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第3章【17】K先生との主科チェロレッスン②

注)写真は私がアフリカで働いていた頃の写真です。記事とは関係ないのですが、たくさんあるので毎回紹介していきます。写真は、小学校の教員養成校で、教員の卵たちが、算数で使用する定規を手作りしています。アフリカでは、学校のこうした授業の道具も手作りしなければならないケースが非常に多いです(撮影:いちあ)。


K先生とのチェロレッスンでは、K先生がじっくり、スケールであろうと、練習曲であろうと、曲であろうと、とにかく、ゆっくりじっくり進んでいった。スケールなどは、『音程が完璧じゃないとだめなの!』と言われ、(あたりまえなのだが)、とにかく、できないと何週も同じ調のスケールを弾き続けた。練習曲も、音大生なら、練習曲をまるまる1曲やって、それを1回か2回でパスするのがふつうなのだが、私の場合、練習曲1曲まるまるどころか、最初の2小節でつまづいたら、ずっとそこに留まってやっていたのだ。

今から思えば、K先生の忍耐やいかに、と思うのだが、私はどうやったら前に進めるのか、練習してはいるものの、なぜK先生にダメ出しばかりされるのか、頭ではわかっているつもりでも、体とリンクしていないというか、本当は頭でもわかっていないことが、多かったのではないかと思う。

ある日、同じ、K先生門下の2年上の橋本くんがレッスンをしているのを見学させてもらったことがあったのだが、この時は、なぜか、スルスルと1曲全部通して、K先生もあまり多くを語らないレッスンだった。それは、橋本くんができていたからなのだが、私の、2小節で撃沈するレッスンとはまったくちがって、スムーズで、K先生も楽しそうだった。

私とのレッスンでは、あまりにも注意して教えることが多く、K先生も根をつめて疲れるのか、レッスン中に、ひとつの練習曲の説明が終わると、『あ””””ー疲れた、ちょっとタイム』などと死語を発して、椅子になだれ込むのであった。

大学を卒業した今現在も、K先生に師事し続けているが、この2小節で撃沈は、あまり変わっていない。ただ、練習曲1曲を終える期間がほんの少し短くなったくらいである。

同じことを繰り返し注意されてはいけないのだが、次のレッスンでも同じことを注意され、、、最後には『そこから弾くとまた同じことを注意しないとダメじゃないか!!』とK先生が怒ることも、、、、

これはだんだん、少なくなってきたものの、同じことを注意されないようにする、というのはやはり難しく、何回も練習してやっと体に刷り込まれるものなんだ、と学んだ。

私は1年生の後期から、サックスの平野公崇先生に、副科実技でサックスを教えてもらっていたのだが、平野先生は、私が先週教えてもらったことをまた注意されると、『サックスでこれじゃあ、チェロでも同じことが起こってる可能性高いよね。オレはさ、大学時代、レッスンでは、先生にやれと言われたことを、とにかく完璧に仕上げていくことを一番に考えて、毎回レッスンには言われたことだけ、完璧にしてレッスンにもっていったんだよ。それの繰り返し。』と教えてくださった。そうか、それが効率の良い、最短でうまくなれる道なのだな、と、この金言を言ってくださった平野先生には感謝なのである。

で、だからといって、その週から私が完璧にレッスンにもっていけたか、というとそうではない。もちろん、毎日、朝から晩まで必死こいて練習しているのだが、とにかく、完璧にはできないことが多く、そのたびに私が泣き言を言うと、K先生は、『できるようになる前にやめるからできないんだよ』とおっしゃった。確かに。

注意されたことをすぐ理解して、実践しようとは思うが、なにか、ブレーキがかかって、うまくいかない、私の1年目はそんな感じだった。

次回は、前期の実技試験についてです!!

チェロで大学院への進学を目指しています。 面白かったら、どうぞ宜しくお願い致します!!有難うございます!!