心に迫ってきました。
それから絵本「ごびらっふの独白」を手に取りました。
蛙語、読んでも意味は分かりませんが、豊かな自然、太古の地球の姿と、どこか満ち足りた表情の蛙の絵から伝わってくるものがあります。
そして後ろに載っている日本語訳がもう本当に素晴らしい(こんな拙い語彙しか持ち合わせていませんが)。蛙の言葉がこんなふうに世界の真理を語っていることに、人間として謙虚に真摯に向き合いたいと思いました。
草野心平、好きな詩人になりました。
フレンドさん、ありがとう。

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