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【FL】新潟BC、ハヤテ223が新規参入

 昨季の今頃に、まさに「疾風のごとく」現れた静岡新球団構想がいよいよ現実となり、来季よりNPB二軍に新潟アルビレックスBCと共に参入することとなった。個人的にかねてより、NPBの拡大を期待していただけあってこの1報は喜ばしいものである。今回は、そんな新球団について書いていくこととしよう。

新潟BC

Jリーグのノウハウを…

 「アルビレックス新潟」の屋号が着くチームは、プロアマ、競技を問わず沢山あることが分かる。これはJリーグが100年構想として提唱している「スポーツ文化の確率」の活動の一環であり、今回その1つの野球チームが晴れてNPB入りを果たしたというわけだ。今回新潟BCが内定を貰ったのも、Jリーグ、それも一部リーグの荒波に揉まれたことによってスポーツチームの運営ノウハウが確立されていることが一因となったのではないか。

 個人的に新潟BCに確立して欲しいと考えているのが「地域密着」の意識だ。広島は球団自体が親会社を持たない市民球団ということなので少し例外として、他の11球団は地域密着のノウハウが未熟だ。近年になってパ・リーグがその方針を打ち出しているところも多いが、やはり赤字を親会社が補填してきたという歴史があるので今まではその必要がなかったのだ。しかしながら、Jリーグはリーグのシステム上、少しの赤字が命取りなのだ。従って、同リーグでチームを運営していく中で地域密着は生命維持措置とも言えるだろう。そんな荒波にもまれてきた球団だからこそできることを、新潟BCには発揮して欲しいものだ。

個人的に気になった「運命」

 今回、新潟BCが新たにNPBへ参入すると聞いて、同チームの歴史を調べることとした。実はこのチーム、Jリーグの誕生以前である昭和30年に設立された老舗チームだとのこと。黎明期の歴史を紐解いてみると、まさに今回の参入は「なるべくしてなった」としか思えないのだ。

 このチームは、あの新潟明訓高校のOBが中心となって創立したとの事。コアな野球ファンの皆様にはピンと来ただろうが、野球漫画の巨匠・故水島新司先生の大ヒット作である「ドカベン」の舞台となった明訓高校のモデルとなった高校なのだ。実はこのドカベンは最終編にあたる「スーパースターズ編」と「ドリームペナント編」で、「NPB振興策」として新たに4球団を新設するという架空のストーリーが繰り広げられている。ちなみに、この作品でも新潟に1つ球団を作ることとなっている。従って、水島作品が現実のものになりつつあるのだ。もし彼が生きていたら、漫画家生活引退を軽々と撤回して新潟BCを舞台にした漫画を書いていただろう。

ハヤテ223

サッカー王国に新風を

 静岡といえばサッカーの盛んな地域だ。ジュビロ磐田や清水エスパルスといったJリーグの人気チームがひしめいており、高校サッカーも強豪校の多い地域である。しかしながら、野球はあまり人気ではない。浜松のほうでは中日ファンが多いのだが、東部の静岡市のほうでは楽天やヤクルトが地方巡業をしているものの一向に野球熱は上がらなかった地域だ。やはり、ジュビロやエスパルスのような「おらが村のチーム」がなければ、野球熱は一向に上がらないのではないか。

 そういった意味では、今回のハヤテ223は素晴らしい試みといえるだろう。野球のレベル自体は全く関係ない。静岡にプロフェッショナルの球団ができたという事自体に意味があるのだ。既にGMに山下大輔氏、監督に赤堀元之氏が内定している。この2人は共に静岡県人。特に山下GMといえば、静岡を舞台にしたアニメ「ちびまる子ちゃん」のハマジというキャラクターがファンをしていることでも有名である。役者は揃った。後はサッカー王国に野球熱を少しでも加えることこそがこの球団の役目だろう。

本当の意味での育成選手

 ハヤテ223がNPB参入を決めた報道の続報で、既存の12球団から育成選手を5人ほど派遣するとの事だ。近年、個人的に育成選手制度の在り方について疑問に思っていただけあって、今回のこの方針には全面的に支持する。

 ここ数年、1部の金銭的に余裕のある球団が三軍という制度を始めた。この試みもまた素晴らしいとは思うが、やはり金銭的に不利な球団との格差が広まってしまう制度なだけに少し不公平さを覚えることが多々あった。育成ドラフトでも、三軍を持つ球団が何人も「乱獲」ともとれる指名をしたり、飼い殺しのように3年間三軍につけるということも多々あるのだ。一方で三軍を持たない球団は育成ドラフトを放棄することや、限られた二軍の試合で育成選手を出せずにいる歯がゆい場面も見られる。このままではNPB人気もそう長くは持たず、それと同時に人材が集まらなくなってしまうのではないかと思っていた。今回のハヤテ223はMLBでいうルーキーリーグのマイナー球団のように、各球団から預かった育成選手を育てる球団として機能して欲しいものだ。

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