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『40代のチェロ専攻音大生日記』序章


音大生というか、学生には、Appleのコンピューターの学生の特別割引がきくようになっていて、うちの音楽大学の場合は、大学の図書館からその購入申し込みができるようになっていた。Appleのオンラインで学割よりも少し安くなるという。この3月末で音大の学生証も期限切れ、つまり卒業になるので、卒業までに駆け込みで、これから真剣に勉強を続けたい作曲に必要なMacのノートパソコンを買わなければ、と思い、今日、大学の図書館に電話をして、4年生はいつまで大学図書館に入れるか確認をした。

『卒業される方は3月30日までです。』と、いつもながら、学生へのサポートは結構よかったうちの大学の職員の方からこう言われて、思わず、『そうか、もうこの大学の学生ではなくなるのだな。この大学の施設も庭のように思って毎日歩いていたけれど、もう、自分の庭ではなくなるのだな。』と、ふと、強烈にさみしくなった。

いつか、この40代の私が、思い立って、いろんな偶然がかさなって、4年制の音楽大学に弦楽器のチェロ専攻に入学し、そこで、いろんな、ひどい思いや、大変な思い、そしてほんの少しだけれど、その喜びは深かった数々の経験をした、その記録を残さなければ、とずっと考えてきた。

でも、大学の授業のあるうちは、まったく練習以外に時間がとれず、さらに、落ちこぼれもいいとこであった私には余計に時間がなく、なにも残さずにきたが、もしかしたら、時間が経過するにつけ、いろんな感動も色褪せていくのかもしれない、と思い、大学生の感覚が残っている間に、このジタバタであった4年間を書き残しておきたいと思った。

美しいことはほとんどなく、カッコ悪く、泣き言ばかりで泣いてばかり、チェロもうまくなれず、もんもんとしていた、そんな、けっしてしゃんしゃんとうまく終わるストーリーではないけれど、いろんな出会いや、音楽の深さ、人の思いの深さに出会った日々は書き残すに値するんじゃないかと思っている。

チェロで大学院への進学を目指しています。 面白かったら、どうぞ宜しくお願い致します!!有難うございます!!