ベルギーで抜歯した

ヨーロッパも1年住んでいるとたいていの軽微な珍事ではまったく動揺しなくなるもので、過去のnoteを見返して、「そんなことで騒いでnoteにするなんておおげさすぎるんだよ過去の私ちゃんよ」とか思ったりして、珍事で有名な私のnoteは更新が3ヶ月も途絶えたのですが。これはみんな読みたくない?ベルギーで抜歯編。

連日40〜42度だった灼熱のアヴィニョンでの講習会から帰宅し、クッタクタになったいたそのとき、事件は起きました。なんと朝起きたら奥歯が痛いんです。奥歯なのか歯茎なのかわかりませんが、歯磨きしても痛い、うがいしても痛い、口を大きく開けても痛い、なに食べても痛い。でもケーキ食べてもしみないし、冷たいものを飲むのは大丈夫。虫歯なのか?これはついに虫歯になってしまったのか?でも甘いもの冷たいもので沁みない虫歯があるのか?とあれこれ考えながら1日様子見したんですが、まったく良くならず🫠自然治癒は諦めて、かかりつけ医に予約の連絡を入れることにしました。ついでに低容量ピルがなくなりそうだったので、歯医者ついでに年1の婦人科検診もお願いしますという予約を入れました。歯科と婦人科をはしご。あまりない組み合わせ。

病院についてとりあえずまぁCTだかレントゲンだか撮りましょうってなったはいいものの、かかりつけ医のところはそんなに大きな診療所じゃないので、歯全体を撮れる大きな機械がなくて、とりあえず撮ってはみたんですが肝心の痛んでいる箇所が写らず…結局その日の夕方にかかりつけ医の紹介で歯科専門の大病院に行くことになりました。
大きな病院に行かなきゃいけないということは結構やばいのか…?となって不安でぶっつぶれそうだった私、夫を通訳兼精神安定剤にするべく二件目の病院に召喚し、その日二度目のレントゲン(CT?)へ。

レントゲンの結果は…悪さをしていたのは親知らずだったのでした。4年前に親知らずを1本だけ抜いているのですが、その時の検査では4本とも超健康にまっすぐ生えていて、何もする必要がない、という結果でした。ただ上下2本ずつも無駄に歯が生えているので歯並びがガチャガチャになってしまっていて、いつか歯科矯正をするときのために、ということで奥歯を1つ抜きました(で結局歯科矯正はしていない)。ということで片側は上下とも、もう片側は上だけ残っている状態だったのですが…その残された3本の親知らずたち、4年間まっすぐ元気に成長し続けたんでしょうねえ、成長の結果他の歯たちより歯茎から出てきてしまって、常に口内で押し合っている、ことが判明しました!!!
いや〜親知らずのトラブルって、だいたい出てこなくて歯茎の中で炎症が、とか、横向きに生えた、とか、それが原因で虫歯が、とかじゃないですか。まさかの元気に成長しすぎ…笑

でここで歯医者さんから、今日とか来週とかって忙しいの?って聞かれたうえで、今の私の選択肢を提示されました。

・痛み止めと抗生物質で痛みをおさえて、来週以降押し合っている2本を抜く
・今、押し合っている歯のうち上だけ抜いちゃう

…now……?????

これ土曜日の17時くらいの話なんですけど、翌週火曜日からパリでのマスタークラスに参加することになっていて、「痛いの我慢してパリ行くのは嫌だしパリで急に悪化して病院行ったりとかマスタークラスに参加できないとか困るなぁ…パリから帰ったあとは…夫プロジェクトでポーランド行っててベルギーにいないな…じゃあ今抜くかぁ…でも今日18時からバイトなんだよなぁ(バイト先は超忙しい飲食店/おまけにバイト始めて2日目www)…前に奥歯抜いたときはそんなに痛くなかったしそんなに腫れなかったしいけるか……?」なんて脳内高速会議を経て、

…ああ…じゃあ…いま…上だけ抜いてください……

ということでバイト先には開店に間に合うようには行くことを夫から連絡してもらって、そのまま手術することになりました。歯医者さん、日本じゃ絶対ありえないんですけど、手術始めるときに超ノリノリなBGMを流し始めて、それが緊張をほぐす効果があるのか、ただ歯医者さんが聞きたいだけなのかなんかルーティンなのかわかりませんが、いや〜ヨーロッパって相変わらず愉快〜〜〜ってなってました。

海外で親知らず抜歯、って、永住者ならともかく、いずれ帰国するつもりの一時滞在者にとってはできればやりたくないことというか、ほとんどの人が日本でやりたいって思うことだと思うんですけど、私はこんな感じでサクッと手術が決まってその場で始まったので(with愉快なBGM)、もう怖がる暇もなかったし、海外で歯を抜く=怖いっていう方程式が頭の中でできあがる前に麻酔打たれたので、勢いっていいですね。

麻酔を打たれて、1回目のチェックが入って、ちょっと効いてない箇所があって、麻酔追加されて、2回目のチェックが入って、おお効いた効いたってなって、「じゃあ"3回目"をするね」って言われて、もう1回チェックがあるのか〜丁寧でいいな〜と思ってたらぐりぐりぐりっと歯を押されて歯が移動していく感覚が始まって、あ、3回目ってチェックじゃなくて抜歯本番なんか、確かにチェックとは言わなかったな、じゃあなにが3回目や、って脳内でツッコんでたらガーゼ噛まされていて、なんとあっという間に抜歯終わりました。はや〜上手〜〜〜〜!

お金払って、保険会社に請求するための書類を作ってもらって、もうあっという間に18時20分くらいになってしまっていて、いまバスに飛び乗ればバイト先の開店時刻に間に合う!っていう時間でした。けどまさか歯を抜くつもりで家を出てきていないので、何の痛み止めも持ってないし、薬があっても胃が空っぽで飲めないし、抜歯後に食べられるようなものなんてもっと持ってないし、そもそも薬局に痛み止めと抗生物質をもらいに行く時間もない状態…そもそも土曜午後も空いている薬局なんてのはごく一部の店舗で、そこも19時には閉店、日曜日はどこもやってない、ということで、いま薬をゲットしないと次の薬ゲットチャンスは月曜朝になってしまって、それだけは避けたかったので、夫にやってる薬局を探してもらってそこまで急いで行ってもらうことにして、私はバイト先に直行しました。

バイト先、と言ってもこれは一時帰国中の友人のヘルプで行ってる場所で、普段からバイトしている場所じゃないんですが、ここのレストランは大人気でめちゃめちゃめちゃめちゃ忙しくて。飲食店ってどこもそんな感じなのかもですが、営業時間中階段の上り下りも含めてずっと走ってるみたいな感じで、1時間くらい経って麻酔が切れてきてものすごく痛んでいるはずなのですが、痛みを感じる暇すらも正直ありませんでした…笑

代わりに薬局に向かった夫はその後…
19時まで開いている薬局の最寄りのトラム停留所で降りたところで、自分のIDカードを家に置いてきたことに気づいて(ベルギーは薬を買う時にIDカードが必要なことが多いです、私のカードは夫に預けていました)、そこから1km以上離れた家までダッシュ、IDカードを持ってもう一回薬局まで1kmダッシュ、閉店間際の18時55分に薬局に駆け込んでくれました😭その足でスーパーに行って、抜歯後でも食べられるヨーグルトやアイスをたくさん買って、家に帰って、ヨーグルトと今晩飲むべき薬をまとめて袋に入れて、なんとまた1km以上離れた私のバイト先まで持ってきてくれました😭😭おかげで21時くらいにヨーグルトを流し込んで、無事に薬も飲めました。
愛だ、偉大な愛だ。ありがとう!!!
(抜歯話をnoteに書くよ、って話したら、夫がいっぱい走った話も書いといて🥺、って言われました。書いたぞ!)

さてこの歯医者さん、のちに知ったのですが、高いけど技術は間違いない、で有名な方だそうでした。いい歯医者さんに当たってよかったです!日本で抜くのとベルギーで抜くのと、特に差はなかったです。
おかげさまでパリではいろんな美味しいものが食べられました。残されたあと2本も抜いたほうがいいよって言われたのですが、それは要検討ですね、高いので。

そうなんですよ、高かったんです、とにかく。朝の結局撮れなかったレントゲンは€60、夕方の本格的なレントゲン+抜歯は€252でした…💸この日は歯医者だけで€300以上使い、これの他に薬代で€31かかりました。ベルギーのナショナル保険では、53歳以下の親知らずの抜歯は還付対象外だそうです。私はスイスのインターナショナル保険なので、一部返ってくる予定ですが、いくら返ってくるのかまだわかりません。早く返してえええ。できれば全額。日本の医療と保険システムは偉大だ…

まとめ①:ベルギーで抜歯しても大丈夫!こわくないよ!日本と同じだよ!
まとめ②:良い子のみんなは、抜歯後に激忙しい飲食店のバイトには行っちゃダメだぞ!

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