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訂正する力を読んで

普段はあまり哲学の本に手を出すことはないのですが、気になったので読んでみました。
東浩紀さんの訂正する力です。
今回はレビューを書きたいと思います。

体現しているスマホゲーム

この本を読んで最初に思い出したのはクラッシュロワイヤルというスマホゲームでした。
このゲームはプレイヤーが主には1体1で対戦するゲームです。
そしてこのゲームの運営会社がまさに『訂正する力』を体現しているのです。
このゲームでは各プレイヤーが100種類ほどあるカードから8種類を選んで手札として対戦します。そしてこのゲームの最大の面白みは『カードの組合せ』にあります。最強の組合わせを探すゲームともいえます。ゲーム運営会社もその答えを知りませんし、長く遊んでもらうためにはそんなものがあってはいけないとも考えているはずです。
そこで運営会社はデータを活用して『訂正する力』を発揮します。同社には各ゲームにおけるカードの利用率データが蓄積されていますので、利用頻度の高いカードはゲームにおいて強いカードであり、利用頻度の低いカードは弱いカードであることが分かるのです。
それを元に運営会社はバランス調整という名の『訂正』を実施するのです。具体的には強いカードを弱体化させて弱いカードを強化するのです。これによりプレイヤーは新たな組合せを試し(遊び)、再び利用率に偏りが発生したら調整という名の訂正を繰り返します。
そうすることでこのゲームは長年に渡りプレイヤーに愛されてきました。

ビジネスへの転用

紹介したゲームは言うなればバランス調整という名の訂正を繰り返してファンを維持することを前提として開発・運営されています。
この『ファンを維持する』ことはビジネスにおいても重要なことです。
誰もが思いつく歴史ある有名ブランドは、定期的に新作をリリースすることでファンを維持しています。ただ、新作リリースには時間も費用もかかります。
一方で訂正であれば新作ほどの時間も費用もかかりません。何より今ある資産を捨てる必要がありません。
現在コンテンツは所有から経験に移り変わっており、今からブランド品のようなコレクターズアイテム化させることは実現困難になってきています。

ひとつ訂正しておきたいのですが、私は皆がサブスクリプションビジネスを始めて訂正し続けようと主張したいわけではありません。
具体例としてゲームやブランドビジネスを取り上げていますが、私が興味を持っているのは企業のバックオフィス業務への転用です。10年前から変わっていないような業務プロセスやルールこそ訂正して欲しいと考えています。
未だにエクセルファイルをメールで上長に送って承認してもらってたりしないでしょうか?
情報漏洩対策として特定のwebサービスを利用制限してるけど、似た機能を持つ別のwebサービスは利用できる状況だったりしないでしょうか?

これらは既にテクノロジーで解決できるレベルにあることが多いです。
時間はかかると思いますが、根気よく訂正することを促していきたいと思います。

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