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最近好きなテレビ番組について

 私は両親が共働きな上に、一人っ子だったので、学校から帰ってまずすることは、テレビをつけることでした。習い事もしていなくて、勉強することも強要されなかったため、テレビがいつでも見放題で育ちました。小学生の頃は、「天才てれびくん」が大好きで、特にレインボーガーディアンズ(?)と、アンダーワールド(?)に別れて物語が展開していく時期の天てれ戦士が大好きでした。当時の推しは、前田公輝さんでした。いつも番組が終わると、天てれ戦士たちがいつの時代かに流行った曲をカバーして歌っていましたが、私は中でも、「ラジオスターの悲劇」という曲がお気に入りでした。いつも口ずさもうとするのですが、当時はスマホでググるなどできなかったので、歌詞も分からなければ、これがバグルスというバンド名の、イギリス人歌手の曲だということも分かりませんでした。「きみは~レディオスターアアアアア♪」のコーラスが頭から離れず、この曲が何であるのかを知れずにもどかしさも感じていました。あれから約20年が経ち、この曲をYoutubeで検索してようやく原曲を聴くことができました。そのコメント欄に、"Youtube killed the TV star"と書かれているのが目に留まりました。
確かに、「若者のテレビ離れ」といった記事もネットで目にするようになりました。しかし、少なくとも私は、Youtubeよりも、Netflixよりも、ディズニーチャンネルよりも、テレビを見ているときのほうがリラックスできます。
職場で叱られるたびに、私は社会不適合である現実を突きつけられます。
そんなとき、家に帰ってテレビをつけて、マツコ・デラックスさんの楽観的で、厭世的で、少し癖のある発言を聞いたりすると、今日の仕事での失敗がどうでもよくなります。あるときは、「上田と女が吠える夜」を見て、あーこう考えてるの、私だけじゃないんだって勇気づけられます。あるときは「金曜ロードショー」で、昔よく見ていたハリーポッターを何年振りかに視聴して、11歳になったら、ホグワーツから手紙が来ると信じていた子ども時代を思い出します。無意識のうちにテレビをつけて、偶然出会った番組で、外国にはこんなおもしろいものがあるんだ~と知れるのもいいです。ときには、NHKの「ザ・プロファイラー」を見て、昔の偉人すごいなぁと、感慨を抱いたりもします。
雑誌のPOPEYEに「本と映画のはなし。」という企画の総集編があるのですが、その中で、いちばん共感した考え方がありました。
引用させていただきますと、滝口悠生さんという芥川賞作家さんがこのようにおっしゃっていました。
「自分の部屋で、CDをケースから出してプレイヤーにセットして再生ボタンを押す、その予定調和的な作業に抵抗を感じる」
そう、Youtubeや、Netflixには予定調和的な作業に縛られていて、自らの意思で選択して、ふと見てみたら、おもしろかった、という偶然の出会いがないように感じるのです。では、テレビは予定調和的でないのか、といったら、自ら進んでリモコン付けているので、予定調和的なのかもしれません。それでも、今日、この時間に放送する番組は見たいから見るのではなく、たまたま放送していたから見る。私はまだ、偶然の出会い、何気なくやってみたら、みたいなものにこそ、何かが生まれると、希望を持っています。

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