私の事聞いてください　シリーズ

出発：1980年６月30日大韓航空　成田発ハワイ経由ロスアンジェルス行き
登場人物2３歳女性。一人旅。初の海外旅行。
目的：振られた男を忘れる。願わくば当地で職を得る。
総額費用：５０万円。定時制高校当時から貯めていた預金全額。
費用詳細：航空券往復１８万円　当時一番安価だった。
日航やアメリカの航空会社はこの2倍はした。
グレイハウンドバス１ヶ月乗り放題周遊券７万５千円（342ドル）
為替レート：1980年6月１ドル２２６円
トラベラーズチェック1000ドル　約２３万円
残金：お世話になるかもしれない人々への小さな手土産な

「前noteからの続き」

日本の知人の紹介で滞在先に決めていたサンディエゴのお宅。
一度も面識がなかった私を家族一丸となって歓迎してくれた。
ディズニーランド、ビーチでの独立記念日ピクニック、楽しかった。
極め付けは、バスサイズのキャンピンカーでグランドキャニオンへ一泊旅行。
「夢の国」アメリカ観光、時間はあっという間に過ぎていく。
このお宅には、トータル1週間滞在。

独立記念日の翌日、私は再びグレイハウンドバスに。
サンディエゴからサンフランシスコへ向かった。
注：１ヶ月の周遊券はまだ使っていない。
理由：使用可能期間が１ヶ月限定。使い始めたらできる限り
バスを使わないと、元が取れないから。

今回のバス旅は約１３時間。
乗り換えなしの直行便。
といっても、数ヶ所のバスターミナルに停車する。
宿泊代節約のため、夜遅いバスにのった。
夜間、女ひとり。席は右列のドライバーの真後ろでなく、
左列の一番前の席についた。
ドライバーの視界に入りやすいから。

カリフォルニア州を縦断するルート５。
ロスを出てサンフランシスコ近郊までの車窓は、畑や山林などの自然ばかり。
退屈な景色がつづく。夜となれば特に見るものはない。

眠るだけ。または寝たふりをする。
話好きの人が隣に座ったらたまったものではないから。
一度でも目が合うと、どこから来た、何しに。どこへ行く。
彼ら彼女らの家族について聞かされる。話は止まらない。

経由地ロスを出てから、バスは数ヶ所ストップして、
終点サンフランシスコに到着した。朝９時ごろだったと記憶する。
まず最初に今夜の宿泊先を「確認」しなければならない。

宿泊先。頼りになったのが、1979年創刊したばかりの「地球の歩き方」。
低価格の宿泊先が提案されている。サンフランシスコで私が滞在する予定にしたのが、メリーエリザベスイン。女性専用の低額ホテル。複数でのシェアルームもあれば個室もある。長期滞在者も多い。

サンディエゴ出発前、当インに電話で宿泊可能を問い合わせた。
私がサンフランシスコに着く日からの３日間空室はなかった。
第二希望だった宿泊先の予約は取れていた。

サンフランシスコ到着後、キャンセルが出ているかもしれないと、考え、私はメリーエリザベスインへ向かった。パウエル通りをケーブルカーにはのらず、その急坂をリック背負って歩いて登った。古い建物。っていうか、周囲もみんな古い。古都とまでは言えないが、趣がある街並み。7月上旬、朝のサンフランシスコは、カルフォルニア州なのに、気温は低い。でも坂登りと緊張で汗をかいた。
右手の甲から出血していたことにも気づかないほど、緊張していた。

ブッシュ通りを左折して４ブロック目。メリーエリザベスインのエントランスを見つけた。外装は至ってノーマル。内装はクラシック。ロービーにはベービーグランドピアノがあり、アンチック風のソファーやデスクなどのインテリアでコージーな雰囲気を放っていた。

レセプションデスクがあったかどうか記憶が定かでない。
「昨日電話して3日後から１週間滞在の予約を入れました。その後キャンセルがありましたか？」といっても、私の場合、３泊分のキャンセルが必要なのだ。
「今のところはありません。でも今日これからキャンセルが出るかもしれませんが」今日1日（１泊）だけのキャンセルはあるかもしれないが、運よく３泊分のキャンセルが出るかなんて。ま、ありえないだろう。私は諦め、すでに予約しておいた第２希望の宿泊先へとギアをチェンジした。

低額料金のその宿泊先はサンフランシスコ市内ではない。
今来た道をもどり、パウエル駅からバートに乗る。
行き先はDowntown Berkeley Station。

アメリカ一人旅の最初の宿。

カルフォルニア大学バークレー校。
キャンパス内の学生寮。

（続く）

• #私の旅行記　#傷心旅行　#国境で逮捕　#為替１ドル２２６円　

• #グレイハウンドバス #サンフランシスコ #UC Berkeley #Mery Elizabeth Inn