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過ごし方の考え方

自転車に乗って、既に世界を90,000km走って旅した西川くんがCASAに来てくれた。もちろん今も旅の途中。
彼の口からとつとつと語られる物語は、国や人種の違いを超え、過去から未来という時間の枠を超えた人の暮らしに必要な価値あるもの。

EARTH RIDE : https://www.earthride.jp/


旅が氣づかせてくれること

子どもの通う小学校に急遽来てくれることになった彼(上述:西川昌徳くん)の話をどうしても聴きたくて、先生にお願いをして子どもたちと一緒に5時限目を受けさせてもらいました。

子どもたちをあっという間にノせてしまい、聴き手の心を掴んで離さない話術とそのストーリーに僕もグイグイと引っ張られていきます。

「本当に感動するものに出会った時は、『スゲー』なんて言葉は、心が震えて出てこないんだ。」

彼は子どもたちに「ぬすもう」と伝えます。

不思議なんだけど、家族や友だち、いつもまわりにいる人やこの先出会う人たちの「良いところ」をぬすんでも誰も困らないんだよ。それどころか、そのぬすんだ「誰かの良いところ」を自分のものにしていけば、キミは良いところをいっぱい持った人間になれる。

そして、希望を持つこと、ものごとに関心を持つこと、そのために自分から小さなアクションを起こすことの大切さをお話されました。

終始笑いの絶えない楽しい時間はあっという間。

学校から次の講演会場へ向かう途中にCASAに寄ってくださり、Daily Life Bicycle Cafeを臨時開店。



都会の公園のベンチは目的がないと座れない

昔から、海外と日本って「時間の過ごし方」が違うなぁと個人的に思っています。

ご隠居さんやちびっ子たち以外に、好きなことをのんびりとやってみたり、心の赴くままに自分らしく楽しむ時間を過ごす人の姿を日常的に見る機会は少ないのかもしれません。

そもそもでもあるのですが、

今日は天気がいいから仕事を休んで遊びに行こう!

なんて、許してもらえないって思う方がほとんどだったり、もし許されるとしても、それはよっぽどのお金持ちか会社の偉い人と相場は決まっているって話で落ち着くと思います。


今の日本で知り合いじゃない人とどうやったら深くお付き合いできるかと考えたのがコーヒーをやってる理由なんですよ。

彼の自転車には、コーヒーの生豆を焙煎する焙煎器から手挽きのミルやネルといった、一杯のコーヒーを注ぐまでに手間を必要とするOld styleの道具が積んであり、そのひとつひとつの作業をゆっくりと丁寧に進めていきます。

そうして時間をかけていくと、待っている人同士の間に会話が生まれ、初めて出会った人と人の心の距離が近く感じるようになります。

厳選された豆で丁寧に用意された一杯のコーヒーは、凝り固まった心や知らない内にカラカラに渇いてしまった心にも沁みるような美味しさ。


今は都会の公園のベンチでさえ目的がないと座れないでしょ。そんな町や公園でコーヒーを淹れると人が集まってきて、知らない人同士がお喋りし出したり、友達になるのが好きなんです。

彼は、物の価値について話を続けてくれました。

彼の仕事道具として欠かせないPCやカメラを2年連続で盗まれてしまった結果、

・お金をカタチにしたモノは奪われたら無くなってしまう価値

に氣づき、

・人に奪われることなくいつまでも心に残る価値のあるもの

を考えたところ、一緒にコーヒーを楽しむ時間に至ったそうです。

それは、彼がこれまで世界中を旅をする中で感じた、国や人種、宗教、文化、世代、性別が違っても変わることなく得てきたもの。
10年先、20年先の子ども達にも残せるもの。

Daily Life Bicycle Cafeにいけば、その価値が何かを感じられます。



テーブルを囲む

CASAは小さな店で、店内には大きなテーブルが一枚あるだけです。

ここでおむすびを食べる、お茶を飲むとなると、もれなく誰かと相席をお願いすることになります。

テーブルの幅は広くも狭くもない中途半端な奥行きなのですが、これは人との距離を近くに感じながら不快に思わないギリギリの距離で考えています。

これまで、このテーブルを挟んで初めましての人たちがプライベートでも仲良くなっていく様子をたくさん見させてもらいました。

ある人は悩みが解決したり、仕事が見つかったり、恋愛から結婚に発展という人までいらっしゃいます。

きっかけはいつも同じで、

同じものを一緒に食べて、おしゃべりする。

たったこれだけのことでした。

でも、たったこれだけのことが自分の人生を豊かに感じさせてくれる1歩目なんですよね。

私たちはカウンター越しに皆さんの笑顔というご馳走をいつもいただいています。


この写真↑は、先日夜開催したWSのヒトコマ。
みんなで一緒にご飯を食べておしゃべりするだけの会です。
たくさんの方に来ていただけたので、さすがに小さなテーブルをもう1つ出しました。

僕の隣にいる彼は、60歳になったらBarをやりたいという夢があり、一夜限りのOne night Barと題して一緒に会を作ってもらいました。

カウンターのこちら側で彼がこう話しました。

こういう時間が本当に癒しの時間だよね。カウンセリングってこういう時間のことだと思うわ。ウチらがどんだけやっても結局1対1。でもみんなでこういう時間を過ごすだけで全員元気になる。良かったって思ってもらえる。


今、この記事を書きながら窓に目をやると、少し赤く染まりかけた薄水色の空にピンクとグレーの混じった凍雲が西の空へと流れていきます。

雪をかぶった伊吹山が綺麗です。

「今」を感じる時間を大切にしたいですね。




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