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298 原野に還る廃線跡をめぐる~北海道・士幌線


帯広にやってきました。
昨日まで小樽や札幌は本州と変わらないほどの暑さだったんですが、ここ帯広は22℃。やっと北海道らしい涼しいところに来れたと安堵しました。

今日はここで車を借りて廃線跡をめぐる計画です。

今回訪ねるのは帯広駅から北に延びていた国鉄士幌線の廃線跡。特に乗客の少なかった末端部分を巡ります。

士幌線は帯広駅から十勝三股駅を結ぶ路線で1925年に開業しました。末端部の糠平(ぬかびら)から十勝三股までの間は、林業で生計を立てる人々が住んでいましたが1970年代には切り出す木材も枯渇する状態となり、貨物輸送が事実上なくなりました。かつて十勝三股にあった営林署も廃止されると人口は激減、1978年には糠平駅から十勝三股駅までの間は当時の国鉄としては異例のバス代行運転となりました。その後人口が比較的いた士幌、上士幌でも帯広に近い地域でも過疎化が進み、全線が国鉄再建法に基づく第2次特定地方交通線に指定されることとなり1987年に廃止されてしまいました。

人口が増加していて日本にまだ経済成長の勢いのあった1970年代にあって早くも超過疎に陥っていた地域とはいったいどんなところなのか。まずは終点、十勝三股駅跡に行ってみました。

はい、この辺りが十勝三股駅跡です。なんとなく線路跡?っぽいものがあるんですが駅のあった跡はありません。駅がありましたよという記念碑のひとつくらいあってもよさそうなものなんですが、ものの見事になにもありません。営業中の山荘が1軒あるだけでした。

他には廃工場と倉庫があるのみ。かつてここに終着駅があり、多くの人の栖があったとは思えません。何か施設が残ってないかスマホで情報を得ようとしましたが、電波エリア外でどこにいるかさえわかりませんでした。
あとで地域ガイドに伺いましたが、今もし何かしら施設が残っていたのなら町が保存をしたはずなんですが、あまりにも早く廃村になって施設を壊してしまったために歴史的価値に気づいたころにはすでに何もなかったのでなすすべがなかったそうです。

一方、一つ手前の幌加(ほろか)駅のほうは施設がしっかりと保存されています。

但し、クマが出没するそうなのでご注意を!

幌加駅跡は線路が残り、手動式のポイント切り替え機も使うことができました。当時の人は手で動かしてポイント切り替えていたんですね。

かつてのホームの後ろは木が生い茂っています。かつては多くの林業従事者がここに住み、集落を形成していたそうです。ガイドによれば、家では酒くらいしか楽しみがなかったので毎晩酒盛りをしていたらしく、森の中から酒瓶が多く発掘されるそうです。特に養命酒の瓶が多いらしく、当時集落ではやったようだとのことでした。

今は原野に還りつつあるこの場所に過去確かにここに人が住んでいた証となっています。

こちらは幌加駅と十勝三股駅の間に架かっている第五音更川橋梁跡。士幌線は多くの端がアーチ橋となっていて、廃線後もその美しい姿を残しています。このアーチ橋の上に生えている緑は草ではなくて木だそうで、毎年ガイドが橋に登って伐採しているそうです。この橋に登って作業って結構怖いですよね。。。

さて、さらに南に下って糠平の集落まで戻りました。糠平は温泉などもあることから大雪山観光の起点にもなっています。そんな糠平にあるのが上士幌町鉄道資料館。かつてここを走った士幌線の史料を展示した小さな資料館です。

北海道名物ホーローの駅名標。まだ十勝三股まで列車が走っていたころの時刻表も残されています。

外に一部残っている廃線の上には車掌車が展示されています。1980年代までは貨物車などにも車掌がいたんですよね。国鉄の合理化でなくなってしまい用途を失った車掌車ですが、北海道の無人駅の待合室に使われていたりします。

さて、士幌線の廃線めぐりをしてきたわけなんですが、一番有名なスポットに触れられていないことにお気づきでしょうか? 鉄道ファンのみならず、一般の方からもインスタ映えするスポットとして人気の場所。

もちろん行きましたよ!
それについては次回書きたいと思います。お楽しみに!









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