川口キャロット

フリーランスライター。主に女性誌の家事や健康にまつわる取材や原稿執筆を行う。 趣味はロ…

川口キャロット

フリーランスライター。主に女性誌の家事や健康にまつわる取材や原稿執筆を行う。 趣味はロードバイク、畑、韓国ドラマ。夫と2人暮らし。

最近の記事

美容師の坂巻さん

「カリスマ美容師」と呼ばれた坂巻哲也さんが3月末に亡くなったと知ったのは、仕事中に夫がチャットに送ってくれたネットニュースでだった。61歳だったという。記事を読んでしばらくの間、動揺を止められなかった。 美容室「apish」に通って 坂巻さんが経営する美容室「apish」には、オープン当初からお世話になっている。長年坂巻さんに担当してもらっていたけれど、ここ数年は坂巻さんが闘病中とのことで、代わりの若い美容師さんたちに、カットしてもらっていたのだった。 最初はすぐに良くな

    • 新しいスニーカーとパンツに浮かれる春の日

      「おしゃれはガマン」だなんて、随分とレトロな雰囲気を帯びる言葉になって久しい。 まだまだ寒さの厳しい2月に、薄手のスプリングコートに春色のサマーニットを着てみたり、靴擦れで泣きそうになりながらつま先の尖ったハイヒールを履いて歩いたり……。 以前は“季節の先取り”こそおしゃれだったアパレルショップでも、“今着たいもの”を買うのが主流になってきているし、足元はみんなスニーカー。日常でハイヒールをはくなら、上手なさじ加減で“外し”を入れつつコーディネートしないと、なんだか古臭い“オ

      • ロードバイクと仲間と② 世界に想いを馳せて

        夏至のロングライド 6月の夏至にいちばん近い週末、私が所属しているサイクリングクラブ、RCC(Rapha Cycling Club)では、「The Longest Day」と銘打ち、明け方から日が暮れるまで、自転車に乗るというイベントが開催される。 クラブのライドリーダーたちが、いくつかのライドを立ち上げてくれて、そこにジョインしてもいいし、各自が自分なりのライドを企画するのもありだ。 今年の「The Longest Day」には、都内から自走で静岡にあるブルワリーまで2

        • ロードバイクと仲間と①

          仲間がいるから、長続きする 先日雑誌の仕事で取材したフィジカルトレーナーの中野ジェームス修一さんによれば、運動やダイエットが長続きするためには、仲間がいることが大切なのだという。 たとえば、会員制のスポーツクラブなどに入会しても、1人でトレーニングしている人は退会率が高く、仲間を作ったり、トレーナーについてトレーニングしている人は長続きする傾向があるという。 私が趣味のロードバイクにのめり込んでいったのも、やはり仲間がいるということが大きい。 夫婦で始めたから、最初から1

        美容師の坂巻さん

          夫をわが家のレク係に任命した

          共通の趣味は自転車。得意なことは全く違う うちの夫婦の共通の趣味は、なんといっても自転車だ。 2人してすっかりのめり込み、土、日のどちらかは必ずロードバイクかグラベルバイクで、近くでも遠くでも、どこかへ走りに行くし、旅行するにも“自転車に乗って楽しい場所”が条件だ。 2人とも旅が好きだし、旅先でおいしいものを食べるのが大好き。美しい景色に包まれることが快感だ。 ただ、もう少し細かく考えると、お互いの好きなこと、得意なことはだいぶ違う。 夫はそもそも、乗り物と機械いじりが大

          夫をわが家のレク係に任命した

          ロードバイクに乗り始めた頃のこと

          自転車初心者 先日、所属している自転車クラブの早朝ライドで、まだ自転車を始めたばかりという女性とご一緒した。 「まだ色々とそろっていなくて」と、フラットペダルにスニーカー。それでも、危なげなくハンドサインをしながら街中を走る姿に、これまでもスポーツをされていたのかな、と思う。 私がロードバイクに乗り始めたばかりのころは、もっとフラフラ、ノロノロ、運動神経の鈍さ丸出しだったように記憶している。 私がロードバイクに乗り始めたのは、2016年春。その1年ほど前に夫がロードバイク

          ロードバイクに乗り始めた頃のこと

          初キャンプ、自転車ライドつき@軽井沢

          実はほぼ初めての、宿泊キャンプ(→不安) 趣味の自転車仲間たちと、7月22日、23日の週末に1泊2日で軽井沢へ。 今回は各自が車か新幹線輪行で移動して軽井沢で集合し、自転車でグラベルライドを楽しんだあと、キャンプ場にてバーベキューしてテント泊という、盛りだくさんの企画だった。 インスタグラムではよく夫婦や仲間と畑で焚き火をしている写真をアップしたりしているため、周りの人からは“キャンプ慣れしてる人”みたいな誤解を受けたりするのだが、実はまともな宿泊キャンプは今回が初めて。

          初キャンプ、自転車ライドつき@軽井沢

          50歳の挑戦 その③コロナ後へ

          自然化粧品の開発や、指導の仕事を長年続けてきた韓国の友人。コロナ前には、ソウルのカンナム区に売り場兼教室を持ち、基礎化粧品作りを教えたり、肌タイプのアドバイスをしたり、商品を販売したりしていて、そこには多くの外国人も訪れたという。 しかし、新型コロナウイルスの流行により、対面の、まして肌診断などは難しくなり、一旦店舗は閉じた。 今はごく限られた範囲での国内販売と他社ブランドの商品提案、中国やインドネシアなど海外バイヤーからの注文に応じた少量の商品輸出を続けている。 一方で、日

          50歳の挑戦 その③コロナ後へ

          50歳の挑戦〜その②京畿道の化粧品工場

          コロナ禍を経て、久しぶりの海外旅行。久しぶりの成田空港は、ずいぶんと自動化されていて驚いた。チェックインももちろん機械だし、出国口は自動改札のようになっていて、出国審査も機械にパスポートを当てて、自動で写真を撮られて終わり。何台も並んだ出国審査マシーンの向こう側に、以前は出国審査をするために空港職員が待機していたボックスが並んでいるけれど、1つのボックスを除いて職員はおらず、素通りするだけだ。 ソウルの仁川空港には、友人が昨年末に再婚したばかりの夫と一緒に迎えにきてくれた。

          50歳の挑戦〜その②京畿道の化粧品工場

          50歳の挑戦 〜その① 9年ぶりの韓国行き

          韓国に行ってきた。おそらく、9年ぶり、だ…。 韓国ソウルに語学留学していたのは、2005年春から2006年秋。冬のソナタが流行し、ヨン様ブームが巻き起こった直後だ。帰国後は雑誌の仕事で韓国に取材することもあったし、個人的にもちょくちょく通っていたものの、自転車の趣味に夢中になってからは、しばらく韓国から離れていた。 ところが、このコロナ禍の3年間、日本の韓国ブームの熱気がすごい。それまでまったく韓国に興味のなかった妹も「愛の不時着」を発端にヒョンビンのファンになり、気がつ

          50歳の挑戦 〜その① 9年ぶりの韓国行き

          自粛期間の言い訳

          今年の初めに「週に1回noteをアップする」と宣言したのに、随分とサボってしまった。 新型コロナウイルスの流行で、東京はまず、夜間の外出を控えるように言われ、緊急事態宣言が出て…。ちょうどその少し前に書いてあった内容は、なんだかそぐわないような気がして、アップするのを躊躇した。 そしてそれから、いつもと違う日常が始まり、気分転換にカフェを渡り歩きながら原稿を書くことができなくなった。 食事はその日の気分や都合で、材料を買ってきたり外食をしたりなんてことはなくなり、毎日3食

          自粛期間の言い訳

          40代、これから何をする?

          社会人になって間もない頃、私が女性誌の仕事をするようになったきっかけを与えてくださった、元上司に会った。 親と同世代の元編集長は、何年も前に定年退職されているのだけれど、年に一回ぐらい、昔の編集部の集まりがあったり、ご自宅に招いてくださったりして、交流が続いている。 手づくりのウール地のスーツに、お母様が使っていらしたという帯をご自身でリメイクしたというグレーのバッグを組み合わせ、白髪のショートカットで、待ち合わせしたビルのエレベーターホールに、ニコニコと変わらぬ笑顔で現れ

          40代、これから何をする?

          フェミニズムと新型コロナウイルスと

          先日読んだ、『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』(大和書房)がすごくわかりやくて面白かった。 2人の著者、上野千鶴子さんは母の1つ年上、田房永子さんは私の3つ年下で妹と同じ年。2人の対談形式で進む女の葛藤にまつわる話は、私と母の時代の話そのものといってもいい。 大学に入学して私に彼氏ができたとき、母は「自分でちゃんと避妊しなさい」と、コンドームではなく、女性が自分でできる避妊方法について私の寝室で話してきた。 それは、母の体験というよりは、確か、上野千

          フェミニズムと新型コロナウイルスと

          家事シェアと男のプライド、女のプライド

          先週はわが家の家事シェア、今では随分とスムーズになったという話を書いたのだけど、最初から自然にできていたわけではまったくなかった。 わが家は共働きで、2人ともフリーランスだから、仕事の波が大きい。 もう10年以上前のことだが、結婚当初、夫の仕事はあまりうまくいっていなかった。 本人も当然苦しかっただろうし、私も苦しかった。 家計のために仕事を減らすわけにはいかないし、抱えきれないほどの仕事に苦戦しながらも、夫に妬まれてもいるようで気兼ねする。 夫は家事をやらないわけでは

          家事シェアと男のプライド、女のプライド

          「名もなき家事」のかたまり、ゴミ出し一式を任せられるのはありがたい

          先週のnoteの最後に触れた家事シェアについて、夫が読んで思うところがあったようで、夫婦でいろいろと話をした。 現状でいうと、共働きのわが家は家事シェアをしている方だと思う。 もちろん、お互いに完璧ではない。 でも、たとえばゴミ出しはかなり前から夫の担当で、 自治体から配られるゴミ出しの日カレンダーをキッチンの横に貼り、 曜日ごとに燃えるゴミの日、リサイクルゴミの日、不燃ゴミの日を把握し、 朝起きたら家じゅうのゴミをまとめて家の前に出す といったゴミ捨てに関する家事一式を

          「名もなき家事」のかたまり、ゴミ出し一式を任せられるのはありがたい

          家事雑誌の存在意義って?

          3年ほど前、オーストラリアに旅行したとき、10年以上前にニュージーランドでホームステイをしたときのホストマザーに再会した。 ホストマザーといっても、私と年齢は6、7歳ぐらいしか変わらない。インテリアデザイナーで、楽しいことが大好きで、若くして子どもを産んでもう成人した息子と娘がいて、ウェーブのかかった金髪の美人。 独立した子どもたちと、生まれたばかりの孫の住む街に、一人で暮らしている。 ホテルまで私たち夫婦を迎えにきてくれた彼女は、車で彼女の住む街に連れて行ってくれた。行

          家事雑誌の存在意義って?