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世界的トレンドになりつつあるリモートビザ-リモート雇用はグローバルスタンダード-

コロナを機に加速している「リモートワーク」。
働き手にとって、働き方の手段が増えることは非常にポジティブです。
企業にとってはどうでしょうか?
グローバル採用において、企業は「リモート雇用」を加速化させていることを肌で感じています。

後押しとなっているのは一体?
間違いなく国の政策や制度新設が鍵となっています。
本日は、リモートワークを後押しする”デジタルノマドビザ”について解説をします。

DNV(デジタルノマドビザ)って?

Digital Nomad Visas(デジタルノマドビザ)= DNV略となる。
主にTechpatsといってデジタル技術を有する国外居住者に発給されるビザの種類です。世界初の同ビザ制度新設国は、バルバドス(カリブ海)です。2018年、同国が新設したことを皮切りに現在ヨーロッパ、中南米を中心に約38ヶ国もの国がDNV(あるいは似たようなビザ)を展開しています。

そもそもデジタルノマドワーカー自体日本で馴染みがないかもしれません。
欧米諸国では、デジタル領域で活躍する主に技術者でフリーランスを中心に所属先や住まいを限定せず仕事をする方々を指します。

海に生息するヤドカリのようなものですね。
自身の貝殻(屋号)を背負いながら、住みやすい場所を見つけ、その地の暮らしに適応し楽しむ。ヤドカリ自身がそう思っているかは不明でありますが、ノマドワーカーを表現するのに適する生物(人間以外の)であると思います!笑

想像に難しくないですが、Covid-19を皮切りに国を超えて就業する働き方がより認知され、ノマドワーカーがより増加したのではないでしょうか。

他国では当たり前になりつつあるリモート雇用

これまでの雇用形態の歴史を振り返ると、
●欧米諸国では
雇用形態はそもそもフレキシブル。
正社員雇用、フリーランス雇用(業務委託)、パートタイム雇用、副業OKなど様々な形態が企業にも働き手にも普及・浸透している。
●日本では
雇用形態の種類はあるが長年固定化。
正社員雇用が一般的に多い手段である。その他、有期契約雇用、パート、アルバイト雇用、派遣社員契約が主流となる。
副業許可や個人フリーランス契約の増加が徐々に増えてきた。
というのが国による違いになると思います。

我が国では、「安定した正社員雇用」神話は徐々に移り変わってきており、副業、居住地厭わないリモートワーク、ワーケーションなど様々な働き方が知られてきています。また、ブームに留まらず実践している人々も存在している印象です。
経営者仲間からよく社員の方々とワーケーション中!などとメッセージをもらうこともあり。2名ほどの知人がSNS投稿で「地方移住しました!」というポストしていたのを目にしました。とても身近な選択肢となってきていると言えます。

その選択肢の中に「海外からのリモートワーク」が入ってくるといいなぁと個人として思うわけです。それがリモート雇用普及を担うはず。
例えば、日本国籍の方がアメリカに住みながら日本に拠点を置くA社の仕事をする。このような事例が日本国内で増えれば、海外に住んでいる外国籍就業者も日本企業の仕事をリモートで行うことへの抵抗感がなくなるはずです。

日本でなかなか進まないリモート雇用

日本企業でリモート雇用を採用している企業はどれくらいいるのでしょうか?
弊社データベースを見ると、現在「リモート雇用」を積極的に行う求人企業は全体の25%ほどです。ポジションはITエンジニアが中心。要件を満たしていれば”海外居住でもOK”です。ただし、要件は様々ですので、日本語N3程度話していてほしい、就業タイムの時差が3時間までの国のみなど各求人により異なります。
しかしながら、海外居住は特段エントリーに対して問題ないわけです。コロナ前は、「海外居住はエントリーすらできない」ことが当然だったのですが(苦笑)、コロナの”お陰”で求人企業の意向変化があったことは明確です。

リモート雇用がなかなか進まない理由は何かというと、根底にあるのは「これまでやったことのないことだから」というシンプルな理由です。
建前でおっしゃる理由として多いことは、
「今はボーダーがクローズしているから」
というものです。いつ入国できるかわからないからと。うん、だからリモートでやるんでしょ、と思うのですが。その思いは、一旦飲み込みます(笑)。私はチャンスだと捉えるのですが、今こんな時代だからこそ守りに入る。うーむ、それも一つ選択としてあるのだが、もうすぐコロナも終息するし攻めの一手を持つことを検討した方が良いのではないかと。心の中のもう一人の私はぼろぼろと愚痴ばかり言ってしまいます。

ただ、そんなことを言っても始まらないので、良い傾向にあるデータをここで共有。日本において、リモートワーク自体は進んでいる好データです。
国土交通省が実施した企業アンケート、「テレワークの導入」に関する内容です。2020年は19.7%の企業が実施しているとの結果でした。(2019年は9.8%がYes回答)集合型就業が当たり前だった文化背景を省みると、約2割の企業がテレワークを実施していることはなかなか前向きな結果なのではないでしょうか。

海外就業者は当たり前のリモート勤務、海外企業は当たり前のリモート雇用

では、海外の実態は、というと?
グローバル全体(*Owl Labs調査による)ですと、16%の企業が完全リモートワークを実施しているとのことです。時折リモート勤務をしていると答えた労働者(22-65歳)は62%存在するとのこと。一方、44%の企業が「リモート勤務を許可していない」と回答しています。

グローバルサーベイを様々拝見し統合すると、
★働き手としては「ハイブリットリモートスタイル」を最も好む(あるサーベイにより9割Yes,あるサーベイでは7割Yes)傾向にある。
★雇い主は、まだまだ集合型を維持したいあるいは戻したい意向がある。現状、完全リモートあるいはハイブリッドを実施している企業が半数、集合型半数の傾向。
働き手と雇い主の嗜好に少なからずギャップがある状態と言えます。

リモート雇用を後押しするのは「企業の意思決定」と「柔軟な就労ビザ新設」である

話は日本における労働力不足に置き換えます。人口減少により、2050年には一億人をきる予測。自ずと労働人口も減るわけです。
労働力確保において外的要員確保は避けられません。また、日本への就業を魅力に思う外国籍人材も減少している状況下、国としてどのように労働力確保に努めれば良いのか?

国の施策打ち出しが要です。そもそも日本国として、外国籍の方々に入国いただくことをより一層示す、施策としてより積極的に行うことは欠かせません。
次に、雇用主の選択肢拡充と意思決定です。雇用主が雇用要件緩和を外国籍人材に対して行うことで人材採用の選択肢は拡がります。特に言語要件は、外国籍就労希望者の多大なる壁(唯一の壁と言っても良い)です。
これは採用企業の思考性(嗜好性とも言うべきか)を変えることでしか変われないのです。

鶏と卵理論でありますが、どちらが先か。というとどちらが先行しても良いし、両方一緒にできれば速度が上がるわけです。

諸外国のDNVデジタルノマドビザ中身を知る!

ここで本日のテーマに戻りますが(やっと笑)、国に対応検討いただきたい就労ビザの新設DNV(デジタルノマドビザ)について事例紹介したいと思います。

DNVの取得条件や期間、さらには当該国に拠点を置く必要性があるのかないのか、など国により様々な要件設定となっています。
一部の国のご紹介となりますので、グローバル38カ国それぞれの内容が知りたい場合こちらのリンクを参照ください。*出典:Nomad Girlより

1. バルバドス(中南米)
冒頭述べました通り、デジタルノマドビザ発行を世界に先駆け行いました。
名称:Barbados Welcome Stamp
申請料:個人申請$2,000  家族/パートナー$3,000
期間:1年間有効
申請方法:オンライン申請
証明事項:$50,000以上の年収

2. UAE(中東)
中東エリアのビジネスを牽引するUAEのデジタルノマドビザ発行は日本国内でも話題となりました。2020年10月より導入されている制度です。
名称:Virtual Working Visa
申請料:$287
期間:1年間有効
申請方法:DTCMの公式パートナーである Al Rais Travel Agencies LLC がレビューし手続きを行う
証明事項:
(個人の場合)現在の雇用主からの雇用証明書 $5,000以上の平均月給
(雇用主の場合)一年以上の会社所有権証明書 $5,000以上の平均月給

3. モーリシャス共和国(アフリカ大陸)
インド洋に位置する島国、セレブがバカンスで訪れる国として大人気です。透き通るブルービーチとともにワーケーションを行う場所にぴったりです。
名称:Premium Visa
申請料:無料
期間:1年間有効
申請方法:オンライン申請
証明事項:月額$1,500以上の収入証明

4. マルタ(欧州)
私も個人的に行ってみたい国の一つ。EU諸国以外のリモートワーカーを誘致することが狙いでスタートしました。5Gネットワーク網羅に注力しておりネット環境も完璧整備されています。
名称:Nomad Residency Permit
申請料:€300
期間:1年間有効
申請方法:オンライン申請
証明事項:月額€2,700以上の収入証明

もっと他の国のDNVを知りたい方はこちらをクリック!
38カ国の情報が網羅されています!*Nomad Girlより

アジア圏内で積極的にDNVを展開している国はまだありません。タイ国のエリートビザがそれに近いものとなります。

日本も今このタイミングにDNVを新設し、外国籍の人々に門戸を広げるのはいかがでしょうか。

後半は、ほぼノマドをしたい方への情報提供となってしまいましたが(笑)、言いたいことは「リモート雇用」の普及です。あっちやこっちに行ってしまいましたが、リモート雇用をもっともっと現実的なものとするために新しい施策が必要であり、それのひとつにリモートビザを作ってほしいのです。

新しいことへのチャレンジに臆する国であることは理解してはいるのですが、諸外国の事例もどんどん出ています。

いつやるの?
今でしょ?

キャリアフライ大野理恵

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