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【2023夏 高校野球】智弁学園vs徳島商 どこよりも詳しく見どころ解説

第105回 全国高校野球選手権大会 2回戦
智弁学園(奈良)vs 徳島商(徳島)

強力打線 vs 大会屈指の大エース

ともに高校野球ファンでは知らない人はいないであろう名門校同士だが、甲子園での対戦は初めてである。

奈良県勢と徳島県勢の対戦は夏に限ると過去に2回あり、1勝1敗となっている。春も含めると計5回の対戦があり奈良の3勝、徳島の2勝である。

直近の対戦は2016年で、この時は鳴門がセンバツで優勝した智弁学園を相手に5-2で勝利している。鳴門は日ハムの河野投手、智弁学園は阪神の村上投手が投げあった試合で、智弁学園にとって徳島県勢は春夏連覇を阻止された相手という事になる。
そして智弁学園にとって徳島県勢との対戦はこの1回のみで、まだ徳島代表からの勝利はあげられていない。

奈良vs徳島の対戦で興味深いデータがもう1点ある。
徳島県勢の3敗はいずれも徳島商である点だ。
(対戦相手:高田商、天理、郡山)
そう、徳島商も過去に奈良県勢に0勝3敗と、まだ勝ち星を挙げていないのだ。

この視点で見てみると、なかなか興味深い対戦と言えるだろう。

両校の勝ち上がり

智弁学園

智弁学園は初戦で英明(香川)と対戦し、6-5(延長10回タイブレーク)で勝利した。

この試合は序盤から激しい打撃戦のシーソーゲームとなった。
智弁学園投手陣は英明打線に17安打を浴び、逆転しても直後に再逆転を許す展開。中盤以降は英明の計7度の投手交代でなかなか流れをつかめず攻略に苦しんだと言えるだろう。

試合は終盤8回に英明・寿賀投手のワイルドピッチ、9回には押し出しで何とか同点に追いつき、タイブレークではスクイズで試合を決めた。

智弁学園は強力打線が売りのチームだが、初戦は9安打で長打が2本と本調子とは言えない出来だった。

勝利のポイントとなったのは、エース中山の粘りのピッチングだった。
4回から登板し11安打を浴びたが決定打を許さず、再三のピンチを切り抜けた粘り強さと精神力は特筆すべきものだった。

打線は本来の力は出せなかったものの、英明投手陣から13四死球を選んだ選球眼が勝利の決め手となったと言えるだろう。

徳島商

徳島商は初戦で愛知の強豪・愛工大名電と対戦し、投手戦の末2-1で勝利をおさめた。

試合は初回にヒットと盗塁で走者を進めて5番加藤の右前タイムリーヒットと、理想的な攻撃で愛工大名電が1点を先制。
徳島商は3回に反撃。
2本のヒットと2つの盗塁で2アウト2、3塁のチャンスを作る。
ここで6番の下川がライト前に2点タイムリーヒットを放ち逆転に成功した。

その後は徳島大会から1人でマウンドを守ってきた、徳島商のエース森が素晴らしいピッチングを見せて愛工大名電に反撃を許さず、そのまま2-1で勝利。

この試合の勝因はなんといってもエース森 煌誠(こうだい)の好投である。
140キロ台中盤の球威のあるストレートと、キレのあるスライダー。
そして中盤からは落差の大きいスプリットを効果的に使い、愛工大名電の強力打線から10個の三振を奪い、5安打1失点に抑えた。

エースの陰に隠れてしまいがちだが、この試合は捕手の真鍋の配球が素晴らしく、愛工大名電打線をほんろうしたと言えるだろう。そしてワンバウンドになるスプリットを逸らさない見事なキャッチングもエース森の好投に繋がったはずだ。

またライトの森口の好返球をはじめ、内外野ともに守備がとても良い動きを見せて森投手を盛り立てた点も見逃せない。

この試合のポイント

なんと言っても
徳島商のエース森 vs 智弁学園打線
が最大のポイントになる。

徳島商のエース森投手の魅力は「球速」で示されるものではない。
数値的にストレートは140キロ中盤だが、とにかく球質が良い。
体重がしっかり乗って打者の手元でも伸びが衰えないストレートだ。そしてスライダー・スプリットともに制球力が抜群で、変化球でストライクが取れるのも強みである。

しっかり試合間隔が空いて、まだ疲れが溜まっていない2回戦では、森投手はなかなか攻略の難しい投手と言えるだろう。

智弁学園にとっては初戦ノーヒットに終わった1番の松本と2番の山家の出塁がカギになるだろう。
特にプロ注目の強打者である1番の松本が、今大会の最強投手とも言える森を相手にどのようなバッティングを見せるのかに注目したい。

徳島商のエース森は中盤から愛工大名電打線につけ入るスキを与えなかったが、立ち上がりに2安打を許したように序盤は甘いコースにボールが行くシーンが見られた。智弁学園としては立ち上がりから甘い球を積極的に捉えていきたい。

一方の徳島商は初戦同様に守りからリズムを作って、攻撃は機動力を絡めた攻撃で中山をはじめとした智弁学園投手陣を攻略したいところだ。打線のキーマンは初戦で3安打の1番高木。
非常にコンパクトなスイングで愛工大名電の笹尾投手の速球に差し込まれていなかった。
智弁学園は中山投手以外の先発が考えられるが、足で揺さぶって先制点を取り、中山投手を早く出さざるを得ない展開に持ち込みたい。
そのためにも、高木の出塁に注目だ。

そしてポイントはもう1点「今年の暑さ」がどう影響するか。
徳島商の初戦は第4試合のナイター、この智弁学園戦は第2試合となる。
1人で投げ抜いてきた森投手にとって、初戦以上に疲労がたまる試合となるだろう。

それだけに智弁学園としては早打ちして森投手を助ける展開だけは避けたいところだ。

どちらも打線はトップバッターがキーマン。
それだけに両投手ともに初回の入り方が大事になる。

1回から目が離せない好ゲームを期待したい。

甲子園ラボ





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