Cansawa

都内の児童養護施設で働いています。児童養護施設職員の現状や子どもたちの現状を発信してい…

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都内の児童養護施設で働いています。児童養護施設職員の現状や子どもたちの現状を発信しています。メインのブログはこちらで発信しているので、ぜひ遊びに来て下さい。 http://cansawa.livedoor.blog/

最近の記事

児童養護施設職員のつらさ

児童養護施設職員のつらさ 児童養護施設職員を目指す人に、ぜひ知っていてもらいたいことがあります。 児童養護施設職員は大変な仕事です。 よく誤解されるのが、「家政婦となにが違うの?」とか「子どもと遊んでればいいんでしょ?」ということですが、まったく違います。 子どもたちは虐待を受けて児童養護施設に入所してくるので、基本的に大人のことを信用していません。 不適切な養育環境で生き延びるために、子どもたちは色んな“生きる技術“を身につけています。 例えばこんなことです。。

    • 大人を信用できない子どもたち

      大人を信用できない子どもたち 児童養護施設の子どもたちは、大人を信用できない子が多くいます。 「あなたが心配なんだよ」と伝えても、「え、なに言っちゃってんの?嘘つき」と言う子がいます。 子どもたちにとって、大人を信用するということは大変にハードルが高いことなのです。 なぜ、そうなのでしょうか。 児童養護施設に入所する理由は、ほとんどが虐待 児童養護施設に入所するには、児童相談所が子どもを保護するところから始まります。 学校や病院、警察から、「この子は虐待されてい

      • 子どもから死にたいと言われたら・・・

        まだ児童養護施設の職員になって、3年目ぐらいの時だったと思う。 担当だった中学3年生Tの、三者面談に行った。 Tは、別の施設で生活していたが問題を起こして、施設を変わってきた子だった。 私の寮に来たのは1年ほど前で、私とも1年の付き合いだ。 Tは、言動は粗暴だったが、人なつこいところもあり、可愛い子だった。 三者面談の枠は一番最後で、担任の先生は部活の顧問も兼任していた。Tは担任の部活に入っていたので、授業も部活も、よく見てもらっていた。 その先生に、内容は忘れた

        • 児童養護施設で性教育は必要か

          児童養護施設で性教育は必要か 児童養護施設で起きる事件の中で、職員がもっとも対応に苦慮するものが性的事故です。 性的事故とは、児童と児童が性的な接触、または暴力を行うことです。 お互いに了承して性交渉した場合でも、性的事故です。 お互いに了承している場合は、児童の傷つきはさほど大きくはないでしょうが、大変なのは了承のない性的な接触です。 多くの場合が無理やり、または断れない状況に追い込まれて、セックス、オーラルセックスを強要されます。 そういう事故が起きると、「性

        児童養護施設職員のつらさ

          児童養護施設職員の資格

          児童養護施設職員になるための資格 児童養護施設職員になるための資格は、ぶっちゃけるとありません。 一番近い資格は保育士になるのでしょうが、それも、絶対必要というわけではありません。 保育士資格は短大卒相当の資格なので、学歴では4年生大学卒より評価基準が低いです。 児童養護施設職員が持っている資格で一番メジャーな資格は、おそらく児童指導員任用資格ではないでしょうか。 各施設の求人を見てみると、求める資格を記載している場合もあります。 しかし、実際に児童養護施設職員と

          児童養護施設職員の資格

          組織に不満を持ってはいけない

          組織ではなく人に不満がある 児童養護施設は、園長(施設長)がトップ、その下に副園長や主任などの管理職が存在します。 施設の会議は複数あることは通常で、組織の規模に応じた会議を執り行われます。 例えば、私の所属している施設の最高位の会議は全員が参加する職員会議ですが、その会議が承認を伴うからであって、実際に施設全体の決め事を話し合う場は運営会議です。 運営会議のメンバーは前述した管理職の他に、副主任や会計職員が参加します。会計職員が参加するのは、予算上の問題に対応するた

          組織に不満を持ってはいけない

          児童養護施設の心理士

          児童養護施設の職員集団 児童養護施設には様々な職種の職員がいます。 トップは園長(施設長)です。その下に、副施設長や主任などの管理職がいます。 現場で直接子どもをケアするのはケアワーカーの仕事で、施設職員と言われれば多くの場合がケアワーカーのことを示します。 その、ケアワーカーの仕事を支えるのが、専門職と呼ばれる職員です。 専門職には、個別対応職員、家庭復帰支援員、自立支援コーディネーター、栄養士、調理士、看護師、精神科医など様々な職種が存在します(※東京都のみ配置

          児童養護施設の心理士

          子どもにとっての児童養護施設職員

          児童養護施設職員は友達ではない 児童養護施設の子どもにとって、私たち児童養護施設職員は友達ではありません。 私が新人の頃、先輩職員から「まず子どもと関係を作ってね。」と言われました。 子どもと関係を作るということで一番最初に思いついたことは、子どもと遊ぶことでした。 子どもと卓球をしたり、バスケをしたり、一緒にテレビを観たり、子どもの時間にお邪魔して、自分も一緒に時間を過ごすことをしました。 その中で、子どもと関わる時間を作り、関係を作ってきました。 そうしないと

          子どもにとっての児童養護施設職員

          児童養護施設職員の給与

          児童養護施設職員の待遇 この話は、ある意味禁断の話です。あまり大っぴらに給与の話をすることは下品だと思われるかもしれないです。 しかし、大切な話だと思います。 私が学生の頃、児童養護施設に初めて見学に行った際、対応してくれた職員に、「児童養護施設職員の給与で、家族を十分に養えますか?」と聞きました。 その職員は、「どの程度が養える基準かにもよりますが、私は養えていますよ。」と真摯に答えてくれました。 後に、見学した施設に入職し、結婚し、子どもも生まれ、自宅も購入しま

          児童養護施設職員の給与

          児童養護施設を出たあとはどこに行くのか

          児童養護施設はいつか出て行かなければならない 当たり前のことですが、児童養護施設はいつまでもいることはできません。 基本的な入所は18歳までと定められており、高校3年生の在学中に18歳を迎える児童は、児童相談所に措置延長の手続きをしてもらい、高校卒業まで入所を許可してもらう、という手順を踏まなければなりません。 現在は、大学4年間はなるべく児童養護施設から通えるよう、社会的養護自立支援事業という制度があり、児童養護施設から退所する年齢は年々遅くなっているように感じます。

          児童養護施設を出たあとはどこに行くのか

          児童養護施設職員が、仕事を超える時の話

          今回は、児童養護施設職員の素晴らしい働きを、少し突っ込んで話していきたいと思います。 児童養護施設で働いていると、幼児さんからずっと児童養護施設で育った子に出逢います。同じように、その子とずっと一緒に施設で働いてきた職員さんにも出逢います。 今日は、そのことについて話そうと思います。 職員の基本的な「正しい」スタンスと、子どもとの関係性 別のブログでも何度も言っていることですが、児童養護施設に入所してくる子どもたちは、ほぼなんらかの虐待を受けていると言っても過言ではあ

          児童養護施設職員が、仕事を超える時の話

          児童養護施設職員の離職率が高い理由

          児童養護施設職員の離職率が高い理由 児童養護施設の職員は、離職率が高いと言われています。 私は2008年から児童養護施設で働いていますが、職員が潤沢にいた年度は1度もありません。 安定した組織であれば、数年後に組織運営に貢献できる人材の育成を行う体力もあるため、運営を担うプレイヤーの他に、社員教育を行う人材や現場で運営を担う前の研修生のような人材もいると思います。 しかし、児童養護施設職員は、新人として先輩と一緒に勤務できるのは概ね1ヶ月。その先は完全なるプレイヤーで

          児童養護施設職員の離職率が高い理由

          児童養護施設職員が天職の人はどんな人か

          児童養護施設職員が天職の人はどんな人か 端的に結論から言えば、児童養護施設職員が天職の人は、誠実な人です。 これさえあれば、他のことは経験と学習で乗り越えることができます。 これでこの記事の内容は終了なのですが、もう少し説明していきたいと思います。 そもそも、天職という考え方はない どの仕事も同じことが言えますが、働き始めてすぐ結果が出る仕事はありません。 どんな仕事も楽しいことと同様に、辛いことはあります。 ストレスがまったくない職場はあるにはあるでしょうが、

          児童養護施設職員が天職の人はどんな人か

          児童養護施設の子どもたちは不幸なのか

          児童養護施設の子どもたちは不幸なのか 施設で長く働いていると、子どもたちがいろんな気持ちを話してくれることがあります。 「こんなところ来たくて来たわけじゃない。」 「家族と離れて暮らす気持ちわかるのかよ。」 そんな言葉を聞いたのは、1度や2度ではありません。 子どもたちが抱えている保護者からの愛情不足を補うには、施設職員という赤の他人でやれることに、やはり限界はあります。 業務量の多さ、向き合わなければならない子どもたちの人数など考えてみても、個別の時間はなかなか

          児童養護施設の子どもたちは不幸なのか

          【児童養護施設職員が児童虐待をしてはいけない】

          【児童養護施設職員が児童虐待をしてはいけない】 冒頭から当たり前のことを言いますが、児童養護施設職員が児童虐待をしてはいけないです。 そもそも、児童養護施設に入所するほとんどの児童が、保護者からなんらかの虐待を受けて入所しています。 大人に権利を侵害されている子ですから、施設に保護した後に権利を侵害してはいけません。 まぁここまでは、当たり前のことを当たり前に言っているだけです。児童養護施設で働く職員は全員、そんなことはわかっているのです。 でも、どうして施設内児童

          【児童養護施設職員が児童虐待をしてはいけない】

          子どもが好きな人は児童養護施設職員にならない方がいい

          【子どもが好きな人は児童養護施設の職員にならない方がいい】 これは、はっきり言ってそうです。 まず、子どもが好きな人は、なぜ子どもが好きなのか考えてみて下さい。 多くの人が抱く子どものイメージは、「無邪気」とか「無垢」ではないでしょうか。 そういう子は、児童養護施設にはほとんどいません。いても幼児さんぐらいでしょう。 児童養護施設にいるほとんどの子が、保護者から何らかの虐待を受けて入所しています。虐待を受けていない場合でも、不適切な養育環境だったことは間違いないでし

          子どもが好きな人は児童養護施設職員にならない方がいい