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下駄のスゝメ

私、どうも昔から下駄が好き。
というか人と同じものを身につけたくないという若気の至りを今日迄こじらせて、すっかり下駄のヘビーユーザーになってしまった。


幼少期にゲゲゲの鬼太郎が好きで、そこで下駄の存在を知ってからほのかな憧れを抱いていた。

墓参りの際に京都の錦市場の履物屋さんにて初めて祖母に買ってもらったのが黒鼻緒2枚歯の桐下駄。

それからというもの嬉しくて毎日履いていた。

街を音を出しながら下駄で歩くのがとても楽しかったし、周りからも不思議な目で見られていたと思う。目立ちたがりの私にはそれがなんとも心地よかった。

「歩くのが楽しくなる履物」が世の中にどれだけあるのかはわからないが、私にとっては間違いなく下駄がそれである。

下駄でどこだって行っていたし、何をとち狂ったかスーツに下駄を合わせた事もある。慣れると普通にスケボーもできちゃう。


以前、何故かビーチサンダルで京都に里帰りしてしまった事がある。

初夏、墓参りついでに雨上がりの早朝の京都市街をスケボーでクルージングしながら観光していた時に、どうにも路面とサンダルの相性が悪くてハイドロプレーニング現象が起きてブレーキが効かない。…この文章をご覧になられている皆様に状況は伝わっているだろうか。まあいい。

そのせいで交差点ですっ転んだのもあり、開店と同時に前記の錦市場の履物屋さんに飛び込み、「サンダルがどうにも滑るんで下駄下さい」と訳のわからん理由を話したら店主は不思議な顔をして売ってくれた。

そもそもスケボーするなら靴を履けという意見はごもっともであるが、個性を出してなんぼなのがストリートのお遊びである。
「あいつ下駄でスケボーしてるぞ」と言われようが、それでもスイスイ楽しそうに滑ってれば不思議な説得力がでてくる。ダボダボのいかにもストリートな格好より、少しモードな服で街を綺麗に流してる方がカッコ良く見えるのと同じ理屈である。
と、勝手に思っている。
なんか外人観光客に写真を撮られた事もある。

少し話がそれたが、とにかく下駄は歩くのが楽しくなる履物だと思う。

やはり夏に裸足で履くのが良い。
裏にゴムが貼ってあるものも売っているが、あれは音が鳴らず歩き心地も変にソフトになりいけない。サイズは好みだが、大きすぎると主張が強くなりこれも良くない。鼻緒というものは馴染むと伸びて指の奥まで入るものだ。草履もそうだが、鼻緒の履物は少し小さめを買うことをオススメする。
なんだか下駄、草履は小さめが「粋」に感じるのだ。

下駄は草履や雪駄と比べると幾らか個性が強い。それが故にハマるとなかなか抜け出せない深みがある。
どうしても木製故に削れていくので適度に左右をローテーションして履いたり、気に入った鼻緒は使いまわしたり、焼印を入れてみて個性を出したりなど、楽しみ方は沢山ある。

若い子たちが下駄というアイテムに対してどのような目を向けているかは判らないが、街中の昔ながらの履物屋さんで見かけたら、未経験ならば安いものからで良いので是非1度履いてみて欲しい。夏の下駄は最高に気持ちが良いものだから。

なんか歩くのがウキウキすると思うよ。

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