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透析シャント穿刺における失敗しないための5つのポイント



※この記事は2018年に投稿した旧ブログの記事を編集したものです.


シャント穿刺は透析を開始するために必要不可欠なもので、できるだけ失敗したくないものです.

「透析シャント穿刺における失敗しないための5つのポイント」を紹介したいと思います

※1 この記事はエビデンスに基づくものでもなければ、万人に通用するものでもありません.あくまで経験上の知見なので参考程度にお願いします.
※2今回は駆血が必要で、血管が比較的動きやすいAVF(自己血管内シャント)の穿刺についての記事です.


Point1:駆血

個人的に駆血は穿刺において最も重要です.

駆血は「血管を十分に張り出し穿刺しやすくする」効果があります.

血管が張ることによって、穿刺針で血管が潰れるのも防げるので、勢い余って後壁まで穿刺針が到達する(俗に言う「血管貫いた」)のを予防効果もあります.

よく「駆血はきつければきついほど、血管が張る」と、勘違いしてしまいがちですが、血管ごとに血管が張り出す強さは違います.

駆血で大事なことは血管に適した強さで駆血するということです.

強過ぎる駆血はシャント血管に吻合している動脈自体の血流も遮断してしまうというのが考えられます.

これは穿刺の数をこなすうちに、分かってくると思います.

個人的に腕が太い人は強めに駆血しないと血管が出なくて,腕が細い人は比較的緩くても血管が張る感じがします.

あと,高齢者の方は脂肪・筋組織が少なく駆血は緩めの方が血管の張りが出やすい印象です.


Point2:穿刺部位の固定

ここでいう穿刺部位の固定は,針を持っていない方の指で固定することです.

僕の場合,人差し指を血管に沿うように固定し,親指で皮膚にテンションをかけます.

よく動く血管(高齢の方や上腕の血管など)は血管が動かないようにしっかり固定するのが重要です.

「血管が逃げた」ではなく,「血管を逃した」です.


Point3:穿刺部の皮膚にテンション(張り)をかける

ここでいうテンションをかけるというのは,針の進む向きと逆方向に皮膚を引っ張ることをいいます.

テンションをかけることで、針を刺すときに,針で穿刺部位の皮膚をへこませないようにする効果が期待できます.

またこれは駆血同様,穿刺針で血管の後壁を貫くことの予防にもなります.

Point4:針の角度を血管によって変える

透析のあらゆるテキストでは,AVFの穿刺角度20~30度、AVGの穿刺角度30~45度など書かれています.

穿刺角度を決めるためのポイントは以下の通りです.

①血管の深さ
浅い→角度浅め
狭い→角度浅め

ただし,十分血管径がある場合は血管を貫通する危険性が少ないので,角度はどちらでもいいと思います.

皮膚・皮下組織の肥厚や体格がよく筋肉がある人では血管の深さ+でその厚みもあるので血管が深いという特徴があります.

逆に女性や高齢者で筋肉が少ない人は血管がはっきり見える場合もあるので,そのへんも考慮する必要があります.

②血管の厚さ
厚い→角度深め
薄い→角度浅め

ここで是非おさえておきたいことはシャント血管の本体は「皮静脈」であることです.

皮静脈は皮膚に近い静脈であり,個人的に基本は穿刺角度浅めがオススメです.

穿刺するときは上から腕を見下ろし、穿刺針も見下ろす形になるので,意外と角度が深くついている場合が多いです.

自分の穿刺角度が気になる場合は誰かに写真や動画を撮ってもらうのも良いかもしれません.

Point5:穿刺針を軽く持つ

意外と大事なので、最後に載せておきます.

穿刺針を軽く持つことで、針が血管を貫いた感覚を感じやすくなります.

逆に穿刺針を強く持つとこの感覚がほとんど分からなくなってしまいます.

血管を貫いた感覚がまだ分からないという方は是非、穿刺針を軽く持ってみて試してください.

※穿刺針を軽く持ち過ぎてうっかり落としたことがあるので,そのへんは注意が必要です.

まとめ

シャント穿刺を失敗しないための5つのポイント
Point1:血管に適した強さで駆血をする
Point2:穿刺部位の固定
Point3:穿刺部の皮膚にテンション(張り)をかける
Point4:針の角度を血管によって変える
Point5:穿刺針を軽く持つ


いかがでしたか?

僕も穿刺技術はまだまだですが、試しにやってみてください。


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