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【ケアまち座談会vol.0】「ケアまち実験室はじめます」開催レポート

2023年5月23日、20:00~21:00、ケアまち座談会vol.0ケアまち実験室はじめます!」をオンラインで開催致しました。

ケアまち実験室は、"ケアとまちづくり”の実践者やそれを体験したい人が、スキルや知恵を持ち寄り、深めていくオンラインコミュニティです。vol.0では、総勢70名以上の方々にご参加いただけました。

当日のプログラム
・ケアまち会議のこれまで:玉井友里子
・ ケアまち会議のこれから:守本陽一
 ・ケアまち実験室の使い方:沖村里咲
・写真から対話する「ケアとまちづくりの未来を感じる写真」:守本陽一、密山要用、稲田玲奈、金田ゆりあ

スピーカープロフィール
・守本陽一
一般社団法人ケアと暮らしの編集社 代表理事 1993年、神奈川県生まれ、兵庫県出身。医師。YATAI CAFE(モバイル屋台de健康カフェ)や地域診断といったケアとまちづくりに関する活動を兵庫県但馬地域で行う。2020年11月に、一般社団法人ケアと暮らしの編集社を設立。医師として働く傍ら、社会的処方の拠点として、商店街の空き店舗を改修し、シェア型図書館、「本と暮らしのあるところだいかい文庫」をオープンし、運営している。まちづくり功労者国土交通大臣表彰。グッドデザイン賞受賞。共著に「ケアとまちづくり、ときどきアート(中外医学社)」「社会的処方(学芸出版社)」など。

・玉井友里子
家庭医、棚田生活、にんにく生産 湯郷ファミリークリニック/NPO法人英田上山棚田団 奈良県出身。家庭医として働く中で「地域とは何か」に興味を持ち、2014年に岡山県美作市にある上山集落へ移住。全国から集まる移住者と共に棚田で米作り、にんにく生産を行っている。にんにく料理食べ放題のイベント、ガーリックナイトを年1回開催している。

密山要用
家庭医。コミュニティドクター。時々、屋台。多拠点で医者をしながら、地域で「おせっかい」できる医療者や市民を育てる学習プログラムの研究開発・実践をしている。

沖村里咲
薬学部在学中に地域医療に興味を持ち、卒業とともに岐阜県高山市に移住。地域に出てより暮らしに近いところで活動したいとの思いから、飛騨地域に住む平成生まれでつくるフリーペーパー「SOSHA!」を立ち上げ、約半年に一度のペースで発刊している。

稲田玲奈
1994年香川県坂出市生まれ。慶応義塾大学石川初研究室を経て現在フジワラテッペイアーキテクツラボにてランドスケープアーキテクトとして勤務。学生時代は農漁村から都市郊外、都心までをひと続きの目線を持ってフィールドワークする。フジワラテッペイアーキテクツラボでは住宅・林業・旅館・児童養護施設などさまざまな営みの場の計画に構想─設計─運営の立場を行き来しながら携わる。

金田ゆりあ
もともと、ランドスケープデザイン事務所で働いていたデザイナー。これまでの仕事では、まちづくりや自治体の基本計画などに関わっていたが、依頼された場所の設計者や自治体の計画者としてではなく、自らの生活や生業でまちづくりや場所づくりに実践的に関わりたいと考えている。「食」と「編集」に興味がある。おいしいものがとびきり好き。大学時代は、デザインリサーチを勉強しており、卒業研究では空き家から土地の所有問題をときほぐし、地域に開く方法を検討していた。「社会の構造」を見つめ直し、「生きのびる方法」を見出したい。

ケアまち会議のこれまで-玉井友里子


ケアとまちづくり未来会議(以下ケアまち会議)は、オンラインコミュニティ「ケアまち実験室」を始めます。2018年のプライマリケア連合学会がきっかけで活動がスタートし、2019年に兵庫県豊岡市で行なったケアまち会議では100人以上が参加しました。映画館や図書館などで豪華なゲストを招きながら、ケアとまちづくりについて語り合いました。活動報告セッションも行われました。

2020年からは、オンラインでケアまち座談会を始めました。コロナの影響で医療がキュアからケアに変わる中、暮らしの再構築をテーマにしました。都市計画やランドスケープデザインなどのテーマでゲストを迎え、ケアとまちづくりについて語り合いました。2021年にはオンラインで第2回ケアとまちづくり未来会議を開催しました。2022年には対面とオンラインのハイブリッド形式で座談会やローカルツアーを実施しました。

2019年に兵庫県豊岡市で開催されたケアとまちづくり未来会議の様子
2021年に行なった第2回ケアとまちづくり未来会議の様子

ケアまち会議のこれから -守本陽一

研究によれば、健康や寿命は個人の行動だけでなく、所得や教育、社会環境によっても決まると言われています。孤独は大きなリスク要因であり、孤立対策が政府でも取り組まれています。笑顔や生きがいが健康に影響を与えることも研究されており、ケアの範囲も広がっています。地域づくり側でも公園などの場所が生きがいや繋がりの場でなくなっているという課題もあります。小規模な公共空間を通じて、ケア側とまちづくり側の連携が重要であり、予防活動やコミュニティの活動が行われています。地域福祉については、真鶴出版がわかりやすい形で情報提供しており、デザインとの連携によって健康づくりの活動が行われています。また、yataiカフェなどの場を通じて、繋がりや活動の促進が行われています。ケアとまちづくりの活動は、健康づくりだけでなく、コミュニティの形成や個人のやりたいことの引き出しにも関わっています。

真鶴出版が作成した地域福祉計画冊子

ケアまち会議は、ケアとまちづくりが溶け合い、新しい価値が生まれる場を目指しています。医療福祉関係者は個別支援に強く、健康づくりの知識もありますが、正しいことに偏りがちで市民に届かないこともあります。一方、まちづくり関係者は人を巻き込むスキルがありますが、ケアの部分で課題も抱えています。相互の交流を通じてケアの考え方や人間中心的なアプローチをまちづくりに取り入れ、デザインの力や専門性を共有し、新しい場所やデザインを生み出す可能性を模索しています。ケアまち実験室では、地域共生社会の形成やケアとまちづくりの両方のゴールを達成し、住民や市民が参加し、当事者性を獲得することを目指しています。ケアまち座談会やオンラインコミュニティを通じて、情報共有や対話を重ね、ケアとまちづくりが溶け合う連続講座やアワード、診断ツール、診療所の実現を目指しています。

ケアまち実験室の使い方-沖村里咲

「ケアまち実験室」は、ケアとまちづくりの実践者や関心のある人々が集まり、様々な分野の知識やスキルを深める場です。社会福祉や医療、都市など、さまざまな分野の人々が協力し、学際的な考え方や実践を共有しています。ケアまち実験室では、交流や対話を通して学び合い、新たなアイデアやデザインを考えています。Slackを利用し、ケアまち座談会やイベント告知、おしゃべりチャンネルなどが設けられています。また、ケアまち実験室参加者は定期的に開催されるケアまち座談会に無料で参加できます。これまでの座談会では、様々な分野の専門家との対話を通して新たな気づきが得られました。ケアとまちづくり未来会議というリアルイベントが年に1回開催されます。参加者には、ケアとまちづくり未来会議の参加費の減額特典があります。

写真から対話する「ケアとまちづくりの未来を感じる写真」-守本陽一、密山要用、稲田玲奈、金田ゆりあー

密山さん
参加者は医療関係者やまち作りに関心のある人々で、未来のまちを想像し、自分の役割を書いた未来名刺を交換しました。参加者の増加と専門職の枠を超えた関わり合いに、未来の可能性を感じました。スープのように具材が絡み合い、関係性が築かれていく様子が興味深かったです。

稲田さん
地域の公園や道路の維持管理についてじっくり考えながら、皆さんの考えやケアに耳を傾けることを大切にしています。この写真は地域の人々が参加して道路の植栽を行っています。栽培帯の管理を行い、コミュニティを形成しています。また、山の整備やマウンテンバイクコースの整備など、地域の人々が活動に参加しています。自分たちで手を入れられることで、地域に対して当事者性を持ち、まちを良くしていく意識が健康やポジティブな影響につながると考えています。

金田さん
 宮崎県にある福祉施設の屋上緑化プロジェクトに参加し、地域の高齢者と一緒に植物を育てる取り組みを行いました。 このプロジェクトは3年前に始まり、施設の利用者や職員にとって有意義な場所になりました。もう一つの事例は岐阜にある本屋メガホンという本屋さんです。この本屋はマイノリティや障害者、フェミニズムに関する本など、社会の周縁にいる人々の声を大きく受け止める場所コンセプトを持っています。駅から少し離れたアーケード街にあり、老若男女が集まり、本に触れる機会を提供しています。人々を協働活動や新たな価値の創造につながる場所として存在感を示しています。

今後のお知らせ
今後もアート、建築など、様々な方と登壇者としてお招きし、座談会を行いう予定です。開催告知、開催レポートは、下記SNSで配信致します。よろしければ、フォローいただければと思います。

note 
https://note.com/caremach

facebook
https://www.facebook.com/caremachi/

ケアまち実験室の詳細・申し込みはこちら
https://carekura.com/caremachi


#ケアまち座談会 #ケアとまちづくり未来会議

(執筆・編集 城戸口智也)

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