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山本由伸投法について

 投球フォームは時代によって変わるものだ。その中でもここ数年、トラックマンに代表される分析機械の導入によりある程度のメゾットは確立されてきたのだ。今回は、その中でも多くの投手が取り入れている山本由伸投法について考えることとする。

アーム投げ?

 山本の投球フォームで大きな特徴となっているのは右腕をのばしたテークバックだ。これは今をときめく佐々木朗希や戸郷翔征も実践していることであり、この投法のメリットは背筋の力が球に伝わりやすいということである。

 ただ、彼らは球界では「ご法度」とされるアーム投げではない。リリースの際には肘がしなるので、フォームの見た目だけでそれを判断してはならないのだ。ただ、見よう見まねで山本投法を実践するとこの部分が厳かになってしまい、世にいうアーム投げのようなギクシャクとしたフォームになりかねないというわけだ。従って、山本投法を実践するには肘と手首の柔軟性が必要である。

すり足投法も流行の予感

 今季、山本はノーワインドアップモーションを改造した。昨季は制球やリズムを安定させるための「タメ」を作るという意味合いで振りかぶっていたように見えたが、今季はまさに勢いをつけるという目的でのノーワインドアップモーションである。個人的にはこの投げ方は好みである。中日でヘッドコーチを務めた朝倉健太氏がまさにこの投げ方であり、少し懐かしさを感じられるものでもあった。

 ただ、古今東西の全てのフォームにメリットとデメリットがある。この新・山本投法は前者として打者のタイミングが取りづらいということが、また後者としてはタメを作る所作がないので投球のリズムが狂ってしまうことが上げられるだろう。しかしながら、山本はNPBの中で横綱のような投手である。投球のリズムを掴むという点に関しては朝飯前といった感じなのではないか。いずれにせよ、この投げ方は入れ替わりの激しい世界で生き残るための策なのだろう。

 山本がこのフォームで今季も変わらぬ活躍を収めると、他の選手も後を追うようにしてフォームを模倣するだろう。ただ、これは彼に適したフォームと言うだけであり、万人に通ずるものでは無いのでこれによってリズムが崩れてしまわないかが心配である。現に、中日の髙橋宏斗がそうであったが、立浪和義監督の助言の元でフォームを元に戻している。

最後に

 オリックスの大先輩であるイチロー氏は、どれだけ結果を残してもそのシーズン、その試合で最も自分が持っているものを出力できるフォームを追求した結果、4000安打という金字塔を成し遂げたのだ。山本にはぜひ「投手版イチロー」になり球史に燦然と輝いて欲しいものだ。

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