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第12話 カピちゃん、ロボ君に会いに行く。~その4~

「ここがロボ君の家だよ。」
と、銀色の鳥は言うと、空色の屋根の家の前にふわりと降り立ちました。

「ここがロボ君の家なんですね!素敵な家ですね!」
と、カピちゃんは銀色の鳥の背中から降りながら言いました。その家はカピちゃん達が動物園で住んでいた家よりも大きめで、鮮やかな空色の屋根に、真っ白な壁で作られていました。そして、家の周りには見たことのない綺麗な花々が咲いていました。

「ありがとう。輪廻の森にいる動物たちが少しでも気持ち良く過ごせるように、ワシも色々と気を使っているんだよ、あと、この家はしゃべることができるんだ。」
と、銀色の鳥は言いました。

「しゃべることができるんですか?ええ!!家が?しゃべるんですか?それはまたどうして?」
と、カピちゃんはびっくりして大きな声で銀色の鳥に聞きました。

「輪廻の森にある家には全て、家の精霊についてもらっているんだよ。動物たちも家族や友人から離れて寂しいだろうからね。家にいる時に寂しくないように、現世で人間の家についていた家の精霊に来てもらって、動物たちの話相手になってもらったり、家を管理してもらっているのさ。」
と銀色の鳥は言うと、その体はどんどん小さくなっていき、最初に会った時の体のサイズに戻りました。

「さあ行こうか。ちなみに、この家の精霊の名前は『柳さん』というんだ。これから時々お世話になると思うから、覚えておくようにね。」
と、銀色の鳥は言いました。

「は・・・はい!」
と、カピちゃんは緊張しながら言いました。

銀色の鳥とカピちゃんはその家のすぐ前まで歩くと、銀色の鳥はその家に向かって話しかけました。
「柳さん、こんにちは。ロボ君は家にいるかね?」

「これはこれはシルバーさん、よくいらっしゃいました。お友達もご一緒ですね。はい。ロボ君は家にいらっしゃいますよ。もし良かったら中で少し休まれますか?」
と、家の方から年取った上品な男性の声が聞こえたかと思うと、家の扉がゆっくりと開きました。

「柳さん、どうもありがとう。それでは、少しお邪魔するよ。ロボ君と少し話しをしたかったからね。あと、こちらはカピバラのカピちゃん。今日輪廻の森に来たんだ。ロボ君のいい友達になれるかもしれないと思って、一緒に来てもらったんだ。」
と、銀色の鳥は言いながら家の中へ入りました。

「それはそれは、きっとロボ君もお喜びになるでしょう。さあ、お入り下さい。ところで、お友達のカピちゃんは少しびっくりされているようですね?」
と、その家からまた声が聞こえました。

カピちゃんは声の主はいったいどこにいるんだろうと、家の入口付近でキョロキョロと四方八方に目を凝らしていました。声は聞こえるけれども姿は見えないのは、なんとも変な気持ちでした。

「カピちゃん、そんなところにいないで早く中に入りなさい。扉が閉められなくて、柳さんも困っているだろう。」
と、銀色の鳥はカピちゃんの方を振り返って、呆れたように言いました。

すると当然、ガシャンガシャンという音と共に別の声か聞こえてきました。
「柳さん、勝手に他の人をいれないでって言っただろう!全く、どうして僕の断りもなく他の人を家にいれるんだ!」

カピちゃんが家の中を見ると、そこにはロボ君らしきものがやって来ていました。(変わった形だな。どの動物ともあまり似ていない・・・)と、カピちゃんは思いました。ロボ君の体は白っぽく、つるつるとして毛が全く生えていませんでした。そして、ロボ君の腕はびっくりするほど細く、対して足はびっくりするほど太いものでした。

「ロボ君、大変申し訳ない。でも、お客様がいらっしゃったらもてなすのが礼儀というものですよ。それに今日は新しいお友達もいらっしゃったようですよ。」
と、家からは声が聞こえてきました。

「新しいお友達?誰それ?」
と、そのロボ君らしきものはカピちゃんを疑っている様子で、じっと見つめました。

~第13話につづく~


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