冷たい熱帯魚
1993年、埼玉県で起きた事件をもとに作られた、園子温の作品。
どんな話か
■あらすじ【ネタバレ注意】
【起】熱帯魚を売る社本は、万引した娘を助けてくれた同業者・村田とつながりができる。
【承】村田のビジネスパートナーとして商談に同席していると、殺しの現場に遭遇し、犯罪の片棒を担がされる。
【転】山奥で「ボディーを透明」にするうち、村田と殴り合った社本はおかしくなる。
【結】そして、みんないなくなった。
みどころ
みどころは、みんな狂っていることである。
【社本】熱帯魚店店主
殺しと隠蔽を行うことに生理的にも抵抗があったが、村田と殴り合ううちにタガが外れて、豹変・暴走を始める。
作中で数少ない、はじめからまともな人間だが、村田が社本に眠る狂暴さを呼び起こさせる。
【村田】熱帯魚店経営者
詐欺的な手法で金をせしめ、周りの人間のボディを透明にしていく。
曰く、殺しは慣れ。狂気的な手法で証拠隠滅を図る。
話術と暴力で周りの人間を支配していく。
【愛子】村田の妻
村田の共犯者で、証拠隠滅にも手慣れた腕前を持つ。
気性の荒い性格で、殺しと性交に同様の快感を得ている。
終盤に向けて、その両方が交錯する。
【美津子】社本の娘
万引きがもとで、村田のショップで働く。
肉食魚が小魚を食べる様子に不気味な笑みを浮かべる。
社本の暴走によって生じた惨状に狂い笑う。
所懐
またとんでもない映画を見てしまった。
本作の存在を知ったのは、高校時代の現代社会の授業である。
実話をもとにした映画で人権?が裁判で云々カンヌンという内容で紹介されていた。
人間的な弱さにつけこまれて、気づいたときには引き戻せなくなるという、
ともすればわたしたちの生活の中でも、程度の違いこそあれ、存在する心理
状況だと感じた。
これが実話だったら怖すぎる。
埼玉ではこんなことが起きていたのか・・・
普段は絶対にホラー映画は見ないのだが、これも分類によってはホラー映画になってしまうのだろう。
おばけも幽霊も出てこないが、登場人物の狂気と行為がとんでもないホラーなのである。
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