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33、無知を晒すとラッキーが起こる 日活社長 佐藤直樹さんの巻

そろそろ映画業界編に戻るとする。

ニューヨークから帰国して、僕はメディアファクトリーで映像事業を担当するようになる。コンサートなどイベント事業は瞬間的なおもしろさは群を抜いていたが、収益力を考えると儚さを感じていたのだ。

マイケルジャクソンのコンサートを企画すると、9000円のチケットが3万枚即日完売する。福岡5daysの公演ならチケット売上は約13億5000万円だ。これに物販、飲食の売上が乗っかってくるので、客単価@2000円としてもプラス3億円の売上。

売れているビッグアーティストだけ扱っていると実はコンサートビジネスは固い。
 

だが、それがいつまでも続くとは限らない。マイケルのように亡くなってしまえば興行ビジネスも終わる。
 

しかし、CDは売れ続ける。コンサート映像などのDVDも売れる。今後は配信でずっと誰かに聞かれ、見られ続け、収益を産み続けるだろう。映像に残し、著作権を所有することで音楽も映画も著作者の死後70年までビジネスできるのだ。
 

このビジネス寿命の長い事業への転身を考え、映像事業に挑戦しようと僕は思った。
 

その頃に出会ったのが当時、大映映画、現日活社長の佐藤直樹さん。確か同い年くらいだったと記憶している。
映像業界に参入したばかりの素人の僕は、佐藤さんに「映画業界のイロハ」を質問しまくった。最初は気安く教えてくれていた佐藤さんも、あまりにしつこく質問してくる僕に
 

「樫野さんは、業界の人が恥ずかしくて聞けないようなことも聞いてきますね」と呆れて笑っていた。
 

さすがに少し恥ずかしかったが(笑)、わからないことは詳しい人に教えてもらうのが一番。それもなるべく早く吸収した方が良いので、持ち帰って勉強なんてしない。その場ですぐ聞くのが肝だと思っている。

「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」ということわざがあるが、
頭でわかっていても実践するのは実は恥ずかしい。

そういう場面に遭遇した時、
「あとで調べよう」とか「机の下でスマホで検索」するのではなく、
「先生、頼りにしてますから教えてくださいよ。」
「勉強不足で、全然知りません〜」
と、無知をさらけ出せるかどうかがその後の成長速度を左右する。

そうした縁で、佐藤さんが制作していた「ガメラ1999」のメイキングビデオを僕がいたメディアファクトリーで発売させてもらうことになる。
そう、そのメイキングビデオは庵野秀明さんが監督をし、本編映画より長いメイキングビデオとなり、内容の過激さでガメラファンの間で物議を醸したあの作品だ。

素直に教えを乞うていると、時々こうしたラッキーが起こるのである。

楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!