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徳島事情、田舎の小店は新たなステージへ

シャッター通りが寂しい。
私の地元にある商店街も活気を失った。
彼らは何処へ行ったのか?
一部の店は本当に閉じてしまったが、食品関係の店は産直市に出品することで利益を得ているようだ。スーパーで買うより野菜は新鮮で価格は安い。加えて、生産者の本名と産地の明記が消費者に安心感を持たせている。昨年に限り、異常気象の影響で産直市も高騰したが、スーパーよりは……といった具合い。

産直市についてだが、

農家の場合、JAと掛け持ちをしていたり、販路拡大のため、日曜市にも出店する人が居る。
JAよりも産直市に出品したほうが断然儲かると話す人も居れば、東京や大阪の店に卸している農家は産直市に出品しないという。
このように、農家はどうやって売るのか選択はしやすいが、個人でパン屋、魚屋、飲食店などを経営している人は地元の保育園、または小中学校に卸すなど、売る『ステージ』が限られてしまう。産直市は見事に彼らの受け皿となったような気がする。

此処でしか売っていないお漬物を求めて、大阪から徳島の田舎にわざわざ足を運ぶ人が居ると知った時は、やりようによっては県外に住む人を対象に商売を推し進めることは可能だと感じた。

日曜市で販売しているなめらかな柚子味噌や、お茶漬けにしても美味しいちりめんの佃煮は、県外に住む祖母や、祖母の友人たちからも大好評で、年に何回か送っている。

しかし、産直市や日曜市に出品すれば、何でも売れるわけではない。
特に、パンは差があるのではないだろうか。

産直市でパンは売れるのか?
私は半々だと思っている。
地元の場合、商店街でじっと待機するよりは売れているようだ。
よく行く産直市の場合、近くでイベントを催した時は売り切れ状態になるが、そうでない平日は閉店一時間前でもまぁまぁ残っている。回収後は値引きして自分の店に並べたり、親しい人にあげることも。
同じ価格ならフジパン、ヤマザキといった大手メーカーのほうが美味しいと感じる人も居るだろう。
工場生産でない物は仕上がりが不安定で、よく言えば、その日によって醗酵の違いと味の変化を楽しめる。

ただ悲しいことに、がらっと味や食感が変わってしまう出品者が居た。
利益の追求、原材料の高騰で価格を上げ、以前使わなかった甘味料やマーガリンを使用することで、大手メーカーと食感が同じになってしまったのだ。これが原因で、私は大好きだった商品のリピートをやめた。

産直市の加工品に何を求めているかは人によりけりだ。無添加、企業が作れない味、親しみ感のある素朴さ、生産者が見える安心感……。スーパーが並べるいつもの味に飽きて産直のお弁当を買う人も居る。

産直市は売り上げが落ちた小店の新たなステージとしてはとても良いと思うが、出品者の登録費用、売り上げの一部(2割~3割)を収めさせるのは可哀相じゃないだろうか。

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