見出し画像

【Bs-T】宮城大弥、大人の投球

 つい先日行われたドラフト会議で指名された、常廣羽也斗や武内夏暉と同い年とは思えない。プロ入り4年目、弱冠22歳の左腕エースが昨日火を吹いた阪神打線を手玉に取り、6回を無失点に封じた。今回は、そんな素晴らしい職人の投球について書いていくこととしよう。

「歩いてまえ打線」封じた秘訣は

 よくオリックスの重量打線のことを、大阪弁に準えて「いてまえ打線」と形容することが多いが、阪神は「歩いてまえ打線」と言っていいのではないか。四死球で「貰った」走者を犠打や盗塁、右打ちの進塁打で何とか本塁に還すという野球を徹底しているのだ。ただ、宮城はこの特徴をきちんと押えて封じ込めたと言えるのではないか。

 そんな快投の秘訣とは、「四死球を出さないこと」だ。多少安打を浴びても、必ず勝負球はストライク・ゾーンへと持っていくのだ。当たり前のことだが、ボール球を投げなければ四死球になることは無い。ただ、それを実行できる先発投手がNPBに何人いるかと考えると、指を折って数える程しかいないだろう。宮城はその1人であると、日本シリーズの大舞台で証明して見せたのだ。

「アウェーに強い」データで証明

 ハッキリと言って、オリックスの持ち試合だったにも関わらず京セラドームは阪神ファンで満員となっていた。テレビで確認しただけなので確証はないが、オリックス側であるはずの一塁側でも阪神ファンと半々であり、完全にオリックスのファンで埋められていたところは右翼側外野応援席飲みだったのではないか。ただ、この試合の宮城はそんな大勢の阪神ファンに「六甲おろし」を1度も歌わせなかったのだ。

 ただ、宮城がアウェーの環境に強いというのはデータを見ると明らかだ。ホーム試合の防御率が3.47、勝利数は僅かに2勝にもかかわらずビジター試合の防御率は圧巻の1.83、勝ち星は今季通算の8割を占める8勝と明らかな差があるのだ。さらにデータを深堀すると、完全アウェーの環境に置かれる千葉マリンスタジアムでの防御率は1.53、ペイペイドームではなんと0.39である。この結果を見ていると、阪神ファンを黙らせる投球はなんら驚くことではなかったのだ。それにしても、周りの環境に促されず自分がやるべき仕事を淡々と熟す。男として最高に惚れる選手である。

この記事が参加している募集

スキしてみて

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?