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#読書感想文
「おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」」谷口 真由美

タイトルが何とも文春ぽくって、つい手にとってしまいました。
読んでいて、何だか気持ちが重くなり、何度もページを閉じてしまいました。

感情ぬきで事実が淡々と時系列で語られる

谷口さんは学者ですから、曖昧な表現や裏付けのないことは除外し、淡々と事実が記されていました。タイトルは挑発的ですが、中身は感情的な表現はなく、告発的な内容ではありますが、いろんな方に気を使って書かれたことが伝わってきました。

掟というよりガバナンスの問題

本書でも書かれていましたが、日本ラグビー協会は公益財団法人なので、理事会の構成や議事録の保管、情報公開など守らないといけないルールがあります。前職の公益財団法人で、内閣府からの監査を在任中に2回も受けたので、その細かさはビックリするくらいでした。
監査はどの法人にも一律に定期的に入るので、ラグビー協会にも入っているはず。甘く見てもらったのだとしたら問題です。

ドロドロな擦り付け合いが畳みかけるように記される

いわゆる暴露本ですが、この本は理路整然と事実が述べられていて、耳を覆いたくなるような出来事が、これでもかこれでもかと記されているので、正直読んでいて辛かった。最後のほうは飛ばし読みしてしまいました。ごめんなさい。

おっさんが問題なのではなく多様性の問題では

ラグビー協会が悪い、おっさんがダメだ、という話ではなく、「同じ釜の飯を食った人たちが密室に集まり議事が進む」ということが問題なのだと思う。世の中には女性のみの団体もあるし、そのなかには同じようなところもきっとあるはず。

男女比や特定の職業や所属に偏らない人選など、理事や評議員の構成についてガイドラインを決め、3年くらいの猶予期間を与えて、それが実現できないなら公益財団法人の法人格を奪うなどの制度をつくるなど強制力がないと、この本で書かれているようなことは今後も置き続けるでしょう。何ともいえぬ重い気持ちになりましたが、この閉塞感を何とかしたいものです。


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