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バレエ感想㉚「眠れる森の美女」東京バレエ団

東京バレエ団元ファーストソリストの奈良春夏さんが新制作「眠れる森の美女」に王妃役で出演されると知り、慌ててチケットを買いました。東京バレエ団を見るのは15年ぶりで、今回印象に残った3名について書いてみます。


大塚卓さん

私の席は上階でしたので、ダンサー達が見せ方をどう工夫しているか興味深く見ていたのですが、大塚卓さんはとても印象に残りました。1幕で4人の王子、3幕でプラチナの精としてご出演されましたが、感動したのが大塚さんの表現の分かりやすさです。

例えば4人の王子は帽子をかぶるシーンが多く、帽子があると上階に顔はほとんど見えないため、観客はダンサーが何をしたいのか体の動きを見て推測するしかありません。
ダンサーは通常自分の周りや、舞台から見える1階のお客様のことは意識されていると思いますが、上階の観客の存在を忘れている方も多いです。ですが大塚さんは何を伝えようとしているのか、上階にも鮮明に伝わってきました。体の向きや手の動きが工夫され、体全体で演じられており、遠くに座っていても何を表現したいのかよく分かりました。

4人の王子の際は振舞いが優雅で、高貴さが最初のお辞儀の時点で伝わってきました。衣装はダボダボしていて動きにくそうでしたがそれを物ともせず、常に余裕を感じさせていたのが印象的です。

プラチナの精では音楽を身に纏っているかのように動いていたのが印象的でした。もちろん体の動きや振り付けは周りと一緒ですが、空間の使い方がとても上手で、体の動きからメロディーが流れてくるかのような素敵な踊りでした。

中島映理子さん

ダイヤモンドの精を踊られていましたが、あまりに上手くて、ゲストダンサー呼んできましたというレベルで際立っていました。ポールドブラが優雅で動きが洗練されており、異次元の美しさでした。

奈良春夏さん

奈良さんは王妃でなく、宮廷の貴族としてご登場。舞台で拝見できて感涙しました。
一幕では視線と手の動きが印象的でオーロラを慈しむような優しさに満ち溢れていました。カラボスが来た際は、耳鳴りがして具合が悪くなってしまっているように演技されておりとても自然でした。
三幕ではキャラクター達へ反応する様子が本当に可愛かったです。白い猫に対しては「猫ちゃん可愛いわね」という声が聞こえてきそうでした。今回舞台で輝く奈良さんを見れて本当に良かったです。

久々の東京バレエ団、とても楽しかったです。

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