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【Bs-T】最後の奉公くらいいいじゃない

 日本シリーズは第6戦。もう後のないオリックスは来季からMLBへと羽ばたくことが濃厚となっている山本由伸を立てて必勝を期した。ここはやはりエース。山本は138球の熱投で完投勝利を収めたのだが、やはりここでもありもしない現代野球に取り憑かれた方々が球数について文句を言っていたので、今回はその事について書いていこう。

これで評価が下がるなら…

 米メディアのSNSで、山本が138球を投げたと報じる投稿のコメント欄を見ると、「Come on トミージョン」や「彼がメジャーに到達するまでに彼の腕が死んでいることを確信した」などの辛辣なコメントが多く寄せられていた。中には「勇敢だ」という賞賛もあったが、批判との比率は7:3と言ったところだろうか。

 結論から言うと、球数がたった1度嵩んだだけで評価を変えるような球団とは契約をしないというのが最善である。NPBにはNPBの、MLBにはMLBのやり方があるのだ。MLBのように中4日ほどで130球を超えるような球数を課すのは当然批判の対象と捉えられても不思議ではない。しかしながら、NPBはそれよりも2日多い中6日なのだ。当然、ローテーション投手も2人多いこととなり、その分救援投手に充てられる枠は2人少なくなるのだ。従って、この状況下で100球で降板していたら救援投手の負担がかなり大きくなる。現にペナントレースの真っ只中でも、開幕戦で中日の小笠原慎之介が145球を投じたり、戸郷翔征が延長戦を投げ抜いたりとMLBであれば大荒れの起用法が多々あった。その上、山本はおそらくこれが今季の投げ収め。当然、次の登板に響くということもないので、この起用法は至極真っ当なことである。

投げ抜くのもまた技術

 この山本のように、長い回を投げられる投手が本当に減ってしまった。今季の最多投球回数がセ・リーグでは九里亜蓮の174.2、パ・リーグでは上沢直之の170と非常に少ないことからも、先発で長い回を投げられる投手がいないことがわかるだろう。少し前までは、200に到達する選手も珍しくなかったのにと考えてしまう方は僕だけではないだろう。これには色々な要因が推測できるが、皆が異口同音に言うことは球速の上昇だ。150キロを常時記録するような投手が出てきた今、完投を期待するのは難しいという人もいる。しかしながら、これは間違いなのではないか。

 やはり、山本のようにきちんと下半身を使って投げている投手は長い回を投げられるものである。前述の九里、上沢にも言えることだが、綺麗な投球フォームの投手は多く球数を投げられる印象を持つ。下半身は自動車で言うとタイヤのようなもの。強靭であればあるほどに、長く走行できるということだ。「時代」という言葉に呑まれずに、いつかまた沢村賞の項目を全てクリアするような投手が現れて欲しいものである。

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