エッセイ|大好きな町、三軒茶屋。
三軒茶屋は、私が暮らした中でも「一番好き」と言える町だ。
東京都二十三区の西南部。人情味あふれる昔ながらの商店街が点在する一方、新しい店や文化もどんどん取りこんで、新旧が雑然といりまじる。
運転手泣かせの路地迷宮としても知られ、散歩好きにはたまらない町でもある。
そんな三軒茶屋を含めた世田谷の町々で、二十代後半から三十代にかけて、十年強をすごした。
最初に暮らしたのは、太子堂という町だ。
三軒茶屋駅から徒歩五分。小さなアパートの一階に借りたのは、五畳半程度の部屋だった。
窓