前回に引き続き、2022年度のCESからInnovation Awardsを受賞した製品を紹介しようと思います。

CES Innovation Awardsは、優れたデザインやエンジニアリングを有する消費者向けの製品を表彰するコンテストです。家電やAR/VRなど27個のカテゴリーごとに”Honoree”と”Best of Innovation”が選ばれます。
　Honoree：各カテゴリーで最高得点の製品
　Best of Innovation：Best of Best　全てのカテゴリーで最も評価の高い製品

2022年度は、21個のBest of Innovationと各カテゴリーで多くのHonoreeの受賞がありました。今回は、Health&Wellnessのカテゴリーから筆者が気になった製品を2回に分けて紹介しようと思います。

Health&Wellnessの中からは、Best of Innovationが2製品、Honoreeが75製品に賞が授与されました。Best of Innovationには、AbbottのFreeStyle Libre3システム(前回紹介)とGRAPHEALのTestNpassが選ばれました。
今回は、上記のGRAPHEALのTestNpassを含め診断/治療を目的とした製品を3つを紹介します。

○GRAPHEAL TestNpass (Best of Innovation)
フランスに拠点を置くバイオセンサーメーカーGRAPHEAL社は、社名にある通りグラフェンを基盤としたセンサーの開発をしています。このセンサーはスマートフォンやNFTデバイスと接続することでデータを取得することができます。
唾液による新型コロナウイルス感染症の検査は5分間で完結し、個人認証機能も含みます。交通量の多いエリアや空港、スタジアム、コンサート、展示ホールなどの大規模な会場でのスクリーニング検査を想定しています。

○TRIPPPsyAssist (Honorees)
TRIPP社は、VRを活用した没入型のマインドフルネスアプリを提供しています。ユーザーはVRヘッドセットを介して幻覚剤を使用せずにトリップの際に感じる体験の模倣し、日常から離れた経験 (ストレスからの解放) を実現しています。

PhyAssistは、同社が2021年8月に買収した企業で、心理療法士や幻覚剤を用いたサイケデリック療法を受けている患者が使用するモバイルアプリを提供しています。アプリの中で提供されている同療法のプロトコルとTRIPP社のVRアプリを組み合わせることで患者の不安の軽減や研究者の支援につながるサービスとして提供を

○DermTech Luminate (Honorees)
DermTech社は、皮膚がんの一種である黒色腫の早期発見を支援するDNA検査システムを構築する企業です。黒色腫の従来の検査は、ダーモスコープという装置を用いて皮膚病変を観察して検査する方法や皮膚生検が一般的な方法でした。DermTech社は、このプロセスを非侵襲的なステッカーを用いた皮膚サンプル回収とPCR法によるDNA検査によって黒色腫かどうかを定量的に検査することができるシステムを構築しています。
Luminateは、このシステムを応用したもので、黒色腫の診断ではなく、UVによる肌の損傷具合を測定するシステムです。

・参考
GRAPHEAL

TRIPP

DermTech