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【Sergei Prokofiev, 1891-1953🇺🇦ウクライナの芸術家シリーズ11】

作曲家,ピアニスト,指揮者として活躍したプロコフィエフ(1891-1953)もロシア帝国(現ウクライナ,ドネツク)出身。サンクト・ペテルブルク音楽院でリャードフに和声法と対位法を,リムスキー・コルサコフに管弦楽法を学んでいる。

大御所の紹介はwikipediaの日本語ページだけでも充実した内容になっているのでそちらに任せるが,日本に始めてきた西洋の大作曲家でもある。1918年にアメリカ亡命を決心したとき,ヨーロッパは世界大戦中の真っ只中だったので,アメリカに向かう中継地として仕方なく日本に滞在することになったとのこと。以下に,その当時,留学経験もあった音楽評論家の大田黒元雄にプロコフィエフが出会ったときの解説があって面白いので,プロコフィエフが好きな方は是非読んでください。

プロコフィエフの曲には,大好きな曲が沢山あるのだが,あえて紹介したいのが「ピーターと狼」。「子供向けの曲だぞ,バカにするな」と思う人もいるかもしれないが,いろいろな動物や情景,登場人物の心情を生き生きと描写した素晴らしい名曲だ。

はじめの2小節はハ長調のドミソの和音の上にピーターの口笛のようなメロディーがのっかる。ハ長調でおまけに和声の変化が無いのは,ピーターが平坦な道をのんびり歩く平和な様子を描写しているのだろう。ところが,3小節目でいきなりフラット♭が増えて転調。「ぇ,なに,いきなりハ短調?? 普通ドファラとかシレソの和音になるんものじゃないの? おまけに急に響くこの不協和音は何? キャー怖い,助けて〜」と思ってたら,次の小節で変ホ長調に落ち着いて,「ぁー,びっくりした。でも,ここはどこ?」ってかんじ。最初のわずか数小節で主人公がいきなりパラレルワールドに連れて行かれる異世界アニメもびっくりの出だしだ。すごいよね? もっと聴きたくなったでしょ?

密かに人気の曲で,伝説の明石家さんま版とか,古今亭志ん朝版とかの録音もある。志ん朝版は山本直純との共演だ。

あえて紹介する動画は,名ピアニストのニコライエワ(1924-1993)がピアノ用に編曲して,ニコライエワ自身が演奏したもの。この編曲のためにプロコフィエフの編曲法を研究したそうで,ニコライエワがこの曲を高く評価していたことがわかる。ちなみに,ニコライエワはバッハの名手として有名。
この演奏のようにオーケストラの響きを声部ごとに弾き分ける腕前は見事だ。


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