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今日、誰のために生きる? ③


✅「一番大事なのは、まず自分を大切にすること」

ショーゲンが村人から「いつもヒヤヒヤする」と思われていた理由は、奉仕精神が強すぎるから。
 
ある日、買い物を済ませた女性が両手に荷物をいっぱいだったので手伝ってあげようと声をかけたら、「ショーゲンには手伝って欲しくない」と言われてしまいました。
 
ショーゲンは日本で子供のころから「困っている人がいたら助ける」ように教わってきましたが、ブンジュ村では違いました。
 
そのお母さんは言いました。
「人の心の中には喜びのグラスがあるのよ。自分の喜びのグラスをまず満たして、そこからあふれた時、そのあふれた愛情で人のためにしてあげたらいいのよ」彼女には僕の喜びのグラスが枯渇しているように見えていたのです。
 
ショーゲンは村長からいつも言われていました。
「自分を絶対に、置いてけぼりにしてはいけないよ」
 
「一番大切にしないといけないのは自分だよ。ショーゲンは、いつも自分を置き去りにしているように見える。それでショーゲンの魂は喜んでる?自分の魂に失礼なことをしてはいけないよ」
 
村長の目に映るショーゲンは、心に余裕がなく、何かに追われているように見えていて、常に自分に何かを課しているように見えていたのです。
 
ショーゲン、まず自分の心を満たしてね
 
自分の心を満たさない限り、本当は誰かの力になれないことを、村人は知っていたのです。
 
それは、満たされていない人が他人のために何かをしようとした時、必ずトラブルが起きる、ということも知っているからです。

 ✅「自分が自分の一番のファン!」


ブンジュ村の子供が、お母さんから教えてもらっていること。
それは「自分が自分の一番のファンでありなさい」ということ
 
たとえば
「俺のオレンジの剥き方、カッコいいだろ!」
「俺のズボンのはき方、イケてるだろ!そんな自分を愛してるんだよ」
「俺のアボガドの切り方は最高だね!」
「俺は自分のやることが、全部好きなんだ」
 
これが自分に愛を吹き込む行為です。
 
村長は言いました。
「愛が注がれた者からしか愛は与えられないよ」
自分自身を愛で満たしていれば、自分の行為のすべてに愛が宿る
 
「愛で満たされた人が剥いたオレンジは愛に満ち、それを食べた人も愛に満たされる。そうして皆の心が満たされるんだよ。だから収穫する時さえも愛を注ぐんだよ」
 
「自分が自分の一番のファン!」であることは、自分に愛を吹き込むことであり、それが周りの人にも愛を注ぐことになる。

✅「血の繋がらない家族」


ブンジュ村では「5歳になったら家族以外で相談できる大人を自分で決める」という面白いルールがあります。
 
5歳の誕生日に村長がザイちゃんのところに来て「この村で家族以外で一番、話しやすい人は誰?」と村長はザイちゃんに聞きました。
 
ザイちゃんは「野菜を育てているおばちゃん」と答えました。
すると村長はザイちゃんを連れて「野菜を育てているおばちゃん」のところへ行ってザイちゃんへ伝えました。
 
村長はザイちゃんへ言いました「家族に話せないことがおきたら、このおばちゃんへ打ち明けてね。そしたら、おばちゃんが俺に伝えに来てくれる。俺も村長としておばちゃんと一緒にザイちゃんを助けてあげられるからね」
 
では実際に家族以外に相談するかというと、そうではありません。というのも、村のみんなが父であり母だから、みんなで助け合って生きている。この村では「血の繋がりが無くとも」みな家族なんです。
 

✅「人を思う時間」


ショーゲンは20代の男子3人でキャンプにでかけました。
彼らは、キャンプの帰りにショーゲンに向かって「このキャンプでどこに絆を感じた?」と聞きました。
 
日本人であるショーゲンが「みんなでカレーを作った時に絆を感じた」と言ったら・・・
別の子は「テントで眠りに着くときに、ショーゲンの寝息を聞いたときかな?」
 
ショーゲンは今まで友達の家に泊まった時に、わざわざ寝息を聞いたことはありません。でも彼らは、まるで寝入った子供を愛おしく見つめる親のようにショーゲンのことを見つめていたのでした。

 ✅「あきらめる時間が来る幸せ」


ショーゲンはブンジュ村に「ティンガティンガ」という絵を学びに来ました。
 
一日12時間、毎日書き続けました。
日が暮れると暗闇に包まれる村の電気は、せいぜい日暮れから3時間くらいです。
ある時、電気をつけて絵を描いているところに村長が訪れました。
 
村長から「ちょっと、こっちに来て」と呼ばれたので、ついて行きました。
村長の横に腰をかけた僕に村長は・・・
 
「あきらめる時間が来ることの幸せって、わかるかな?」
この村の人たちが最も大切にしていることは仮に朝6:00から21:00までの15時間のうち15:00に仕事を終わらせてからの21:00までの6時間は「自分の時間や家族との時間」を大切にしています。
 
村長は、そんな絵を描き続ける僕を見かねて来てくれました。
「ショーゲンは、あきらめるということをマイナスにとらえていない?でもこの村ではプラスなんだよ。あきらめる時間が来るということは、今から真の休憩の時間になることだからね」
 
「今の日本人は?いつ、あきらめる時間をつくっているの?」
「あきらめられない大人に育てられた子供は、あきらめられなくなるんだよ。」
 
ショーゲンは絵を描き始めた時期も遅かったので没頭して楽しかったのですが、そのままで行くとショーゲンの心が潰れると警告してくれてました。
 
そして村長は、そんな僕に言いました。
「ショーゲン、良い作品は心に余裕がないとできないよ」
 
この村では、心にゆとりを持つことが何よりも大切にされていました。
 

 ✅「夢を叶える意外な方法」


「ショーゲン?どうやったら画家としてやっていけると思う?」と
お世話になっているカリビンさんが言いました。
 
そして、カリビンさんは「大切なのは感謝の気持ちを伝えること」だと言いました。
「考えてみて。『感謝の気持ちを伝えに来ました』と言われて『来ないでください』と言う人はいるのかな?感謝の気持ちを伝えられたら、みんな嬉しいでしょ」
 
たしかにこの村の人たちは一つ一つのことに感謝を伝えています・・・・・実体験(本をかってあげて!(笑))
 
カリビンさんは更に熱く語りました。「感謝の気持ちを伝えたいって思うときの心は、どういった状態だと思う?心に余裕がある時なんだ。心に余裕がないと、誰も感謝を伝えたいなんて思えないよね」
 
ショーゲンは言われました。
心に余裕がない上に、感謝を伝えることが下手だったようで「血の通わないロボットのようだ」と言われました。
 
カリビンさんは言いました。
「感謝の気持ちを伝えると、言われた相手は嬉しいでしょ。それだけで、こっちも嬉しいよね。でも、それだけではない。感謝の気持ちを伝えると、たまに凄いことが起きるんだよ」
 

✅「自分らしく生きる覚悟」


ショーゲンの「ティンガ・ティンガ」ブンジュ村独自の画法に注文が入るようになり夢中で朝から必死に、これが売れたらお金がもらえると一生懸命でした。
 
そこに村長があらわれてショーゲンに言いました。
 
「そこに喜びはあるの?」
「歓喜する人間になると決めて欲しい。自分らしく生きて行く人間になると決めて欲しい。それが出来ないなら、この村から出て行って欲しい。」
 
この村では、僕以外の村人、子供から大人までみんな、自分らしく歓喜して生きると決めている。決めていないのはショーゲンだけと言うのです。
 
僕は何にワクワクして、何を喜びと感じて、何に感動しているのか?「ショーゲンは自分の心に耳を傾けていない」と村長は感じたのでしょう。
 
村長は、ショーゲンの描いているキリンの絵を観て言いました。
 
「それは、自分のために描こうとしているのか?それとも人のために描こうとしているのか?人のために描くのは良いけれど、そこに自分の喜びもないといけない。人のためにやって人が喜んだとしても、自分がまったく喜びが感じられないのなら、それはやめておけ」
 
実際、あらためて自分の絵を観た時、それは注文者を喜ばせる構図で、そこに自分の喜びを載せていく。
コンポ村では、自分の喜びをとても大切にしています。
 
自分の喜びに、どこまでも寄り添い、その喜びを素直に表現して生きる。それが歓喜する人間です。自分の喜びを生きて行くとき、人は自然に自分らしくなっていきます。
 
「自分らしさ」の手掛かりは喜びなんです。
 
「ショーゲン、自分らしく生きて行くと決めて欲しい。周りに、そういう人間がどれだけ居るかで人生は決まるよ」
 

✅「思いを丁寧に伝える挑戦」


ショーゲンは、描き始めた絵を日本に送るためにブンジュ村では貴重な段ボールを買いに一時間半バスに乗ってお店に行きました。すると在庫が無いから「二週間後に取りに来て!」と店主に言われて村にもどりました。
 
二週間後に届いているはずの段ボールを取りに行くと・・・店主は「他の人にあげちゃった」と言うのでした。
 
「とっておいてくれると言ったじゃないか!」と店主へ怒鳴って村に帰り、ブツブツ村を歩いていると村長から声を掛けられたので、その経緯を話すと・・・
 
「ショーゲンより思いの強い人のもとへ段ボールが届いたんだね」と村長が言いました。
それなら僕もめちゃくちゃ必要だった!
すると村長は「ただ欲しいというだけでは無くて、なぜ欲しいのか。そういう思いをちゃんと伝えられたの?大切なことを端折ってはいけないよ」
 
ショーゲンは「言っても無駄だ!」と思いこみながらもう一度しぶしぶ店主へ頼みに向かいました。
「さっきは一方的に怒って、ごめんなさい。じつは、この村の温かさを描いて、今の日本にないものを絵を通して伝えたいんです。この村の日常あふれる小さな喜びを絵にすることで、日本人に幸せを感じる心や感性を取り戻して欲しいんです。日本に、その絵を送るために、どうしても段ボールが必要なんです。」と店主へ伝えると
 
「そうだったのか」と彼は言い。「なぜ欲しいのかわかったよ。」また二週間後に取りに来てくれないか?と店主が言ってくれました。
 
二週間後に取りに行くと店主は取り置きしておいてくれました。
段ボール一枚を手にするまで四週間かけて手にしたショーゲンは嬉しくて枕元に置いて、その晩は眠りに着きました。
 
その時にショーゲンは「欲しいものが手に入る嬉しさや喜びを」感じて涙が止まらなかった。この日、日本人として生まれて初めて、そういう喜びを感じた。

✅思いを伝える「愛のリレー」


昨日の話には続きがあって、すごいドラマがあったと店主がショーゲンに熱く語り始めました。
 
店主の元へショーゲンが頼んだ段ボールが入荷された矢先に、フルーツを売っているお婆さんがやってきて「腰が痛いから」バナナやマンゴーを入れるのに必要なんだと店主に訴えました。
 
店主は、おばあさんに「この段ボールは、それでも貴方に渡せないんだ」と言いました。
 
続けて店主は、おばあさんに「この段ボールは、ティンガティンガという幸せがあふれ出る絵を日本人の青年が描いていて、その思いを日本人に届けるために、どうしても必要なんだ。だから今回は、どうしてもあげられないんだ。」
 
ショーゲンの想いを聞いた店主がショーゲンの段ボールを死守し続けてくれていました。売れば直ぐにお金になるのに・・・
 
でもショーゲンの想いを店主が、お婆さんに伝えることができたので、そのお婆さんは「それなら段ボールは貰えないね」と言ってくれたそうです。
 
そこで店主の彼が「それならこの風呂敷に包んで僕がお婆さんの家まで運んであげるよ」と運んであげたら、お婆さんは店主に言いました。
 
「愛情をかけて収穫できたフルーツだけど、あなたが運んでくれたから、さらに愛情が重なり合って特別なフルーツになったわ。あなたのお陰よ、ありがとう。」と言って貰えたことが店主は嬉しくて、そのきっかけを作ってくれたショーゲンに対して「このドラマ」を大喜びしてくれていたのでした。
 
そのお婆さんは「特別愛情がこもったフルーツなのよと」売ってくれていたと・・・
 
ショーゲンの「段ボールが必要な切なる思い」を店主に伝えて、それがお婆さんのドラマを創造して、そのドラマに店主が歓喜して「愛がリレー」されていました。
 
それを村に帰って村長に話しました。
それを聞いた村長は「ショーゲン、思いがあるなら、自分の思いは必ず伝わると信じるんだ。自分にそういう思い込みの魔法をかけるんだよ。自分が幸せに成れる思い込みの魔法を、もっと自分にかけたほうがいいよ」

 ✅「2日前のお昼ご飯、何を食べたか思い出せる?」


ある日、突然・・・村長がショーゲンに
「2日前のお昼ご飯、何を食べましたか?」と尋ねました。
 
思い出せないショーゲンに村長は・・・
「そうか、ショーゲンにとって食べることは作業だったんだね。」
「食事が作業になるとき、生活も作業になるから気を付けた方がいいよ。」
「ショーゲン?二日前の夕食は、うちの家族と食べていたよね。でもショーゲンは、そこに居なかった。」
 
つまり、その時間ショーゲンは、そこに居なかった。その時間は無いに等しい・・・!
村長は「うちの孫だってショーゲンが、あそこに居なかったことをわかったよ。おそらくショーゲンは明日のこと、一週間後のことを考えていたのだろう。」
 
村長はショーゲンに作業の話が多いことを指摘しました。
「明日どこにいく?」
「何を食べる?」
「何をする?」
 
その対極にあるのが「心の会話」
ブンジュ村の人は、「それを食べてどう思った?」「心はどう変わった?」「どう感じた?」その人の本質を引き出す会話をしています。
 
これは、目の前の人と一瞬一瞬を分かち合う。心からのコミュニケーションであり。目の前の人を大切にしているということ。
 
ブンジュ村では人だけではなく「目の前の物や植物や道」などの物に対しても「赤ちゃんを抱っこするようにあつかい」目の前の人に対しては「抱きしめるように」話します。
 
村長は教えてくれました。
「その一瞬一瞬を味わい感じるという事が『生きる』ということだよ」

 ✅「おじいちゃんは、シャーマン」


※この本文を書いておりますと、日本人に真の豊かさを取り戻したく思います。
どうかこの本を買って「バイブル」にされることをおすすめ致します。
 
思考が豊かになれた瞬間に「豊かさ」が顕れます。
つまり思考は時空をも超越しています。
 
僕が52歳ですから・・・子供の頃にしっていたら?
どんなに豊かな人生を送れただろうか?と思えます。
 
 
「ショーゲンは、どうして・・・そんなに心に余裕がないんだ?日本人なのに不思議だな」
と・・・何度となくブンジュ村の人から言われたそうです。
 
そんな時、村長が迎えに来ました。
村長の家につくと奥様も待っていて・・・村長は言いました。
「じつは、この村の先輩は日本人なんだよ・・・」
 
村長のお爺さんはシャーマン「サニワ(ダウンロードできる人)」
村で、御祈祷や神事を行う人で夢の中で日本人と時空を超えて交信していたそうです。そしていろいろ教わったそうです。
 
「今日、誰のために生きる」「わたしは貴方のことを信じている」「人間らしいね」これらの言葉は村の合言葉として使われていますが、すべて日本人の口癖だったと言うんです。
 
「ショーゲンは、この村でいろんなことに感動して、涙を流していたね。それは、もともとの日本人の文化に感動していたってことなんだよ」
 

 ✅「虫の音を聞ける日本語の秘密」


 村長のお爺さんのシャーマンは言っていたそうです。
「日本人こそ俺たちの先輩で、真のアミニズムなんだ。自然災害が来ないように、自然に対して手を合わせるという心が皆の中に在る。地球上で虫の音がメロディーとして聞こえる、虫との会話ができる稀有な民族がいて、それが日本人とポリネシア人なんだ」※アミニズム:自然崇拝(日本の古神道)
 
村長は「牛の鳴き声は、ちゃんと聞こえるし、気持ちもわかる。鳥の鳴き声も聞こえる。でも虫の声は聞こえなく音だけが工事現場の騒音のようにガーガー・ガチャガチャと」
 
村長はさらに「虫の音がメロディーとして聞こえる、会話として聞こえる、その素晴らしさは、当り前ではないからね。何故そういう役割を日本人に与えられたのか、ショーゲンは気づいているでしょ?幸せとは何か、本当に大切なことは何か、それが既に日本人に備わっているからだよ。だから、それを伝えて行く役割が日本人にはあるんだ。」
 
最後に村長は「日本人の血の中に流れる素晴らしい記憶を呼び起こしてね」
そしてショーゲンは、そうなると決意しました。
 

 

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