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【G】これからのチーム、これからの指揮官

 世の中というものは、慣れ親しんだ言葉が急に変わるとかなり順応に時間がかかるものである。栄と久屋の間にある中部電力 MIRAI TOWERなる塔は、いつまで経ってもテレビ塔だし、バンテリンドームはいつまで経ってもナゴヤドーム。未だにイオンのことをジャスコと読んでしまうことも多く、先日名称が変更されることとなったジャニーズも新名称は皆が受け付けないだろう。球界でも来季から、16年もの歴史を誇った「原巨人」が「阿部巨人」となる。今回は、そんな大役を担った阿部慎之助監督への期待を書いていくこととしよう。

「巨人軍の野球」継承して

 巨人は来季90周年。NPBの歴史は巨人の歴史と言っても過言ではなく、常に負けることが許されないチームである。そんなチームを、44歳の青年監督が任されたのだ。

 「巨人軍の野球」と言えば、王道の横綱野球。エース、4番を立ててそのまわりを伏兵で埋めていくのが伝統だろうか。現在、その大黒柱となる選手は戸郷翔征と岡本和真がいる。しかしながら、脇役の伏兵が発展途上なのだ。今季途中から坂本勇人に代わる遊撃のレギュラーとして台頭した門脇誠、中日の髙橋宏斗とはライバル関係にあたる中山礼都らがいるが、皆発展途上と言った感じである。さらにその中山と同い年のスターの片鱗を見せている秋広優斗が将来の主砲候補に控えている。投手陣も楽しみな若手が多く、先発では山崎伊織、救援では菊池大稀、田中千晴と活きのいい若手投手たちがひしめいている。この選手たちを1人前になった時、巨人が再び盟主となるだろう。

「名選手、名将にあらず」予防策?

 古今東西色々なスポーツで、現役時代に抜群の成績を残した選手がいざ監督となるとうんともすんとも言わないということが多々ある。現在で言うと、日ハムの新庄剛志監督や、中日の立浪和義監督が苦しんでいるのだが、阿部監督がそれに陥る可能性は低いだろう。

 理由は、二軍監督やヘッドコーチとして、「将来の監督」としてのシュミレーションをされてきたからである。この手法で、オリックスの中嶋聡監督やヤクルトの高津臣吾監督が一軍監督へと「育成」されたことは記憶に新しい。これには、巨人のある失敗が背景にあるだろう。

 平成27年、10年ほど続いた第2次原政権が終焉を迎えると、「若いから」という理由だけで当時現役選手だった高橋由伸氏を監督に据えた。当時は「抜擢」と持て囃されたが、ビジョンのない破茶滅茶な登用と取られても仕方がないだろう。せめて解説者で勉強する時間や、コーチとして「その時」への準備をすべきだったはずだ。このような失敗を繰り返さないために、今回の阿部監督を準備万全の状態で登用したのだろう。納得の人事である。是非来季は大いにセ・リーグを闊歩して、久しぶりに憎き巨人を見せて頂きたいところだ。

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