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[2024年3月・ファッションテックニュース] Maison Margiela初のフィジタルNFTからDressXの生成AIを取り入れた新ツールまで、注目ニュースが目白押し!



StockXがApple Vision Pro用の没入型ショッピングアプリをローンチ

画像の引用元:https://apps.apple.com/ao/app/stockx-shop-sneakers-apparel/id881599819?platform=vision

スニーカーやストリートウエアを中心に取り扱うオンラインマーケットプレイス「StockX」が、Apple Vision Pro用の没入型ショッピングアプリをリリース。

ユーザーは、手と目の動きを使い、(全製品の)カタログや自分以外のユーザーがアップロードしたコンテンツを閲覧することができるほか、リアルタイムのインタラクティブな市場データにアクセスすることも可能。


Maison Margiela(メゾン マルジェラ)がThe Fabricantとタッグを組み、フィジタルNFT「METATABI」をリリース

画像の引用元:https://twitter.com/Margiela/status/1765404871023304746

「Maison Margiela(メゾン マルジェラ)」が、同ブランドのシグネチャーアイテム「足袋(タビ)ブーツ」のフィジタルNFT「MetaTABI」を、The Fabricantのプラットフォームで3月下旬に販売すると発表。

※当初は日本時間で3/27日にリリース予定とされていたが、3月31日現在、まだ販売されていない模様。

白(15個限定)と黒(1500個限定)の2色展開で、白にはカスタムメイドの実物の足袋ブーツ、黒には実物のレザーウォレットが付属する(ドロップから数週間後に請求が可能になる予定)。

ARでの利用、ゲーミングウェアラブルとしての利用も可能で、将来リリースされるWeb3プロジェクト(プロダクト含む)への優先的なアクセス権が付与される。

法定通貨もしくは暗号通貨での購入に対応しており、先行アクセス条件として、同ブランドが昨年展開したnumbers gameに参加し、1つ以上のNFTを保有していることや、The Fabricantのアイテム保有者であることなどから最低一つを満たす必要がある。


米国のファッションスタートアップ「mmERCH」がシードラウンドで640万ドルを調達

画像の引用元:https://www.mmerch.xyz/

ブロックチェーンとAIを活用したWeb3ファッションスタートアップ「mmERCH」が、シードラウンドで640万ドルの資金を調達したと発表。
評価額は2,570万ドルに及ぶ。

資金調達に際し、VC(ベンチャーキャピタル)の他に、ファッションデザイナーのTory Burch氏、モデルで起業家のKarlie Kloss氏、Web3ファッションコンソーシアムの「Red DAO」などからも支援を受けた。

同社は、生成アルゴリズムを取り入れたデビューコレクションを4月にリリースする予定。各アイテムにはブロックチェーンが統合されたデジタルツインも搭載されるとのこと。


HUGO BOSSがRoblox上にメタバース空間「PLANET HUGO」をローンチ

ドイツの高級ファッションブランド「HUGO BOSS」が、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」上に、独自のメタバース空間「PLANET HUGO」をローンチ。

3月6日にベルリンで開催された同ブランドの新ライン「HUGO BLUE」の発表イベントに合わせて公開された。

「PLANET HUGO」では、ユーザーは、同ブランドのバーチャルファッションアイテムを購入できるだけでなく、スタイリングゲームや他のユーザーとの交流を楽しむこともできる。


DressXが生成AIツール「DressX Gen AI」をリリース

デジタルファッションマーケットプレイス「DressX」は、テキストプロンプトに基づいて独自のファッションアイテムを生成し、(ユーザーがアップロードした)写真内の人物をその生成アイテムに数秒で着せ替えることができる新ツール「DressX Gen AI」をリリースした。

これまでは、DressX側でアイテムを写真の人物像に手動でフィットさせていたが、この生成AI搭載型のツールにより、自動での着せ替えが可能になる。

現在は、DressXのDiscordサーバーを通じて無料で利用可能だが、Vogue Businessの記事によれば、同社の共同創業者であるDaria Shapovalova氏は、サブスクリプションモデルの追加を検討しているとのこと。

また、小売業者が自社のEコマースサイトに“instant dressing” 機能を追加して「ヴァーチャル・トライオン(仮想試着)」ができるように、DressX AIを利用したBtoBサービスの構築も検討中とのこと。


雑感

今月は、やはりMaison MargielaのフィジタルNFT「MetaTABI」のニュースが印象に残りました。

Maison Margielaのように存在感のあるブランドが、シグネチャーとなっているアイテムのフィジタルNFTを販売するのは、Web3やデジタルファッションの未来という観点から大きな一歩と言えるでしょう。

「MetaTABI」には、Maison Margielaが今後リリースするWeb3プロジェクト(プロダクト含む)への優先的なアクセス権が付属しますが、この点は、昨年LOUIS VUITTON(ルイ ヴィトン)が販売した「Via Treasure Trunk」も同じです(但し、「Via Treasure Trunk」はソウルバウンドトークン=譲渡や売買が不可能なトークンで、「MetaTABI」はソウルバウンドトークンではない)。

今後、特にラグジュアリーブランドに関しては、このシステムがスタンダードとなっていく予感がします。

また、テックニュースではありませんが、Hermes(エルメス)のアイコンバッグ「Birkin(バーキン)」の販売システムを巡り、米国で消費者が訴訟を提起しました。

ラグジュアリーブランドがNFTを活用して顧客のロイヤリティに応えていくようになる流れに影響を与える可能性があるという点を考えると、昨年の「Meta Birkin(メタバーキン)」の訴訟と同様に、注目すべき訴訟と言えます。

Red DAOの創設メンバーの一人、Megan Kaspar氏も、「従来の排他性、ロイヤリティ(loyalty)という概念に異議を唱えるもので、オンチェーンでの排他性や特権の未来を考える上で先例となる、画期的な訴訟になるかもしれない。」とXでコメントしていました。

Maison Margielaの「MetaTABI」とHermesの「Birkin」の販売システムを巡る訴訟は、直接の関係はありませんが、両者とも、ブランドが顧客のロイヤリティに応えるシステムの転換期にあることを感じさせる点は興味深いです。

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