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Weekly Pick UP! 2022/04/11

先週までの気になるニュースを3つ取り上げます。

1. 心臓の音で個人認証

スペインとイランの研究チームが、心電図(ECG)をオーディオ波形ファイルに変換して音楽的特性を分析することで、個人を特定するバイオメトリクス技術を開発しました。
心電図を用いるため、低コスト、非侵襲であることやケガなどによる生体認証機能への影響が少ないことが特徴です。

年始のCESで発表されたScanboの非侵襲血糖値測定装置など、心電図や心音データの活用が進んでいるように感じます。


2. 医療AI論文の偏り

AIに用いるデータセットが偏っていると、AIはその偏りを学習してしまうため、一般化可能性が下がるリスクがあることがこれまで何度も指摘されてきました。今回、米ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の研究チームは、既存のAI研究の主導者や利用されているデータセットについてのレビュー論文を公開しました。

レビューの結果、これまでの研究に使われている主要なデータの40.8%が米国、13.7%が中国で収集されたのもであることや、ファースト・ラストオーサーの74.1%が男性であったことなどが判明しました。

こうした事実を踏まえると、AIを導入する際には、当該地域のデータを用いた再学習やバリデーションが重要になると思われます。

また、そのためのデータを集めるためにも、途上国におけるセンシング面でのインフラ整備やデータ収集の取り組みを進める必要があるでしょう。


3. 貧困・生活困窮者支援のためのICT活用、グラミン日本とKakeai

グラミン日本は、シングルマザーを中心とした生活困窮者へのマイクロファイナンスやスキルトレーニングなどを通して、起業・就労支援を行ってきました。
この度、活動の一環として行っている対象者に対する伴走支援の際のコミュニケーションの質を向上させるため、1on1ミーティング支援システムを提供するKakeaiと業務提携を行いました。

Kakeaiな機能の一例として、事前に対象者がいくつかの候補から質問したい内容を選ぶというものがあります。
すると、支援者側は面談前にその質問に対して事前に準備することができ、対象者としては、抵抗感のある質問でも選択肢にあれば聞いていいんだと思える、といった双方のメリットが期待されます。

Kakeaiが培ってきた面談の効率化、コミュニケーションのズレを解消するという強みが、グラミンの取り組みに生かされています。

先日、厚労省から「生理の貧困」に関する調査報告もあったように、女性の貧困の問題は深刻です。
こうしたICTの活用が課題の解決に繋がることを期待します。


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