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第3章【8】リリー・フランキーな火曜日

1年生の月曜日は、オケの授業があるので、精神的にもヘビーだったが、火曜は、1限から始まるにもかかわらず、合奏の授業がないので、精神的には、心かろやかだった。

1年生の時は、なにかと1限が多くあり、しかし、家から学校まで1時間半の通学だった私には大変であった。

1年生の時は、師事するチェロのK先生が、火曜日をレッスン日にしていることが多く、私はチェロを背負っての1限にむかったため、通勤ラッシュで、大きなチェロを持つ私は肩身がせまかった。

それでも、1年生の時は、体力も気力も充実していて、大学の授業すべてがうれしく、喜々として通ったのであった。

火曜1限は合唱の授業だった。この授業は、教職をとる学生への必須履修科目になっていて、当初、教職をとるつもりだった私も履修したのである。それに、赤道直下のアフリカにいた頃、コミュニティの聖歌合唱団にはいって歌っていたため、歌うことは大好きだったのだ。

合唱の授業では、通年で、前期と後期の終わりに、大学のホールでは発表演奏会をすることになっており、それに向けて練習をした。

もともとが、教職のための合唱の授業なので、授業で歌うのは、NHK 全国学校音楽コンクールの合唱の課題曲が多かった。男子学生は、女子に比較して少なかったが、バス、テノールの、声楽コースの学生もいて、本格的な合唱で、とても楽しかったのである。

そのなかで、リリー・フランキーさんが、高校生向けの合唱曲の作詞をしていた、『君が君に歌う歌』という曲を歌うことになった。

ひどく長い、字余りのような曲だったが、リリー・フランキーさんの純粋なココロが現れているようで、歌うのは楽しかった。リリー・フランキーさんは、いろんな分野で活躍されているが、(『東京タワー』を書いたり、役者をやったり、写真をとったり、でもともとは絵を描いていたり?)、作詞までやるのか!!人生、なんでもやらないと損だな!と、歌いながら思ったのだ。『東京タワー』の小説の中でも、リリー・フランキーさんが、まだ仕事を初めて駆け出しだったころ、写真を撮る仕事をやらないかと言われて、やったこともないのに、『撮れます』と答えて仕事を得て、そのまま写真をとる仕事もやり続けた話がでているが、仕事なんて、縁と運と勢いなんだから、なんでもやってみないと損だな、と、思ったのを思い出した。

で、いつか私も、、NHK 全国学校音楽コンクールの合唱の課題曲の作詞をしてやる!と心に決めたのだった。


さて、その後の授業は、聴講を許してもらった、ジャズコースの授業で、『ベーシックコードワーク』なる授業を受けた。

私が通った大学は、各コースに特化した授業の中で、先生がよい、と言えば、聴講を許してくれることがあった。私は、高い授業料を払っているのだから、もとをとらないと!っという気持ちと、クラシックだけでなく、ジャズやポップス系も勉強したいと思っていたので、1年生の時から、全コースの授業の時間割りを調べ、聴講できそうな授業には、必ず第1回目に出席し、先生から許可をもらうことにしていた。

この『ベーシックコードワーク』の授業は、まだ若い、佐藤先生という、ジャズピアノの担当の先生であったが、とても快く聴講を許してくれた。ジャズのコードのテンションを含むコードをピアノで弾けるようにしましょう、というもので、その翌年に始まる、ジャズセオリーの授業を受講するには必須の授業であった。ジャズセオリーの授業も、私は弦楽器コースの学生なので、履修はできないのだが、どうしても、将来を考えて、絶対勉強したいと思っていたため、その前提科目はクリアしておかなかれば、と思ったのである。

授業は、ジャズのスタンダードな曲のメロディに、指定されたコードか、自分でコードを当てはめて弾く、というものであったが、毎週課題があり、その課題をピアノで弾けないと、その課題は翌週に持ち越される、というものであった。

佐藤先生は、こんな履修していない学生にそんなに労力をかける責任もないのだが、私を履修している学生と同じように扱い、試験も、おそらく私が来たら邪魔だろうと思い、『先生、私、試験に来たらお邪魔だと思うので、、、』と遠慮しようとしていたら、『え、どうして。来て受けてくださいよ。』と、受けさせてくれた。

もともと、昔、ギターを習っていたので、コードはだいたいわかっていたが、ジャズにでてくるテンションはこの授業で初めて習ったので、この授業でならったコードの知識は、のちのち、私を大いに助けてくれた。

4年間、ジャズコースの授業は聴講を許して頂いた授業が多く、ジャズコースの先生方には大変お世話になった。これらはまたおいおい書いていきます。


次回は、おなじく火曜の『現代音楽』の授業です。

お楽しみに~。

チェロで大学院への進学を目指しています。 面白かったら、どうぞ宜しくお願い致します!!有難うございます!!