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透析における穿刺の注意点 その2

※この記事は旧ブログの記事を編集したものです。

前回「初心者必見!透析における穿刺手順・注意点」では穿刺の手順と注意点について述べました。

今回はその続き、穿刺の注意点の補足となります。


QBに合った穿刺針のサイズを選択する

各社血液透析用穿刺針を用いた田中らの検討 1) によると”留置針の種類による実血流量の差はなく、17G針は設定血流量200ml/min、16G針は250ml/min以上で、実血流量の低下がみられた”とされています。

例えば17GでQB300とかはQB(設定流量)と実血流量(実際にポンプで回せている量)の乖離が起きてしまうので、QBに応じて穿刺針のサイズを選択する必要があります。

また、QBを上げた・下げた場合は実血流量測定器などで測定することが望ましいです。

あと、穿刺針を15Gで刺さなければならない人を誤って16Gで刺してしましい、設定したQBに上げられないと行った「穿刺針の取り間違い」がけっこう起こりうるので、穿刺する前に穿刺針のゲージ(太さ)をしっかり確認することが重要です。


再循環を予防する穿刺部位を選択する

透析関連の書籍を読むとたびたび目にするのが「AとVとの距離は5cm以上離す」です。

A-Vが並びであったら該当しないですし、Aが順刺し・逆刺しでも変わるので5cmは覚えなくても良いと思いますが、これは要は再循環を起こしにくいような位置に穿刺をするべきと言いたいのだと思います。

再循環とは、簡単に言うと「透析によってきれいになった血液が再び脱血されて、透析効率の低下や血液の過濃縮を引き起こしてしまう状態」です。

A-V間が近くても血管径が太く、血液流量が十分にある場合や、AとVが別の血管に刺す場合など、再循環起しづらい場合があるのも覚えておきましょう。

再循環起こしにくい穿刺方法・部位はざっと以下の通りです。
・同じに分岐の血管にAV穿刺部がある場合できるだけ離す
・分岐が違う血管にAVそれぞれ刺す
・Aを末梢に向けて刺す(逆刺し)

穿刺部は脱血可能な位置で吻合部から離す

吻合部から離す理由は

①止血不良を防ぐ

②穿刺ミスした際の漏れ・腫れを最小限にする

です。


穿刺部をずらす

※ボタンホール穿刺を行っている場合は該当しません。

穿刺はなるべく日によって違う部位に刺したいのが本音ですが、どうしても刺しやすい、痛みが少ない、患者さんの希望等という理由で穿刺部位が同じ部位になってしまいます。

シャント狭窄の原因の理由の一つに頻回穿刺があるためできるならば、穿刺部位を複数見つけて、日ごとに交互に刺すことをオススメします。


まとめ

☆QBに合った穿刺針のサイズを選択する
 ※目安
  QB100~200→17G
  QB200~250→16G
  QB300~→14・15G
☆再循環を起こしにくいような位置に穿刺をする
☆穿刺部は脱血可能な位置で吻合部から離す
☆穿刺部をずらす


以上です。

穿刺記事は他にもあります。よかったら是非。


[参考文献]
1) 田中かおり,他.実血流測定による透析用留置針の選択.日本血液浄化技術学会会誌18(3):94-96.2011

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