見出し画像

蘇ったライヴアンセム

Greenroom Festival 2022 day.1
Good Wave ステージ
17:45
Dragon Ash

我々はもうずっと準備出来ていた。
あとはもう、GOサインが出るのを待つだけだ。
そんな気持ちでDragon Ashのステージが始まるのを待ちわびていた。

GUNS N' ROSESの「Sweet Child o’ Mine」のあの印象的なギターリフをサンプリングに使った出囃子とともにメンバーがステージに登場すると、そこには満面の笑顔。

特にヴォーカリストのkjは、楽しくてしょうがないといった面持ちで観客に向かい「よくぞここまで我慢した!」と、コロナ禍以降のオーディエンスの鬱屈した思いを労った。

ここ最近、積極的にフェスやイベントに参加しているDragon Ash。
しかしそのセットリストの中には、あのライヴアンセムが無かった。
そう、ロックファンなら誰もが知っている彼らの代表曲「Fantasista」である。
激しいロックナンバーで、コール&レスポンスを伴い、現状のコンサートシーンでは最もNGとされるモッシュ&ダイヴが乱発する曲。

ライヴ中盤まで、新曲やカヴァー曲で進んでいく構成を見て、「やはり今回も…」という思いは拭えずにいた。
7曲目の「Jump」を演奏し終えてM.C.に入った時に、その瞬間は突然訪れた!

「曲順入れ変えたから」

おもむろにkjが口にしたその言葉に、あの場にいた誰もが期待せずにはいられなかった。
そして、印象的なイントロのパーカッションフレーズとともに演奏されたのは「For Diver’s Area」だった。
これもまた「Fantasista」に並ぶくらいの、彼らのライヴでは非常に盛り上がる名曲。
しかし今回はこの名曲でさえも、最高沸点へ到達するための序章に過ぎなかった。

いよいよ最後の曲…。
2021年以降、ライヴでの演奏を封印してきた「Fantasista」をついに解禁した。
kj曰く、KICK THE CAN CREWのステージを見て、観客が声を出してるのを袖で見ていて泣いてしまった…と。
そしてセトリを変更し、急遽「Fantasista」を演奏することにしたということらしい。

いつもなら「ミクスチャーロックは好きですか?」と問うkjが、この時は「ロックは楽しいか?」と聞いてきたのは、コロナ以降の予想だにしないあらゆる境遇を体感してきたなかで辿り着いた一つの着地点だったんじゃないかと想像する。

「飛び跳ねろ!」
「腹の底から声上げろ!」
kjの魂の咆哮は横浜の港を揺るがした。

これはきっとDragon Ashの、kjの大いなる覚悟だったに違いない。
そしてその覚悟を受け止めるため、我々オーディエンスは一体となって声を上げて飛び跳ねた。
久しぶりにあの瞬間が帰ってきた。

もしかしたら来年はもう呼んでもらえないかもしれない…そんな思いもよぎりながら演奏された「Fantasista」。
それほどの覚悟であの曲の演奏に挑んだDragon Ashに、今は感謝の気持ちしかない。
再びあの瞬間へ連れて行ってくれてありがとう…と。

set list
1: Tiny World
2: Mix It Up
3: Rocket Dive(hide with Spread Beaver)
4: New Era
5: Revive
6: ダイアログ
7: Jump
8: For Diver's Area
9: Fantasista

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?