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会社を辞めなきゃよかった、と何度思ったことか・・・

私は、50歳直前で意気揚々と会社を辞めたけれど、その後、会社を辞めなきゃよかった、と何度も思った時のことを書こう。
Voicyのパーソナリティになったばかりの頃にこの話をしたら、意外に評判が良かったので、noteにも書こうと思う。
念のため先に言っておくが、今では辞めなければよかったとは思っていない。それどころか、今は、あの時に辞めてよかった、と確信している。

なぜ会社を辞めたのか

当時、会社を辞めようと思った背景はいろいろある。
でも、会社がイヤ、仕事がイヤというわけではなかった。当時よく話していた友人には、私は会社への文句をいっぱい話していたらしいけど、それは日常の文句みたいなもので、会社を辞めたいほどの強い不満ではなかったと思う。
実際、会社の居心地は悪くなかったし、私は仕事が好きだったし。
では、なぜ私は会社を辞めたのか。

まず第1に、なぜ会社が私の定年を決めるの?ということだった。
このままだと私は定年まで会社に居続けるだろう。でも定年になったら終わりだ(当時はまだ雇用延長など一般的ではなかった)。
なぜ? 私の人生なのに? 私がどう生きて、どう働くかは、私が自分で決めたいと思った。
でもそれ以上に大きかったのは、会社の先輩が年齢を重ねていくと(50歳を超えていくと)だんだん守りに入っていく感じが、見ていてsうごくイヤだった、ということ。とてもつまらなそうに見えた。
このまま会社にいると、自分もあんなふうになっていくのではないか?という漠然とした不安があった。恐怖にも近かった。
当時の私は、根拠ない自信(過信)があり、会社を辞めたって何でもできると思っていた。25年も広告の仕事をやってきた。いろんなクライアントと関わってきた。だからどこでもなんでもできるだろう、と。
それに、広告の仕事は所詮クライアントの広告。人の褌で相撲をとるようなもので自らの事業ではない。ずっと広告の仕事をしてきたから広告じゃない別の仕事もやってみたかった。広告を虚業のように言われることもあったので、「実業」がしたいという気持ちもあった。
やるなら今だ!と。
50歳を超えたらエネルギーも落ちるだろう、そうしたら飛び出すなんて無理かもしれない、と。
それにフリーランスという立場へのあこがれもあった。辞めたらフリーになるのもいいかな、と。

でもいざ辞めてみたら・・・

そんな思いで意気揚々と会社を辞めたものの、いざ辞めてからは、「辞めなきゃよかった」と何度も後悔した。
なぜなら、やりたい仕事がうまくいかない、収入も得られない。転職先を探しても、相手にされない。年齢の壁も大きい。
何をやってもうまくいかなかった。
そのうち、女性活躍推進法の施行が話題になり始めた。前職の勤務先では私が最年長の女子社員だった。
「もしあの時会社を辞めなかったら役員だったのに!」と前職の同僚に言われたときには、私は一体何をやっているんだろう?!と思った。役員になりたかったわけでもないのに、収入なしだった私は、自分ことを役員になるチャンスを自ら捨てた大バカ者と思った。後悔して後悔して後悔して・・・。
さらに追い打ちをかけたのが、定年までいた会社の先輩の退職金(分割払いだった)だ。金額を聞き、私がもらった退職金との差に打ちのめされた。
自分の厚生年金(老齢年金)受給額の低さにもがっくり、だった。

いったい私は何をしているんだろう?
なんで辞めたんだろう?
人生を棒に振ってしまった・・・
毎日そんなことを考えていた。

あれから15年経った今だから言える「あの時辞めてよかった」

でも今は、あの頃辞めてよかったと、心から思っている。
だからこそ、今、会社を辞めたいと思っている人には、強く言いたいことがある。
辞めたらあなた、後悔するかもよ、と。
だから辞めようと思うなら、今会社員だからこその特権を使いながらいろいろしたほうがいいよ、と。
でも辞めないとできないことはたくさんあるから、何年か経って辞めてよかった、と思える日も必ず来るよ、と。

もし私があのまま辞めずに会社にいたら、当時想像していたように、守りに入っていったのか。それはわからない。
でも貯金は今より多くなっていたかもしれない。
だけど、やりがいをもって会社で働き続けるのではなく、惰性で働き続けていたかもしれない。
はっきりしているのは、会社の外にはいろんな世界がある、ということを知らなままでいただろう。

いくら会社に残ったとしても、会社人生にはいずれ終わりが来る。
そのとき、私には何があるだろう? 私には何ができるだろう?
少なくとも、10年後20年後の私の人生は全然違うものになっていったと思う。あの時辞めていなかったら、今の私はなかった。
辞めなきゃよかった、辞めなきゃよかった、と思い続けていた時間があったことも、今になればいい財産だ。もしそれがなければ、きっと私は定年女子トーク実行委員会を発足しようなんて思わなかった。
それに、苦しい気持ち、辛い気持ちを知らない天狗、イヤな女になっていただろう(苦笑)。
あの頃があったから、今、私はごきげんでいられる。楽しくいろんなことができている。ちょっと忙しいけど、興味深いことがたくさんあって、時間が足りないくらいだ。

今辞めようと考えてる人は、辞めてどうしたいの?辞めてどんな暮らしをしたいの?ということを、よく考えたほうがいい。
私の最大の後悔は、そういうことをしっかり考えずに辞めてしまったことだ。会社しか知らなかったから、会社にいながらそういう発想をすることに気が付かなかった。会社員という立場だからこそできることもたくさんある。
そういうことを考えたくてもよくわからないなら、会社と関係ないことをいろいろやってみたほうがいい。違う仕事がしたいなら、違う仕事をしている人に会ったり、話を聞いたり、手伝ったりしてみるのもいい。
会社を辞めるにしても、「後悔する」ことを覚悟しておくのと、考えもしないのとは大違いだ。たとえ公開したとしても、想定していれば傷は多少浅く済むだろう。

世界は会社だけじゃない。自分が知っている人、付き合っている人なんて、本当に狭い世界の人だけなんだから。

【Voicy】2023年05月29日配信「 #4 会社を辞めなきゃよかったと何度思ったことか💦 」


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