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「色が正しく見えるようになるメガネとかよくあるけど、あれ全部詐欺だからひっかからないようにね」

YouTubeなどでたまに「【感動動画】色覚異常の人が色覚補正メガネで本物の色を見た瞬間」という動画を見かけることがあります。

すべての製品を見たことはないですが、自分から見ると「やってんなぁ」と感じてしまいます。

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タイトルの言葉は、自分が10代のときに眼科の医者から言われたことです。

当時自分は、美術大学の進学を検討していました。色覚異常であることは知っていましたが、改めて自分の色覚の特性はどんなものなのか、詳しく知る必要があると考えていました。

そこで、眼科に行って色覚の検査を受けることにしました。眼科では、いくつかの試験を受けさせてもらえました。その結果、自分は2型の色覚異常(緑が弱い)で、中〜強度であることがわかりました。

またその場で、ざっくりと色覚異常のメカニズムをその場で教えてもらえました。おおよそ以下の通りです。

・色覚は、色の三原色(赤/青/緑)をそれぞれ3つの錐体(センサー)で受け取って認識していること

・色覚異常とは、遺伝的にこのうちのどれかのセンサーの働きが健常者に比べて弱い状態であること

・遺伝であるため、センサーになんらかの「不具合(病気)」があって働きが弱いわけではなく、「最初からそういうもの」として細胞が作られている。だから、そもそも「回復する」という概念があるようなものではないということ

この説明をされた後に言われたのがタイトルの言葉です。

「色が正しく見えるようになるメガネとかよくあるけど、あれ全部詐欺だからひっかからないようにね」

つまり、この手のメガネは20年以上前からあったということです。それでも普及していません。

そもそも検知するセンサーが健常者が感知できる色の領域をカバーしていないのだから、フィルタを通したところで検知できるようになるわけがないのです。10桁までしか計算できない電卓で100桁計算できるようになった!と言っているようなものです。

では、全く何の効果もないのか?色の見え方は変わっていないのか?というとそんなこともないと思います。

仕組みとしてはおそらく、色のついたフィルタのようなものだと思います。受験勉強で使う英単語帳についてきたアレをイメージしてください。

例えば赤いフィルタを通して見ると、補色である緑色は黒くつぶされます。逆に緑のフィルタだと赤色が黒くつぶれます。それを利用して色覚特性に合わせて調整しているものだと思われます。色の識別に困ったときには確かに使えるアイテムです。

ちなみに自分は、美術大学受験時代、赤と緑のセロハンを絵の具ケースに入れていたこともあります。絵の具や他の人の絵を見るときには補助になってくれました。

しかし色覚補正メガネは決して健常者が見ているのと同じ世界が見えているわけではありません。そもそも、あんなに色の暗いレンズをつかってたら健常者であっても正しい色を見ることはできないでしょう。

そして、やたらと高ぇ。

冒頭にも書きましたが、全ての製品を見たわけではないのでどれも意味がないとは言えません。しかし、レンズでいくら光を調整しても、それを受け取るセンサー側の問題に対して何も解決になっていないことはなんとなくわかってもらえたのではないでしょうか?

補助にはなると思いますが、それに数万円払う価値があるかというと自分は疑問に思います。

もし色覚異常の人で色覚補正メガネを持っている方がいらしたら、どのように活用していらっしゃるかなどのご意見をいただけますと幸いです。


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