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419 通過するだけじゃモッタイナイ!魅力あふれる敦賀をご案内。


前回に引き続き、福井県敦賀市にいます。
北陸新幹線が延長開業して敦賀駅は北陸新幹線と各線の乗換駅としての役割を担うことになりました。利用者のほとんどが乗換客で在来特急や湖西線の新快速などから北陸新幹線に乗り換えてそのまま目的地に向かっていきます。敦賀駅で降りる人もいますがそれは地元の方。観光目的で敦賀駅の改札を通る人は少ないのが現状です。

でもちょっと待ってください。敦賀駅周りには今回の新幹線延伸で駅がリニューアルされ新しい施設ができました。そしてそれ以前から敦賀は観光スポットが数々あるなかなか見ごたえのある町なのです。ただ乗り換えるだけじゃモッタイナイ!せっかく敦賀で電車を降りるならすこし寄り道して敦賀の街を歩いてみませんか?

メーテルと鉄郎が物語を紡ぐ駅前通り

鉄郎が随分男前。

駅前から国道8号線にかけて続く敦賀の繁華街。その歩道には「銀河鉄道999」で登場したメーテルや鉄郎たちの銅像が並びます。昭和50年代に松本零士さんが生み出した人気漫画であり今も根強い人気を誇っています。ゴダイゴの名曲「銀河鉄道999」はJR西日本の新幹線駅の発車メロディにもなっていますね。

とぼけた感じで実は逞しい車掌さんが好きでした。このような銅像がとおりのあちこちで見られます。でもなぜ敦賀に「銀河鉄道999」なのでしょうか。それは敦賀は鉄道と所縁が深い町だからです。

敦賀駅が開業したのは明治15年のこと。日本初の鉄道新橋駅の開業は明治5年ですからそのわずか10年後に開業しています。これは日本の鉄道の中でもかなり早い部類に入ります。それは敦賀が古くから日本海の玄関口として重要な場所として位置づけられていたから。東京から滋賀県の長浜を経由して敦賀を結ぶ線路はかなり早い段階で繋がっていたのです。

昭和5年ごろは敦賀からロシアのウラジオストクまで船で渡り、そこからシベリア鉄道を経てベルリンなどに至るルートもありました。敦賀は古くより交通の要衝であったのです。しばらくその歴史は忘れられてきましたが、今回敦賀駅は北陸新幹線の終着駅となり再び人の行き交う場所となりました。これも何かの縁ではないかと思います。

敦賀名産「おぼろ昆布」

メーテルたちに誘われながら国道8号沿いを歩き、敦賀名産「おぼろ昆布」を扱う店にやってきました。敦賀昆布「おぼろや」さんです。

「おぼろ昆布」とは乾燥させた昆布を甘酢に浸して表面を専用の刃を使って削ったものです。厚さは0.01から0.02mm。向こうが朧気に透けて見えることからその名がつきました。こちらには職人さんが店内にいて実際に昆布を削るところを実演してくれます。酢が濃い部分と薄い部分があって、削った場所によって酸味が違います。

昆布は北海道で取れるのになぜ敦賀でおぼろ昆布ができたのでしょうか。江戸時代、敦賀は北前船の寄港地でした。北前船は北海道で取れた昆布をここで降ろして京や大坂に運んでいきます。そのためここに大量の昆布が入り加工品が作られることとなったのです。

おみやげに買いました。むき込みおぼろは300円(税抜き)とリーズナブルです。味噌汁に入れるもよし、おむすびに巻いて食べるなんて言うのも酢がほんのり聞いてておいしいですよ!

越前の一宮「氣比神宮」

駅とは反対方向にもう少し歩くと越前国の一宮「氣比神宮」があります。敦賀駅からは歩いて20分ほどです。氣比とは古事記の御食津<みけつ>が転訛した語と言われています。古代、朝廷に食物を貢いだ国を御食(みけつ)国といいましたが、鯖などの海産物が豊富だった敦賀や若狭地方は御食国とされてきました。主祭神はイザサワケという稲を促す男神であり、永遠に食べることに困ることがないようにと願い食物神を奉られていることがわかります。

こちらが本殿。越前国一之宮であるほか、北陸総鎮守ともされているだけあって立派な屋根構えで風格が漂っています。日本武尊や應神天皇なども祭神として祀られています。

列車の待ち時間はここで読書を「ちえなみき」

敦賀駅に戻って来ました。駅西口にはottaという商業施設が新たにオープンして昆布店などお土産屋が並んでいますが、敦賀市知育・啓発施設「ちえなみき」もottaの中にあります。

中をのぞくと迷路のように本棚が並びます。本の森の中に入り込んだような錯覚に陥ります。

それもそのはず本棚の並びを上から見るとこんな感じになっていて、まるで木の枝が伸びているよう。これが「ちえなみき」の名の由来です。ところでこの施設は図書館でしょうか、書店でしょうか?

実はどっちも正解です。貸し出しはできませんが、ここにある本はすべてゆっくり座って読むことが可能。そして気に入った本は購入できるのです。

「ちえなみき」のコンセプトは「本を通じて人と地域と世界が繋がる」。通常の図書館とは異なった分類で本を配置することで新たな知を生み出し、地域の人々が本を通じて世界とつながる場を提供しています。なお、店内はカフェもあります。もう乗り換え時間の時間つぶしのためなんて言わずにここを目的地にして何時間か滞在したい。そう思える場所です。

2階はより図書館らしい雰囲気。テスト勉強もここでできそう。


いかがだったでしょうか。通り過ぎるだけなんてモッタイナイ。そう思えたんじゃないでしょうか。せっかく乗り換えるなら少しスケジュールに余裕をもって、敦賀で途中下車して町を歩いてみるのも楽しいと思いますよ!

サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!