キャンプで新加入の涌井秀章を質問攻めにすると宣言している髙橋宏斗はオリックスの山本由伸と自主トレを敢行したようだ。既に新式の投球フォームがSNSで見ることが出来たので、そこを観察していくこととしよう。

ノーワインドアップモーション

　これはいい決断であると思う。中日の日本人投手は、ほぼ全ての選手がセットポジションから投げているが、髙橋宏のような投手にはこの投法がマッチするだろう。

　ノーワインドアップモーションの利点は、投げる前に捕手と正対することができるので、投げるポイントをじっくりと見ることが出来る為に制球が安定するということだ。昨季、彼は壊滅的ではなかったものの、たった1球の失投が敗戦に繋がるというケースが多く見られたのでそれを改善する為にもこれはプラスになるのではないかと感じる。また、昨季は単調になりがちであった投球リズムもゆったりとした動きを取り入れることで自分のリズムを保つことができるようになるだろう。

　ただ、その分走者を背負ってセットポジションからのクイック投法になっても無走者時と同じように投げられるかが課題となるのだが、高校時代にワインドアップモーションで投げていた頃の映像を見るとそういった課題は見当たらないので、ここは安心できると言えるだろう。

元々の良さは残したまま負担を軽減

　今回、ワインドアップモーションの所作とテークバックが自主トレをした山本そっくりになったことで話題を呼んでいるが、髙橋宏の良さはそのまま残している点が好印象だ。

　その良さとは、投げ終わるまで捕手のミットから目線がそれないということだ。従って、極端に首が動かないのでフォームから崩れていく心配がほぼないのだ。これは彼の大きな強みだ。また、中日の投手には少ないので、こうした選手が増えていくことを願っている。

　また、今回のフォーム変更によって、懸念されていた肘の負担はかなり軽減されたのではないか。昨季は1拍腕が遅れてくるようなフォームだったために、打者がタイミングを外されたような空振りをする場面が多々見られたものの、その強みはまさに諸刃の剣であり、トップを作る動作が遅れてしまうために肩肘を酷使してしまうことに直結する。そういった事を踏まえてかは分からないが、今回のフォーム変更ではその部分が改善されているように見える。踏み出す左足がマウンドに着地する時には既にトップの体勢に入っているので、｢これなら大丈夫｣というフォームが完成したと言えるだろう。

最後に

　素晴らしい金の卵なので、大事に育てて欲しいとはいえど、今季で3年目。そろそろ真価を見たいものだ。