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離婚問題。それからー⑬

その日彼は、いつも通り仕事に行く支度を
していた。

私は在宅勤務なので、始業時間までは
家のことをしながら過ごしていた。
すると彼が「なんだかしんどい」と言う。
あとは鞄を持って出掛けるだけ、という
状態なのに動けないのだと言う。

ベッドに腰かけて「どうしよう」と言う彼。
私は「休んだら」と言うのだけど、彼は転職した
ばかりということもあり気乗りしない様子。

「無理はしない方がいいよ」などと声掛けを
しているうちに、段々彼の様子が変化し
とうとう泣き出してしまった。

私が彼を抱きしめると、それからは堰を切った
ように涙が止まらなくなり
辛いのだと、どうしようもないのだと
叫び始めた。
そして過呼吸を起こした。

彼の様子を見ながら私は冷静に
「母もこんな感じだったな」と見ていた。

母もしょっちゅう過呼吸発作を起こしていた。
だから冷静にビニール袋を用意し口元にあてる。

しばらくすると過呼吸が落ち着いた。
さすがに仕事には行けないと理解したのか
彼は会社に休みの連絡を入れる。

「お前は知らないだろうけど、朝帰りをした日
 泊めてもらった人の家でもこうして泣き叫んで
 たらしい。俺が悪いんじゃない!って。
 酒を飲んでて記憶はないけど」
などと話していた。

私との関係が辛かったのももちろんあるだろう。
けれど自分の育った環境への不信感なども
芽生えていたことも影響していたと思う。
そしてそれよりも何よりも、
ハードワークが原因だったろうと私は見ている。

この出来事は今年の夏頃の話だが
私は年明けから「鬱では?」と感じていたから。
だから離婚を切り出してきたのも
うつ状態だったからだと思っていた。
今でも思ってるけど。

そして渋る彼をメンタルクリニックへと
連れて行ったところ、やはり「うつ病」の
診断が出た。
1か月間の休養の診断書をもらい
その日から彼は休業することになった。

この時私は
「よし、これで家にいるだろう!
 家にいてくれればきっとまた
 私を見てくれるはず!」
と考えていた。

それに
「うつ病がよくなれば離婚したいって
 気持ちもなくなるはずだ!」
とも。

こうして書いてみると「なんか自分勝手だなぁ」
と感じるけど、オブラートに包まない噓偽りない
気持ちはそんな感じだった。

だが彼は予想に反して、家で休むことはなく
外に出かけてばかりだった。
私は家に居て欲しいから「家で休みなよ」と
声を掛けるが「今のうちに色々やっておきたい」
と言って出てしまう。

そうして数日外で過ごし
時々帰ってくるという日々が続いた。

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