読書メモ「活躍する若手社員をどう育てるか」その2
「活躍する若手社員をどう育てるか 研究データからみる職場学習の未来」
山内祐平 編著
ザっと読んで、気になったところをメモをとりながらもう一度読みました。
株式会社マイナビさんと東大情報学環山内研究室との共同研究とのことで、勉強になりました。
若手社員の定義
読んでいて、「こんな意識高い系の若手社員っているのかな?」と疑問に思い、よーく読んだら、こう記されていました。
若手社員の育成のこれからとは、「高度な専門性と豊かな素養を持った学生を即戦力人材として採用し、多様化する個人のニーズを考慮したキャリア自律を個別的に支援することで、事業・経営に貢献する人材を育てる」という意味で捉える必要がある。
なるほど。
こういう学生さんを採用できたら、数年で転職されちゃうと痛手ですよね。
高度な専門性と豊かな素養を持った学生さん
こういう学生さんってゴロゴロいるのだろうか?
卒業までに、ここまで求められるのであれば、ちょっと気の毒な気がします。学ぶことの意欲があり、前向きで、仕事を頑張ろうと思う気持ちがあれば、評価に値すると思うんですが。
パーソナリティとスキルは違う
本書ではパーソナリティという言葉がよく出てきます。定義は「状況や時間を超えてある程度一貫し安定した、その人らしい独自の行動の仕方を決定とする心理的特性」。
パーソナリティは基本的には変わらないもので、例えば「営業なのに暗いよ。もっと明るく営業しないとダメだ。」でいうと「暗い」とか「明るい」というもの。
人には暗い方もいますので、それを直せというのはナンセンスで、パーソナリティを指導するのではなく、暗くても成功できる営業のスキルを教えないとダメだ、と本書にはあります。ここはなるほどぉぉと納得。
ビックファイブに追加すべき項目
個人の性格は5つの因子で分類することができるという学説(ビックファイブ)に基づき、入社時に性格テストをして配置検討の参考にしたりします。
今回の研究では、この5因子で若手社員を捉えることは限界があり、追加すべき項目として4因子を新たに見出したとある。
・仕事の習熟への積極性
・成長への貪欲さ
・仕事の楽しさへの肯定性
・業績向上への積極性
仕事に楽しさを求めると、甘い!とかいわれちゃいますが、やっぱり楽しさがなければ続きませんから、ここもなるほどぉぉと納得。
上司・先輩の思考を可視化する
若手社員の人材育成のための方法として3点提案が記されていたが、その1つは「上司・先輩の思考を可視化する」でした。
背中を見て学ぶ、技を盗むとかいわれますが、どういう考えのもとで仕事上の判断が下されているのか、お客様とのやりとりをしているのか、という思考を見えるかしないと伝わらないということです。空気を読め、行間を読め、といわれても、わからないものはわからないですよね。
研究書ですが読みやすい
本書は、調査から得た情報を分析して結果を導き出しているので、細かい研究の手続きとか、どういう数値データが出た、という記載も多いので、ちょっととっつきにくいかもしれません。
でも、このデータから何がわかったのか、わかったことをもとに何を提言するのか? がきちんとわかりやすく明記されているので、読みやすいです。
どうしてこういう問いを設定したのか?についても丁寧に記されていますので、若手社員の育成をめぐる問題なども理解できました。
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